夜の間降り続いた雨は、朝にはぴたりと止んでいました。
空にはふんわりと青空が広がり、窓を開けると、モワッとした暖かな空気が流れ込んでくる。
久しぶりのこの湿度感に驚きつつも、どこか嬉しくなる。
屋久島らしい、潤いに包まれた1日の始まりでした。
これから島はいよいよ南国のムードをまとい、賑やかになっていくのですが、
短かった冬もまた、とても貴重で大切な時間だったように思えます。
お二人にお会いしたのは、山茶花やツワブキの花が満開の、とても寒い日のことでした。
年明けに島で開催されたマラソンに参加され、その翌日にアトリエを訪ねてくれました。
島には珍しく、あられも降ったタイミングで、「むっちゃ寒いですねー」と肩をすくめ合ったのをよく覚えています。
その冬の日に始まった結婚指輪作り。
あれから少しずつイメージが育まれ、
春が訪れ、
いよいよデザインが完成しようとしています。
そして、最後の確認として、改めてお二人が暮らす大阪へサンプルリングをお送りすることに。
サンプルリングは、シンプルなラウンドシェイプを中心に、リング幅やデザインにバリエーションを持たせて揃えました。
プラチナの素材サンプルと、彫刻模様のサンプル、サイズゲージ、
そして価格表を添えて、いよいよ島を発つところです。
実は、わたしも大阪から屋久島に移り住んで創作活動を行っているのですが、
同じ大阪人同士が、この小さな島で出会うというのも、なんだ、かとても素敵な巡り会いを感じます。
メールでやり取りをするうちに、大阪の同じ公園で散歩をしたり、スポーツをしたりしていることがわかり、
「もしかすると、どこかですれ違ったかもしれませんね!」と嬉しくなったりもして。
偶然のようで、どこか必然のような、
柔らかな引力のようなものに導かれるように、お二人と結婚指輪作りをご一緒しています。
そして、指輪が完成する頃には、きっと島には雨の季節がやってきていることでしょう。
潤いに包まれた緑の世界の中に輝くプラチナリングを思い浮かべながら、静かに胸を高鳴らせています。
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出会い編