夜明けの海に出かける日が続いている。
日の出は少し遅くなってきたけれど、水温はまだまだ暖かく、トランクスで泳げるのも南国ならではの楽しみだ。
まだ薄暗いうちに何本かの波に乗り、日が登り始める頃にはアトリエに戻る。
まるで風が体を通り抜けたみたいに、真っ白な気持ちに包まれて、作業机に向かっていた。
屋久島の季節とともに、お二人の結婚指輪を作っています。
自然を感じながらジュエリーが作りたくて、この島に移り住んだのは、もう15年以上も前になるけれど、オーダーメイドの日々で、この喜びを分かち合えることが、何よりも嬉しい。
海を越えて、お二人の大切な指輪作りのお声がけをいただき、本当にありがとう!
さて、アトリエです。
バーナーの炎で溶かしたシルバーは素材として整えられ、いよいよリングの造形作業を始めるところ。
ここから先は、後戻りすることができない工程になるので、寸法を大切にタッチを重ねていかなくてはならない。
鉄の芯金にあて、木槌で叩きながら、くるりとリング状に巻いていく。
お二人のサイズに合うよう、寸法をしっかりと測り、その両端を糸ノコでカットする。
シルバーは案外、柔らかく、とても扱いやすい。
これはいつも不思議なことなのだけど、両端をつなぎ合わせてリングになると、金属はとても強くなる。
これまで比較的容易に曲げることができていたシルバーも、少しくらいの力ではぴくりとも動かない。
繋ぎ合わせると安定が生まれるのは、まるでパートナーとの出会いのようでもあるな、と重ね合わせたり。
そうして暖かな気持ちに包まれるのは、結婚指輪作りならではの幸せかもしれない。
シルバーは、軽やかな銀白色が爽やかで、柔らかな手触りが優しい気持ちを与えてくれる。
何年もかけ、指に馴染むように形状を変えるしなやかさこそが、実は強さなのだと思う。
オーダーメイドで選ぶ素材やデザイン、そして出来上がるリングは、お二人自身にとても似ているのかもしれない。
屋久島のアトリエでお会いできる日のことを楽しみに想いながら、作業の手を動かし続けていた。
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