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時の指輪。メビウスリングをつくる #屋久島でつくる結婚指輪

アトリエの庭先に、ポツポツと紫陽花が咲き始めました。

大好きな花。今年もありがとう。

 

奄美地方はもう梅雨に入っているので、こちらもそろそろといったところでしょうか。

島が水に包まれるような、潤いの季節が近づいています。

 

それにしても、植物たちの営みの力強いこと。

静かな佇まいの奥で、休むことなく脈打ち続ける息吹に、背中を押されながら。

今日も作業机に向かっています。

 

朝から黙々と、ヤスリがけの作業を積み重ねていました。

まずは、ふたつのプラチナリングに精密ヤスリをかけ、大まかな造形を整えていきます。

 

今回は、リングをツイストしたときの動きをそのまま残して仕上げたいので、

できる限り生の表情を残すよう意識しながら、タッチを重ねていきます。

 

フラットな部分から、徐々に動きのある部分へ。

やすりがけを慎重に行うことで、フォルムの細部について、より理解を深めることができるように思います。

 

表を辿っていたはずなのに、気がつくと裏へと続いている。

メビウスの輪には、どこまでも巡ってゆくような、不思議な連続性があります。

 

時が巡りゆくように、プラチナの光も流れ、

スムーズなラインを生み出していきました。

 

輪の流れに沿ってヤスリを辿っていく作業は、

いつもとは少し違う、終わりのない物語の中にいるようにも感じられました。

 

精密ヤスリを紙やすりに換え、さらに細やかに磨き上げていくと、

リングに滑らかな光の輪が巡りました。

 

そのフォルムを、窓際の光にあてて眺めてみます。

緑の中で、プラチナはとても明るく、同時に深く落ち着いたトーンを宿していました。

 

角度を変えるたびに、光のコントラストがゆるやかに移ろうのが楽しくて、ついリングをくるくると遊んでしまいます。

 

最初は、おふたりと一緒に作り上げたイメージだったものが、今こうして形になってきて、

このリングは、ほんとうに時間そのものなのだなと、しみじみ思いました。

 

窓の向こうを眺めると、山々の稜線には、何かの動物みたいな雲が流れていました。

 

あともう少し、じっくりと進めてまいります。