道端にポコポコと、ツワブキの花が咲き始めています。空気はしんと冷たくて心地よい、12月を間近に控えた島の朝でした。
木々の合間からこぼれ落ちてくる朝の光。
それを体いっぱいで受け止めながら、朝の散歩道を歩いていました。
お二人が結婚指輪の相談会にいらしたのは、ハイビスカスが咲き誇る8月の雨の日のことでした。
それから季節は移り、サキシマフヨウが咲き、コスモスが彩りを添えました。
そして今、庭先に山茶花を、散歩道にツワブキの花を眺めながらお二人の結婚指輪を作っています。
お二人の結婚指輪は、シャンパンゴールドでお作りしているのですが、
作業机に向かい、シャンパンゴールドを手にしていると、島の暮らしの中に出会う植物や光が持つ、キラキラとした柔らかな印象と重なり合う何かを感じることがあります。
有機的、というのでしょうか。そこには静かな呼吸のようなものが漂っています。
同じ島に暮らすお二人とは、自然の中に漂う形のない何かを大切に思う気持ちで、きっと繋がっているのだろう。
そう思うと、なんだか勇気が湧いてくるのです。
素敵な巡り合いに、ありがとう。
一番太い部分で1.6mm、細い部分が1.1mm。
お二人のリングはとても繊細なシルエットに仕立てていきます。
鉄鋼ヤスリを片手に、表面を丸く削り出していく。ゆっくりと時間をかけ、何度も同じタッチを重ねるように。
そして、大まかに形がとれたところで、指に通し、付け心地をチェックしています。
こんなにもデリケートなのに安定感がある。柔らかさの中に、しっかりとした強さも感じられるのが、ゴールドの持つ魅力なのだと思います。
「糸のように繊細なリングが理想です」とデザイン作りの時に彼女が伝えてくれたけど、なるほど。
繋がりと結びつきを象徴するという点で、指輪には糸と近しいエッセンスがあるのかもしれませんね。
その糸が永遠に、形を変えることなく手の中にあり続けるように。
しっかりとこのリングを仕上げていかなくては!
彼のリングを削り終え、今度は彼女のリングにバトンタッチです。
お互いの造形の印象を交換し合うように、作業を進めていこう。
作業机の上に並べられた二本のリングを見つめていると、そこにふっと小さな息吹が宿り始めたような気がしました。
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