庭先には山茶花が満開を迎え、鳥たちが「チチチ」とさえずりながら集まっている。
地面には赤い花びらが散り、その合間からはツワブキの花がポコポコと顔を出し、木漏れ日のように暖かな表情を見せている。
アトリエの窓を開くと、海からの風が通り抜け、冬の寒さが体中を包み込んだ。
クリスマスイブの朝だ。
その爽やかな空気に誘われるように、作り始めたばかりのリングを手に取り、作業場から庭先へと足を運んだ。
シャンパンゴールドとプラチナのリングが、朝の柔らかな光に包まれて輝く様子を眺めていると、不思議と心が穏やかになっていくのがわかった。
なんとなく、リングにも温かな息吹が宿ったような気がして、嬉しくなった。
植物や水、空や海、自然の中にある全ての事象に、生き生きとした“響き”のようなものを感じるようになったのは、島に暮らし始めてからだろうか。
ある時にはシダの葉が語りかけ、ある時には海のリズムに包まれる。
特に霊性が強い、というわけではないのだけど、日常の中でふと神秘を感じる瞬間がある。
それは、日本という土地ならではの感覚なのかもしれない。
とてもしっくりとくるのだ。
もしかしたら、南の島に暮らすお二人も、わたしと似たようなフィーリングを抱いているのかもしれない。
屋久島から1200キロ離れた場所ではあるけれど、大切な気持ちで繋がっているのだと思うと、勇気づけられる。
いよいよ、夏に屋久島を訪れてくれたお二人の結婚指輪作りが始まった。
年末の色々を終えて、気持ちも軽やかになっている。
ここまで大切に育んできたお二人とのオーダーメイドである。
じっくりと、心を尽くして作業に向かい合っていきたい。
お二人のために配合をしたプラチナとシャンパンゴールドを、くるりとリング状に形成する。
それを酸素トーチの炎の中でつなぎ合わせる。
まずは最初の第一歩である。
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