冷たい雨は夜のあいだに上がり、屋久島サウスには、やわらかな朝の光が降り注ぎました。
5月の爽やかな週末です。
窓の向こうを眺めると、ハイビスカスがいくつも花を開かせています。
潤いを纏った緑は色濃く、新しい色彩に心躍りました。
ちょうど、ナノハナの指輪の造形作業がひと段落したところだったので、
リングを手に、庭先で眺めることに。
イエローゴールドの煌めきが、島の色彩と溶け合っています。
大地の響き、というのでしょうか。
金属が持つ、その柔らかな手触りが大好きです。
数えてみると、金属同士をつなぎ合わせた箇所は、20をゆうに超えていました。
お二人の記念日にお届けをする大切なジュエリー作りに、
背筋が伸びる思いで取り組んできたけれど、
とても綺麗に仕上がったように思います。
ふと足元に目をやると、咲き始めたばかりの白い百合が、風に揺られていました。
リングが完成する頃には、紫陽花も咲き始めているかもしれません。
そういえば、この頃はチョウチョの姿も見かけるようになりました。
これから島には、重たい雨が降り続く日が多くなり、
花々は、まるでその恵を享受するように、次々と開花を続けます。
南国特有の、色鮮やかな季節です。
力強く、そして優しく。いつも寄り添っていてくれた屋久島にありがとう。
お二人との出会いに、ありがとう。
島のゆっくりとした時間の中で育まれたリングを、
お二人のもとにお届けできる、少し先の未来を思い描きながら。