屋久島サウスのアトリエです。
ピンクゴールで華やかに、祝福のフィーリングに包まれてご結婚10周年の指輪を作っている。
刻まれた時はかけがえなく、あたたかな輝きに包まれている。
じっくりといこう。
時間の美しさを感じながら作業机に向かっていると幸せになれる。
さて、リングのベースはうまく出来上がった。
窓の向こうでは雨が激しく降ったり止んだりを繰り返していた。
とても美しい夏の一日だった。
空には夏の雲と秋の雲を同時に見ることができる。それらはまるで手と手を取り合って山々を覆い尽くしているようだった。
ほんの10分ほどだったり、長くても30分くらいだろうか。雨は照りつける太陽を構うことなく思い切りよく降って雨雲と共に去っていく。その後に残された世界を眺めるのがいつもの楽しみになっている。
そしてまた作業机に向かいジュエリーを作る、もう慣れてしまったけれど島独特のリズムなのかもしれない。
リングは紙やすりを使ってその表層をなめらなに磨き上げた。
紙やすりは荒い目のものから細かい目のものに徐々に持ち替えながら、リング一周のバランスと中心軸からの対称が整うように何度もタッチを繰り返した。
ピンクゴールドはやがて柔らかな光沢を帯び、わたしたちが共に抱いた指輪のイメージに近づいてゆく。
その様子を目の前にできて嬉しかった。
リングの表面にはピンク色のダイヤモンドをセットすることになっているのだけど、これもまた楽しみの一つだ。
ルーペを手にしていくつかのダイヤをリングに添えて雰囲気をチェックする。
リングに対して収まりの良いサイズのダイヤモンドを選ぶためである。
ダイヤモンドは1.2mmほどとかなり小さいために、ピンセットを片手に息を止めてそっと作業をしなければならなかった。
また少し雨が降ったようだ。
ダイヤモンドみたいだった雨上がりのしずく。
白とオレンジ色をしたツマベニチョウは秋近くになるとよく出会うような。
今年も来てくれてありがとう。
日暮れ前に庭先に出てみるとなんだか少し涼しく感じられて驚いた。
すごい勢いのスコールが何度も降って、きっと一日を全部洗い流してしまったのかも。
空はゾクっとするほどにクリアで鮮やかだった。
今日にありがとう。
ひと時ひと時を大切に味わいたい。季節が移ろうその瞬間を細やかに区切るように。
そうするとやがて時は永遠に近づくのでは無いだろうか。
そこに出会うことができる輝きを、小さなピンクゴールドのリングを手にしながら思い描いている。
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