小さな森の中でプラチナリングを眺めるひととき。
杉の葉の新緑が瑞々しい。
穏やかで力強い緑の中に、静かに佇むリングを見つめていると、このプラチナも、同じ大地から生まれてきたのだと、深く腑に落ちる。
まだまだ制作が始まったばかりだけど、この“響き”を大切に、指輪作りを進めていきたい。
冬のアトリエでは、ご家族とお会いすることができました。
屋久島が紡いでくれた、素敵なご縁に心から感謝しています。
この島に確かに漂う、強い磁力のようなものを感じながら、お二人の結婚指輪を作っている。
とても感覚的ではあるけれど、
空気に満ちる響きに癒される気持ちで、きっと、お二人と繋がっているのかもしれない。
森の響き。静かなる躍動。
さて、くるりとリング状に形成したプラチナリング。
鉄鋼ヤスリを片手に、その表面を削り出していく。
最初は荒い目を使い、大きく一周、もう一周。
そして、目の少し細かいヤスリに持ち替え、同じタッチをさらに何度も繰り返していく。
リング表面にある角を消し、そこに生まれる新たな角をまた削り落とす。
無数の線を繋ぎ合わせ、ひとつの滑らかな曲面を作り出していくような感覚だ。
リングの左右が対象となるようにして、交互に、同じ力を加えながらタッチを進めていく。
屋久島でマラソンを走るお二人だから、きっとこれからも、アウトドアでの時間をたくさん重ねていくのだろう。
安心してお使いいただけるよう、しっかりと強度を持たせて仕上げたい。
磨き直しやメンテナンスなどに対応した仕様を目指して、これまでお二人と相談を重ねてきた。
思い描いたのは、シンプルなラウンドシェイプのフォルムである。
シンプルだからこそ、オーダーメイドでかたちづくるリングには、きっと、お二人の暮らしが色濃く映し出されるのではないだろうか。
小さな森へ続く散歩道。
道端に咲く無数の花々から、ふわりと甘い香りが漂ってきた。
それはどこか、雨の香りにも似た、やわらかく包み込むような。
一年ぶりの懐かしい香り。
歩みを進めるたび、夢の世界へと誘われるような気がした。
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