日中はかなり暑くなってきたので、夜明け前に目を覚ますことが多くなってきた。
まだほの暗いうちにいつものビーチに出かけ、空を見上げると、淡い輝きをまとった三日月が浮かんでいた。
海では梅雨の名残の波に乗ったり、咲き始めた夏の花を眺めたり、
島の季節に心躍らせながら、お二人のリングを作っている。
ラウンドシェイプの1.8mm幅、光沢仕上げのプラチナリングにはクリアカラーのダイヤモンドをセットする。
お二人が選んでくれたのは、サイズは違っているけれど、ぴたりと同じデザインである。
はるか昔から広く愛されてきた普遍的なスタイルのリングかもしれない。
けれども、お二人に暮らしに馴染み深くなるように、細やかなアレンジを加えてデザインをすると、それは世界で一つだけのオリジナルとなる。
実は、今もメールで、刻印の文字を打ち合わせしていたりして。
リングに息吹が吹き込まれ、少しずつ育まれていくようなリアルタイム感も楽しい。
さて、
指輪作りは早くも中盤といったところだろうか。
2本のリングを並行して、1本の鉄鋼ヤスリを片手に、表面の切削作業を進めているところだ。
ここまでは手を休めずに一気に削り出す。
リングの表面に、滑らかで、一つのつながりを持つカーブを描いていく。
大胆にタッチを重ねるけれど、削りすぎない。
程よいところでストップをかけるのも、大切な技術の一つであるように思う。
きちんとお揃いに仕上がっているだろうか。
2本のリングを重ね合わせ、そのフォルムをチェックした。
大きな鉄鋼ヤスリを精密ヤスリに持ち替え、表面を滑らかに整えた後に、次は内側を仕上げていく。
内側はつけ心地に響く、とても大切な造形である。
日々、快適にお使いいただきたい。
目には見えないところを、しっかりと頑張る。
丸く柔らかな表面に対して、側面にはすっきりとシャープな平面を与えた。
こうすると、細いリングにも豊かなプラチナの質量を感じることができるし、優しさの中にスタイリッシュな印象が加わってくれる。
ルーペで曲面と平面のバランスが取れていることを確認して、ノギスを使って細部の数値を計測して、今日のところはここまで。
屋久島にありがとう!
明日もきっと良くなる。
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