
モコモコと空に流れる入道雲を眺めているだけで、楽しい季節になりました。
6月末から7月にかけて、島にはいくつかの台風が接近し、
その風と雨が通り過ぎるたびに、屋久島は少しずつ、夏の色を深めていきました。
まるで、季節が薄い衣を脱ぎ、まぶしい光を纏っていくように。
庭先には、南国の眩しい陽光が差し込み、白いハイビスカスがたくさん花をつけ始めています。
いつもより早く起きて夜明けの時間を眺めたり、
あるいは、深夜に天の川を見上げたり。
一日のどこかに涼やかな時間を探すことも、夏ならではの喜びなのかもしれません。
その季節の移ろいに呼吸を合わせるようにして、
アトリエでは、新しいジュエリーづくりが始まっています。

わたしも大好きなツワブキをモチーフにした、エンゲージリング。
花のジュエリーを作る時間は、いつも明るい気持ちに包まれます。
プラチナの板を糸鋸で削り出していくと、
そこに小さな息吹のようなものが、少しずつ宿り始めていくのがわかります。
硬くて冷たい金属なのに、そこにどこかあたたかな手触りを感じて、ふと癒されるのです。

プラチナの花の大きさは、7mmほど。
薬指の上に、そっと花開くようなイメージで、作り進めています。
島に暮らすようになって、大好きな花をモチーフにジュエリーをつくるようになりました。
海の向こう、遠く離れた場所に暮らしているおふたりと、
こうして大切な気持ちを分かち合えることが幸せで、かけがえのない時間のように感じています。
大切なご婚約のジュエリー作りをお任せいただき、ありがとうございます。
わたくしごとになりますが、
これまでずいぶん遠回りをしてきたように思うことがあるけれど、
それでも、心の奥にあったものは、
きっと今も、あまり変わらずに残っていて。
その小さな花のようなものが、
何かのきっかけで、ふと響き合う瞬間があるのかもしれません。
これまでの一つひとつの歩みが、
こうして素敵な出会いへとつながっているのだと思うと、
静かに勇気づけられるような気がしました。
これでよかったのかもしれない、と。
そして、今をしっかりと歩んでいかなくては。
そんなことを、あらためて思うのです。

さて、リングは8月にお届けできるよう、じっくりと作業を進めていくことになりますが、
夏の花々も、突然のスコールも、雨上がりの虹も。
島に流れる時間が、きっとこの指輪作りに寄り添ってくれるような気がしています。
一度きりの夏が始まったのだと、わたしも胸を躍らせています。
おふたりの新しい始まりを記念する指輪作りを、
皆さまもどうぞ、あたたかく見守っていてください。
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