プラチナとイエローゴールドで作ったシダの葉をリング状に造形していく作業は、
子供の頃、葉っぱを積んで指に巻いて遊んでいた時みたいな気持ちかもしれない。
実際は鉄の台に当てながら、木槌で叩いて造形していくのだけど、
硬かった葉っぱがくるりとカーブを描くと、胸が高鳴ってくる。
少しずつ、少しずつ、
手の中で、冷たい金属に柔らかな温もりを与えてゆく。
小さなリングに自然なカーブを与えるために、実にさまざまな道具の凹凸を使った。
葉っぱは外に外らせるようにしながら、内側に向けて巻いていくようなイメージだ。
いつも庭先で眺めているシダの葉の記憶がここにある。
そういえば、ずっと昔から、外で遊ぶのと工作が大好きで、それは今でも全く変わっていないような気がする。
自然の中にいると癒されるし、手を動かしていると楽しい。
それは、あるいはお二人とも共感できる気持ちなのかもしれないな、とも思う。
ふわりとした雰囲気が、なんとなくわたし自身と近しくて、親しみ深く感じられるお二人なのである。
今この多様性に満ちた世界だからこそ、信じることができるつながりがあると思う。
お二人との出会いに、屋久島にありがとう。
指輪作りの始まりに満開だった百合の花はその華やぎを落ち着かせつつある。
夕暮れ時の海へ行くと、夏色に染まった空に出会った。
夏がやってくるその前に、忘れてはならないと言わんばかりに、
重たい雨の気配がすぐそこで待っている気配を感じることができる。
なんとも美しい屋久島の時間だ。
シダの指輪作りはいよいよこれから酸素トーチの炎を扱うデリケートな作業が続くので、
一つ一つのタッチを慎重に、確実に施していかなくてはならない。
つけ心地や耐久性を左右する工程は、心の内側に響く大切なところだからだ。
金属が溶けてしまわないように、炎の温度を適正に保ちながら、集中していきたい。
一度進むともう戻ることもできない。
そんな緊張感を抱くのも深い森を歩く冒険のようでワクワクする。
このなんとなく懐かしような気持ちを、お二人とも分かち合うことができると素敵だな、と思う。
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