台風が去り、9月が始まり、どこか生まれ変わったような、新しい心持ちに包まれている。
アトリエに漂ういつもの静寂や集中が、なんだか少し懐かしい。
あたりまえの穏やかな日常が嬉しくて、ブラインドを全開にし、部屋中に太陽の光を取り込みながら作業を進めていた。
コンコンと響く金属の音色が心地よかった。
造形作業は始まったところだけど、お二人に初めてメッセージを頂いてから、実のところ、もう3ヶ月ほどご一緒していることになる。
島リズムの指輪作りにお付き合いをいただき、ありがとうございます!
実際の作業が始まるまでの下準備に多くのの時間とエネルギーをかけるのは、お料理や、ペンキ塗りと同じだったりもする。
お二人とは、サンプルリングをお送りしたり、電話でお話をしたりしながらデザイン作りを進めてきたのだけど、その中で生まれた何気ない会話が、指輪作りの大切なエッセンスとなっているように感じる。
海と緑に囲まれた暮らしは、お二人とわたしが共有する大切な時間なのかもしれない。
大好きなミカンのことや、鹿児島にご縁があることも。話すうちに、つながりを感じることができて嬉しかった。
静岡と屋久島、遠く離れているけれど、その距離がいっそうこの結びつきを確かなものにしてくれている。
アトリエから小さな森を抜けて、海へ。
作業の合間にはできるだけ遠くを眺めておく。
リングの表面と側面は凹凸が生まれるまで、しっかりと力をかけて金槌で叩いた。
こうしておくと、金属はその組成をキュッと引き締めるように固くなる。
もちろん、この後で表面を削り落とすので、この凹凸は無くなるのだけど、見えないところをしっかりと頑張っておく。
これから永くご愛用いただく結婚指輪だ。
指輪作りのゴールは、同時にお二人の新しい暮らしのスタート地点でもある。
細部の寸法もおおむね予定通りに仕上げることができたと思う。
なかなか良好なスタートだ。
お二人と一緒に作り上げたイメージが、少しずつリアルの形となりつつある。
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