
1月に咲いたハイビスカスと、プラチナリング。
島に、静かな冬が訪れた。
観光の気配が落ち着くこの季節は、制作に深く没頭できる、とても楽しみなひとときでもある。
澄み渡る空気と、鮮やかな色彩に日々癒されながら、おふたりの結婚指輪を、こつこつと作り進めている。
おふたりが暮らす奄美は、屋久島から200キロほど南に位置しているけれど、
一度、鹿児島を経由しないと行けないので、近しい季節の中にあるはずなのに、遠い。
その距離感に、どこか懐かしい憧憬を抱きながら。
島の暮らしでは、いつもどこかに波音や潮の香りを感じることができて、
その海や月のリズムが、気づけばジュエリーの大切なエッセンスになっていたりもする。
おふたりとは、そのリズムの中に暮らし、つながりを感じる気持ちを、やわらかに分かち合っているように思う。

夜明けの時刻には、月明かりに照らされる海を眺めた。
幾重にも重なり合う永遠のリズム。刹那を繰り返すひかり。
さて、今日も作っている。

プラチナリングの表面に、三日月型の傾斜を2箇所。
目の粗い鉄工ヤスリを片手に、思い切りよく削り出していく。
硬い金属ではあるが、ザッザッと音を立てながら、意外なほど素直に小さな破片へとほどけていく。
その瞬間、プラチナの内側に宿る、やわらかな温度のようなものが手に伝わってくる。
しなやかさと柔軟さを備えた、確かな強さを、プラチナは持っているように思う。
リングの表面には、何本かの罫書き線を描いてある。
この線を越えて削りすぎないように注意しなければならない。
ルーペでその境界を確かめつつ、何周もヤスリを巡らせた。
やがて、リングの表面に流線を描くエッジが立ち上がってきた。
まだ始まったばかりだけど、重たい金属が少しずつ軽やかさを宿していく時間に立ち会えるのは、いつも心が躍る。
おふたりと一緒に育んできたイメージが、いまここで、ひとつのかたちになりつつある。

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