屋久島サウスのアトリエです。
雨脚の激しさが一日のピークを迎えた時、その雨音に耳を傾けがらピンクゴールドをバーナーの炎に包み込んでいた。
雨の音は分厚い膜のようにアトリエを包み込んでいる。
炎と雨、ピンクゴールド。
それでも静寂を感じられて心安らかになるのはなぜだろう。
春のアトリエに来てくれたお二人にお作りする結婚指輪作りです。
島をゆっくりと旅する時間の中でお二人のデザインは生まれてきました。
それはとてもスムーズに、自然な流れの中にキャッチすることができたように覚えています。
お二人とは作業の直前まで細部の打ち合わせをしてきたので、一緒に作っているムードがすごく感じられて良い。
いつもあたたかな交流をありがとう!
遠く離れてはいるけれど、確かな手触りを感じることができる指輪作りだと思う。
オーダーメイドの結婚指輪作りでは作業が始まるまでの準備段階というか、デザイン作りの段階にしっかりと時間をかけることを大切にしているのだけれど、作業の始まりでもまた下準備にしっかりとした手間をかけないとならない。
そのように最初に小さな息吹を与えておくと、リングは自然な流れで然るべき造形を成していく。
まるで自ら意志を持って育っていくように。
作業自体はなかなかシックではあるけれど、とても大切なところを。
炎に包んで柔らかく、緊張を解いたピンクゴールドはハンマーで叩いて太いところ、細いところ、微妙な抑揚を与えていった。
昔ながらの手作業で、こんこん。
その後に鉄鋼ヤスリを使って表面を思い切りよく削り落としてゆく。
ぴたりとお揃いのリズム感、そして繊細さも。
ほんのりとお二人のリングの姿を感じられるようになってきた。
それにしても、寸法を気にかけながらのなかなかにデリケートな作業だった。
けれどもそのおかげもあって、然るべき場所にたどり着くことが出来たように思う。
ようやくぽつりと灯された明かりのようなものを、
ここからまだまだ育ててゆく必要はある気がするけれど、今日はここまでだ。
夕暮れ時には海に出かけた。
いつものビーチではやっぱり雨も降っていたけれど、広い空も冷たい水も気持ちよくて癒された。
今日も屋久島にありがとう。
自然に包まれるフィーリングが大好きなところが、お二人との繋がりでもあるのだろうなあ、と思ってなんだか嬉しくなった。
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