夜はほんのりと涼しさを感じ、日中は暖かな陽射しが続いている。
そのような季節は、空が澄み渡り、星々がとてもクリアに輝く。
山の谷間を抜け、海へと向かって吹き抜ける風が、波を端正に整える。
その風に導かれるように、夜明けのノースへと通い続けていた。
海辺に佇んでいるとずいぶん風が冷たく感じられるのだけど、海に入ってみると、思いのほか海水温は高く、暑いくらいなのに驚いた。
夜明けの時刻は、5:45くらい。
1時間ほど体を動かしてから作業を始めることができるのも、屋久島での暮らしの好きなところかもしれない。
さて、いよいよお二人の結婚指輪作りも終盤に差し掛かっている。
リング状につなぎ合わせたプラチナとゴールドは、薬液に浸けて表面に付着した酸化膜を丁寧に洗い流した。
この作業が終わると、あとは磨き仕上げを残すところとなる。けれども、完成してからが本当の始まりなのだと考えると、一つ一つのタッチが一層大切に思えてくる。
これから先、何十年もご愛用いただくリングだ。
じっくりと丁寧に仕上げていきたい。
お二人と打ち合わせを重ねて決めたサイズにぴたりと合わせ、リングのフォルムをチェックしておく。
1本の硬くて細いイエローゴールドに、柔らかな表情を与えることができたように思う。
繊細なシルエットは波のようにうねり、夜明けに眺めた雲のように軽やかに見える。
島の時間から生まれたリングなのだと、しみじみと思う。
この柔らかで、力強い癒しのようなものを、お二人とも分かち合うことができれば、何よりも嬉しい。
うん、明日もきっと良くなる。
お二人が歩む未来を何気なく思い描き、温かな気持ちに包まれていた。
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制作編