春に向けて、菜の花をモチーフにしたジュエリー作りを始めている。
年が明け、県道沿いには、風に揺れる菜の花を見るようになった。
その希望にも似た黄色い光を、手の中で紡ぎ、育むような温かな気持ちで、作業机に向かっている。
去年のクリスマスイブにアトリエでお会いしたお二人とは、「また春に会いましょう」と約束を交わし、サヨナラをした。
その時に、お花のジュエリーをいくつか選んでくださったのだけど、花のモチーフがとてもよく似合う、優しいお二人だった。
テーブルを挟み、直接お話をしながらデザインの相談ができて、創作活動のイメージも広がったように思う。
屋久島が紡いでくれた素敵な繋がりに、ありがとう。
瑞々しい花の香りに包まれるような、繊細なジュエリーを思い描きながら。
さて、
菜の花は、イエローゴールドの板を糸鋸で切り取り、およそ実物大よりもやや小さめのサイズに仕立てた。
大きさと形を変え、三つ。
同じタッチを繰り返しながら、丁寧に磨き上げる。
花の中央にセットするために、三粒のダイヤモンドを用意した。
シンプルで時間のかかる作業ではあるけれど、少しずつ、形が生まれてゆく瞬間に向かい合えることが、何よりも嬉しい。
ゆっくりと育まれゆくリズムは、あるいは、植物たちの時間なのかもしれない。
菜の花が纏う静かな明るさに、わたし自身も癒やされている。
島には冷たい冬の風が強く吹き続き、とても寒い日。
フリースとダウンジャケットを着込んで、えい!と思い切って散歩に出かけてみる。
お気に入りの場所までやってくると、お目当ての菜の花に出会えた。
夜のうちから降っていたアラレは、やがて雨に変わり、菜の花の葉はその雫を大切そうに抱いている。
「リングには、イエローゴールドの小さな粒を散りばめるように装飾をしよう。」
陽光を浴びてキラキラと輝きを帯び始めた雫を眺めながら、指輪作りの工程を心躍る気持ちで思い描いていた。
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