少しずつ暑さが和らいできて、朝の散歩に出かけることが多くなった。
朝の柔らかな光には、やはり心が惹きつけられる。
道端にしゃがみ込み、植物たちを眺めていると、どこかいつもとは違う“響き”のようなものが伝わってくる。
大地には、ほんのりと秋の気配が漂い始めている。
お二人の結婚指輪が出来上がるまで、季節を分かち合いながら過ごす日々は楽しい。
そう考えると、指輪だけではなく、そのオーダーメイドの時間もまた、一度だけのものなのかもしれない。
まるで儚く美しい朝の雫みたいに。
さて、アトリエです。
今日も作っている。
左側が彼のプラチナ。右側が彼女のイエローゴールド。
2本のリングがぴたりと同じフォルムとなるように、交互に工程を進めていく。
イエローゴールドの表面を鉄鋼ヤスリで丸く削り落とし、バトンをタッチするように、同じタッチをプラチナリングにも施した。
表面は丸く柔らかに。そして側面にはフラットな部分を残し、シャープな印象に仕上げていく。
ざっと大まかに切削作業を終えたところで、2本のリングを並べてフォルムを確認してみた。
そのバランスを整えるために、サイズの小さい彼女のリングは、リングの厚みをほんの少しだけスリムに作ってあるのは、ここだけの秘密だ。
それにしても、同じ形で作っていくと、それぞれの素材の特性のようなものが浮き上がって見える。
プラチナはプラチナらしく、イエローゴールドはイエローゴールドらしく。
少しずつ違いながら、確かなつながりを持って出来上がっていくのは、お二人自身がこのリングのモチーフになっているからに違いない。
シンプルで普遍的でありながら、特別な指輪の姿をいつも思い描いている。
夜も深まる頃、庭先に出てみると、ひんやりとした空気が心地よかった。
今年もたくさん星空を見上げたなあ、となんだかしみじみ思うのも、夏の終わりの風物詩かもしれない。
今日にありがとう。
まだまだ指輪作りは続くけれど、お二人とご一緒したこれまでの色々を、穏やかな心地で思い返している。
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