屋久島サウスのアトリエです。
ずっと長くお使いいただく結婚指輪では、体や心に直接響く部分がとても大切だったりする。
表からは見えないところではあるけれど、内側の造形はしっかりと頑張る。
海の向こうに暮らすお二人とは、これまでたくさんの言葉を交わしながらデザインを作ってきました。
いつも真っ直ぐで透き通ったお二人のフィーリング。
離れているからこそ、心の奥の方でキャッチできる大切な事があるような気がします。
鉱物に文字を刻むと何万年単位で記憶が保存可能できると何かの本に書いてあったのを覚えている。電子的な保存なんかよりもはるかに長く。
たしかに、一千年以上前に金属で作られたジュエリーも今も形を変えずに残っている。
プラチナのライフサイクルは、私たちの人生よりもずっとずっと長いのだ。
今作業台の上で作っている指輪にも、あるいは私たちは“出会っている”だけなのではないだろうか、ふとそんなことを考える。
お二人との出会いもそうだし、このプラチナとの出会いもそうだろう。はるか長い時間の中で生じる奇跡のような現象なのだと思うと、今この瞬間がとても愛おしく感じられた。
冬から春へ、島を通り抜けてゆく時のグラデーションの中で今日も作っている。
雨の日のふわりとした色彩が好きだ。
彼のリングは大まかな造形がひと段落をしたところで、酸素トーチの炎をかけた。こうすると緊張していた組成が一旦柔らかになる。次の造形のためのひと手間だ。
海に入る前に海に、実は入っている時間と同じくらストレッチをしていたり、
かぼちゃを煮込む前に内側のワタをできるだけ取り除いておいたり、塩は手で全体に馴染ませておいたり。
美しい所作や仕事を支えているのは、表面には見えてこない細やかなタッチなのだと思う。
ささやかな気遣い、ちょっとした時間、そんな力の積み重ねなのかもしれない。
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