
イエローゴールドとシャンパンゴールドのリングに磨き仕上げを施していたのは、久しぶりの激しい雨が、島全体に降り続いていた時だった。
目の粗さが異なる紙やすりを使い分けながら、表面に滑らかな光を巡らせるようなイメージで、タッチを重ねていた。
ときには工程を少し戻して鉄工ヤスリで形を整え、再び前へと進む。
直に身に纏う指輪なので、最後は手の感覚を頼りに、その質感を整えていく。
大きな雨音に包まれているのに、なぜかとても静かに感じられ、心地よいひとときだった。

リングのフォルムは、おふたりともに、丸みを帯びたラウンドシェイプ。
そのやわらかな印象は、島の自然と響き合っているように思う。
水も、植物も、光も、風も、音も、
豊かな時間を宿しながら、いつもここにある。
ラウンドシェイプのリングは、メンテナンス性に優れている点も、長く使う結婚指輪において安心できるところだ。
その普遍的なフォルムに、これから彫刻模様を施していくのだけど、
おふたりとの指輪作りで生まれた新しいデザインを、わたしも楽しみにしている。

つるりと磨きあげた彼女のリングを、窓辺の光にかざして眺めてみる。
シャンパンゴールドの、植物のように親密な色彩が、とても好きだ。
光沢仕上げを施すことで現れる新しい表情も、どうぞご期待いただきたい。

この雨が上がると、日差しは強くなり、いっそう濃い熱帯の気配が満ちてくるだろう。
島の季節に寄り添いながら、ゆっくりと育まれてきた、おふたりとの指輪作りだったように思う。
作業もいよいよ終盤に差し掛かり、ほのかな名残惜しさも感じつつも、
来るべきリングの完成が、わたしたちに新しい時の始まりを予告している。

雨のやみ間に庭に出てみると、玄関先にツユクサが咲いていることに気がついた。
なぜだか、いいことがありそうな気がした昼下がり。
遠くから、ざあざあと波音が聞こえてくる。
雨のおかげで、芝生の緑もいっそう濃くなってきた。
毎年のことながら、4月末の雨がとても新鮮に感じられる。
巡りゆく南国の情景のなかで、ひとつの新しい息吹が芽生えつつある。
そのひとときを、どこか満ち足りた思いで眺めていた。
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