屋久島サウスのアトリエです。
端正に整えたk20イエローゴールドのリングを作業台の上に何気なく眺めていたら、その中から柔らかな曲線の印象が浮かび上がってきた。
はるか遠くから打ち寄せる波のようにおおらかなカーブがリングをぐるりと囲んでいる。
今の角張った姿にはまだその柔らかさは見えない。
お二人の結婚指輪を作り始めてからは、島で眺める秋色が日に日に色濃くなってきている。
コスモスも咲いたので、リングが出来上がる頃にはいよいよ山茶花も開花を迎えているだろうか。
作業台には片方のリングと鉄鋼ヤスリを2本、目の荒いものと細かいものを用意した。
いよいよアウトラインの造形作業を始めることになり、その前に窓を開いて遠くの山々を眺めてみたら心がすっと平らになっていくのがわかった。
さて、ここからは手を止めずに一気に進めたい。
多分1時間半ほど経っていただろうか。
夢中になってk20ゴールドのリングにタッチを重ね続けていた。
角張り分厚かったリングの表面は大胆に削り落とした。
まだまだ荒削りではあるけれど、丸く柔らかなフォルムが現れつつある。
手の中で育む感覚的な作業ではあるけれど、
側面に与える平面だったり、リング表面を走るラインには均一性を与えておきたいところだ。
ジュエリーには“使う”ところから生まれる美しさのようなものがある。
丸いいけれど、その中に潔いエッジを感じられるような。
柔らかさとシャープネスの出合う場所を探し求めながら。
島は寒くなるのが遅くて暑くなるのが早い。
アトリエの庭先にもようやく金木犀の香りが漂い始めて、むっちゃ嬉しい!
ノマドカフェさんで毎年恒例のりんごのケーキを焼き始めたとの噂を聞いて、早速お店に行っていただきました。
毎年これを食べると、ああ、今年もあと少しなのだなあと思います。
甘酸っぱくてしっとりな美味しさもこんなフィーリングにピッタリなのかも。
この一年あったいろいろを、そろそろ思い返してみたりしなくっちゃ、と熱いカフェオレを飲みながら考えるのでした。
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