
次の雨が降り始める前に。
削り出し作業のひと段落したプラチナリングのシルエットを、春の陽光の中で眺めました。
ふと、足元に目をやると、
タイミングを合わせたかのように、猫も日向ぼっこです。
若葉をつけ始めた木の下でリングを手に取ると、プラチナは鏡のように島の緑を映んでいて、思わずうっとり。
洗練された、心地の良いフォルムになってきています。
実は、直に肌に触れる部分はリングの内側が大きく占めていて、
ここは見えないところではあるけれど、日々のつけ心地に大きく響く部分を大切にしていきたいと思うのです。
表面の造形がうまくできていることを確かめてからアトリエに戻り、さっそく内側の削り出し作業へと取り掛かかりました。
内側も表面と同じように鉄工ヤスリを入れ、丸く滑らかなカーブに仕立ててまいります。
削り進めるごとに、作業台にはプラチナの粉がたくさん散らばり、その集積を眺めていると、もうこんなところまでやってきたのだなあと、なんだか少し、この指輪作りが名残惜しく感じられたりもしました。
手を動かすうちに、アトリエが急に静かになってような気がして、窓を開けて海の方を眺めると、厚い雲が水平線の方角にかかり、また雨の気配が漂い始めていました。
波音とともに、あたたかく湿った風が部屋の中に流れ込んできました。
雨に潤されて、緑はいよいよ深まり、山を歩く時間も、これからまた心地よくなっていくのでしょうか。
アウトドアでの活動が多いおふたりなので、
シンプルでプレーンなかたちは、扱いやすさという点でも心強いものだと思います。
小さな傷や曇りも、ときどき手をかけながら整えていく。
そうして過ごす時間の中で、この指輪は少しずつ、おふたりのものになっていくのだと思います。
島のアトリエで作っているふたつのリングが、未来へと繋がっていく。
そう思うと、いまこの瞬間が、かけがえのないものに感じられました。

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