
プラチナの薄い板に金槌で凹凸の模様をつけたのち、糸鋸で小さな葉っぱの形をかたどった。
1cmにも満たない若葉をふたつ。
タガネを使い、コンコンと叩いて丸みを持たせると、ころりとした愛嬌のある表情になった。
野に咲く草花もそうだけど、小さなものを前にすると、なぜだかいつも、慈しむような想いが溢れてくる。
雫を抱く若葉をイメージして作り進めていく指輪は、シャンパンゴールドで仕立てたナノハナの指輪と対をなすことになる。
台風がまた近づいてきたようだ。指輪作りの夏は、まだまだ続いていく。
葉っぱをかたどるリングは、これまでにも何度も作ってきたけれど、
ひとつひとつが、それぞれの個性を宿して仕上がっていくのが面白い。
まるで、大地に育まれた自由な植物たちのように。
作業の一瞬一瞬から目が離せない。
一つひとつのタッチを大切に、手を進めていく。

まだ少し涼しさの残る時刻。
この日の作業を始める前に、西の低い空に浮かぶ月を眺めた。

プラチナの丸線をローラーにかけて、薄く平らな線を作っておく。
金属の風合いが息づく、昔ながらの手作業が好きだ。

薄く伸ばしたプラチナの線を、ねじったり、くるりと丸めたり。
葉っぱのときとは逆に、ここではできるだけタッチを少なくし、摂理に任せて、あるべき形へと仕上げていきたい。
このあと、酸素トーチの火を使って接続する箇所を頭の中で数えてみると、10箇所ほどあった。
ここからは、作業が少し複雑になっていく。
気がつけば、本当に花を育てているような気持ちになっている自分がいる。
まだ見ぬ開花が、待ち遠しくてならなかった。

月を眺めてアトリエに戻ると、庭先に咲いていた月見草。
9月も始まり、今年もあと4ヶ月。なんと!
皆さまも、どうぞゆっくりと、素敵な日々をお過ごしください。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
