2023年の始まりは屋久島のアトリエでじっくりと、
2本のプラチナリングを作り始めている。
工程はまだ序盤のはずなのに、小さなリングにお二人の雰囲気を感じる瞬間があるような気がする。
宮崎からアトリエに会いに来てくれたお二人の結婚指輪作りだ。
新しい時間を歩み始めるお二人とご一緒するオーダーメイドの時間はいつも幸せに満ちている。
リズムと流れ、重なり合い。音と波のことを考えながら。
たしかに、わたしのデザインだったり表現だったりする結婚指輪作りではあるけれど、
お二人の物語だったり大切な想いに出会い、
導かれゆく制作には新鮮な喜びがあるように思う。
宝物を探しながら共に歩む数ヶ月なのかもしれない。
素敵な出会いにありがとう。
さて、作業の方は波乗りで例えると波をキャッチしたところ。
ここから板の上に立ち、イメージするのラインを斜面に描いてゆく。
風が吹いたり突然急斜面になったり、ジュエリー作りもまた、思いがけない出来事がある有機的なプロセスだ。
命あるものと対峙するようにプラチナを手にしてゆこう。
繋ぎ合わせたプラチナリングをざっと磨き上げると端正なフォルムが現れた。
しっかりと安定感のある佇まいだ。
これから鉄鋼ヤスリを片手に削り出しの工程へと進んでいくのだけれど、
この強さを芯に残しつつ、軽やかで繊細な造形を生み出していかなくてはならない。
音楽とクラフトをライフワークにする彼と彼女の時間を思い描きながら。
さあ、楽しい時間の始まりだ。
きっとこれが初雨だったように思う。
何かにつけて“初”をつけるのは年に一度の面白みですね。
作業をひと段落して、美しきノースに。
また少し寒くなりそうだ。
みなさま素敵な週末を、どうぞあたたかにお過ごしください。
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