冬の屋久島は鳥を眺めるのがよい。
アトリエの庭先にはメジロたちが集まってきている。
メジロはとくに山茶花がお気に入りのようで、
夢中になって枝から枝に行き来する緑色が葉っぱの一枚のようにも見えて!
なんだかほのぼのとした一日の始まりだった。
お二人の結婚指輪作りは屋久島サウスの海辺から。今年最初のジュエリー作りにワクワクしている。
お二人がアトリエに来てくれた、秋の屋久島。
メッセージを交換し始めてからはもう半年以上が経っていたので、お会いできて感動的だったなあ。
海を越えての指輪作りにお付き合いをいただきましてありがとうございます!
アトリエでお二人に伺った、出会いと音楽にまつわる色々のお話が今もまだ鮮明に記憶に残っている。
もしもあの時、ほんの少しだけ違ったことをしていたら、全然違ったものになっていた今なのかもしれない。
巡り合うことって本当に素晴らしいと思う。
きっと、お二人の結婚指輪をつくるこの時間もまた奇跡のようなものなのだろう。
とても小さなわたしの世界かもしれない、
けれども、行先に灯りを灯し、豊かな彩りを与えてくれている全ての繋がりに感謝をしながら。
さてさて、アトリエです。
酸素トーチの炎を当てて緊張を解いたプラチナは金槌で叩いて太さに抑揚を与えていった。
最初にこうしておくと出来上がったリングにリズムが生まれるからだ。
リズムがあり、重なりがあり、流れがある。
そうか、音は波で波は音なのかもしれない。
少しずつ、少しずつだけれど、お二と作り上げたイメージが形になってゆく。
ご一緒した屋久島の時間がもうすでに懐かしい。
アトリエでチェックしたサイズにぴたりと会うように糸鋸で長さを調整してゆく。とても慎重に。
くるりと丸くなったリングを重ね合わせてみると、彼女のリングが彼のリングの内側に、こんなにもゆとりを持って収まって驚いた。
手の大きさだったり表情にはその人が過ごしてきた時間が現れていて、昔から眺めるのが好きなのだけれど、
リングのサイズが違っているからこそ二つで一つなんだよなあ、と胸の奥の方にぐっと響いてくる。
補い合い、強くなるような指輪を作りたい。
そう考えると、二つある結婚指輪作りはハーモニーのように思えて楽しくなってきた。
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