もうすぐ十月になるというのに、屋久島サウスはまだ夏のムードに包まれています。
朝にはやわらかな雨が降り、昼間は強い日差しが降り注ぐ、熱帯のリズムです。
島のはるか南を通過する台風からのうねりが届いているようで、久しぶりに海に入ったのですが、水があまりにも温かくて驚きました。
空には大きな虹が掛かり、水遊びをしている子供たちとわたしの他には誰もいない、とても素敵な昼下がりでした。
さて、アトリエでは、ゴールドのプレートを糸鋸で切り出す作業がひと段落したところです。
ここがリングの顔となる大切な部分だったので、うまく仕上げることができて、ひと安心。
庭先に持ち出し、太陽の光の下で細部をじっくりと眺めていました。
手作業でじっくり仕立てたゴールドの葉。
大きさは15mmほどで、指先にちょうど収まります。
その柔らかなシルエットが島の緑と響き合い、
ここに初めて小さな息吹が宿ったように感じられました。
海の癒しもそうですが、自然の中で、数えきれないほどのインスピレーションに出会いながらジュエリーを作れることが、島暮らしの素晴らしいところだと思います。
デザインに確かに刻まれているのは、庭先で植物と触れ合う、日々の何げない時間なのかもしれません。
今回の指輪作りは、細やかなパーツをいくつも組み合わせて造形する、宝飾品ならではの技法で進めていくのですが、クラシックで根気のいるその工程は、時を超えて受け継がれてきたもので、とても特別に感じられます。
リング部分の素材も同じくイエローゴールドです。
全体のシルエットを、細いところから徐々に太くなるように仕立て、安定感のある付け心地を目指しています。
表面は葉とのつながりを考慮し、しっかりと面を持たせ、指にあたる内側部分は丸く削り出していきます。
ゆっくりと正確に。
手を動かし続けていると、うねりを帯びた水面が陸風に整えられていくように、静かに力がみなぎっていくのがわかりました。
作業はいよいよ中盤に差し掛かったところです。
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制作編