
おふたりのリングを作っているあいだに、島では桜が満開を迎えた。
北部まで車を走らせ、お気に入りの公園で、ひらりと風に舞う薄ピンク色の花びらを眺めながら、作業の合間のひとときをゆっくりと過ごすこともできた。
最初はゆっくりとした歩みで始まった制作だったが、春の訪れに肩を並べるようにして、とても滑らかに進んでいった。
ふたつのコンビネーションリングは、造形の工程をひととおり終え、いまはやわらかで洗練されたフォルムを纏っている。
月は満月を経て、右側が大きく欠け始めた。
おふたりが島に来る日に向けて、また新しい段階へと、指輪作りを進めていく時がやってきた。
そっと両手で包み込み、励ますように。
わたしたちの指輪作りにいつも寄り添っていてくれた島の季節に、ありがとう。
かけがえのない巡り合いに育まれた、この一度だけの日々を愛おしく思いながら。

リングを丸く磨き上げると、側面から表面にかけて、ほんのりとシャンパンゴールドが色彩を現した。
真横から見ると、それは満月のような黄色い輪になり、
角度を変えてみると、今度は細い三日月のようにも見えた。
プラチナは、その黄色い光と互いに支え合うように隣り合っている。
ひとつの小さなリングの中で、二つの金属はそれぞれの個性を持ちながら、同時にひとつでもある。
自然の巡りにインスパイアされて生まれたデザインではあるけれど、
あるいはそれは、わたしたちが出会い、育んでいく時間にどこか似ているのかもしれない。

1.8mmと2.0mm
細身のリングの内側に、これから大切な細工を施していく。
おふたりだけが知っている、永遠に刻まれる印だ。

それにしても、やさしさに満ちた光だ。
熱帯の島では、春と秋はとても短い。
じきに日差しは強くなり、
リングが完成する頃には、アトリエの庭にはハイビスカスもたくさん咲いているだろう。
5月になれば、散歩道では白百合や紫陽花に出会うことができる。
しとしとと雨も降り始め、島全体が重たい湿度に満たされていく。
そんな季節を、どこか胸躍る気持ちで待っている。

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