小さな森の散歩道。川沿いの日だまりには椿の花が咲き始めている。
木々の合間を抜け、降り注ぐ雨は氷のように冷たい。
冬の澄みきった空気を胸いっぱいに吸い込みながら、これから始まる指輪づくりのことを思い描いていた。
屋久島の北部に暮らすお二人と、同じ冬を分かち合いながら結婚指輪を作り進めている。
同じ島とはいえ、アトリエのある南部とは気候や植物が少し違っていて、それもまた面白い。
こちらでは、椿が咲き始め、タンカンの収穫で賑わいを見せている。
宮之浦では、きっと雪景色が広がっていることだろう。
一つの小さな島に紡がれた、お二人との大切な繋がりを想いながら、
これからタッチを加えていくプラチナを、澄んだ空気にかざして眺めた。
雨は上がり、差し込む陽光に照らされ、世界がキラキラと輝いていた。
雨の雫や緑のドットがゆらめき、まるで森の祝福のように煌めいている。
やっぱり島で過ごす冬が大好きだな、としみじみ思う。
この冬の歩みに寄り添うように、じっくりと手作業を進めていこう
アトリエに戻ると、灯油ストーブの暖かさに包まれ、幸せな気持ちに満たされた。
さっそく作業机に向かい、プラチナをコンコンと叩き、丸く形作っていく。
仄暗い室内では、酸素トーチの炎が静かにゆらめいている。
窓から差し込む2月の陽光が手元をやわらかく照らしている。
こうして、屋久島の冬を分かち合う結婚指輪作りが始まった。
お二人と育んだイメージが、少しずつではあるけれど、形になり始めている。
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