ここ数日は雨がずっと続いている。深い緑に囲まれて、一日中作業に夢中になっている。
島でビーチをのんびり歩くことができる貴重さは、一年ぶりに思い出した感覚である。
お二人の結婚指輪作りはちょうど雨の季節に入ったタイミングと一緒に始まったのだけれど、
しとしと雨音に包まれていると心平たく穏やかな気持ちで作業机に向かうことができる。
シンプルなスクエアシェイプのリングを造形する一つ一つのタッチを明確に意識できる。
創作活動には最高の屋久島時間なのだ。
アウトラインに造形を施す大きめのヤスリと彼のプラチナリング。
彼のリングには丈夫にお使いいただけるように、しっかりとボリュームをつけた。
とはいえ、すっきり感も大切にしていたいところだろう。
中心部分には厚みをしっかりと残しつつ、内側は大きめにラウンドさせて仕上げることにした。
こうすると丈夫さと軽やかさを共存させることができる。
一方、彼女のリングは全体のボリュームを抑えつつも幅があるように仕上げたいので、ベクトルは反対に向かっていることになる。
暮らしにも、体つきだって、二人それぞれの個性があるものだ。
その微妙な違いを造形に反映しつつお揃いに仕上げてゆく作業がオーダーメイドならではの楽しさだと思う。
お二人とはまだお会いしたことはないのだけれど、サンプルリングをお作りしたり、動画を撮影してもらってフィーリングを共有できているので、着用の印象や作るべきリングのフォルムを確かにイメージすることがでてきる。
今ではそんなやりとりもとてもスムーズになったものだ。
お二人と感動を分かち合い、繋がりを育むことができる日々にありがとう。
20号のサイズまであと少し。ここから内側を紙やすりで磨き上げながらぴたりと着地を目指してゆこう。
彼のリングの造形がひと段落して、このあたりで指輪作りも折り返し地点だ。
一つの個性となりつつあるプラチナリングを前にして嬉しくなる。
やっぱり綺麗なフォルムだ。
必要から生まれるシンプルな造形に、今でもずっと夢中である。
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