上から順に、
ホワイトゴールド、プラチナ、プラチナ、そしてシャンパンゴールド。
異なる素材は、小さなリングの中で、ぴたりと組み合わさった。
そして、ふたつのリングは、同じ素材を共有しながら、それぞれの色合いをまとい、ひとつになっていく。
結婚指輪をお作りしているおふたりとは、夏のアトリエでお会いする約束をしています。
結婚指輪作りの楽しいところは、なんといっても、ふたつのリングを並行して仕上げていくところにあると思う。
彼のリングと、彼女のリング。
サイズもボリュームも、最初はまったく異なるふたつだけれど、
タッチを重ねるごとに、ふたつのリングの距離が近づいていく。
その過程を前にできるのは、作り手としてこの上ない喜びだと思う。
小さな息吹が、島の時間の中で、静かに育まれてゆく。
喜びを分かち合いましょう。
まずは彼のリングから。
つい先ほど仕上がったばかりの、端正なフォルムに変化を加えるのは、いささか心憚られるものの、鉄鋼ヤスリを片手に、思い切りよく削り出していく。
少しずつ角を落としながら、一周。角度を変えて、また一周。
同じタッチを何度も繰り返し、表面に丸く、柔らかな曲線を作り出していく。
最初は粗い目のヤスリから始め、徐々に細かく変えていく。
こうした、ゆっくりとした単調なリズムが、とても好きかもしれない。
ガリガリ、と金属を削る音だけが、アトリエに静かに響いている。
やがて、そこにあるのは、自分自身とリングだけになり、
どこまでも穏やかな心地に包まれていった。
作業がひと段落したところで、庭先に出て、大きく深呼吸。
そろそろ、バナナが実をつける頃だろうか。
それにしても、昼間はもう、ずいぶんと暑くなってきたなあ。
見上げると、大きな葉を透かして届く日差しが、まぶしかった!
早朝の庭先。
夏のひかりは、シャープで力強い。
キラキラと朝露が輝いている。
作業が始まる前のひととき、ファインダーを覗きながら、庭先で癒されていた。
つい最近芽吹いたばかりのはずなのに、日を追うごとに、植物たちの背丈がぐんと伸びている。
そのダイナミックな変化には、いつも驚かされる。
夜の間にはザーッと雨が降って、昼間には太陽の光が強く降り注ぐ。
ああ、いよいよ今年の夏が始まったのだな、と思う。
そう感じると、おふたりとご一緒する指輪作りの時間や、ひとつひとつのシーンがいっそう愛おしく、大切なものに思えてきた。
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