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花々の祝福、イエローダイヤモンドの響き #屋久島でつくる結婚指輪

台風がもたらした高波の影響で途絶えていた流通が再開し、予定よりもずっと長い時間をかけて、イエローダイヤモンドがアトリエに届いた。

自然のリズムが人の暮らしよりも先にあることを感じるのは、島での生活ならではなのかもしれない。

 

台風が過ぎ去り、アトリエの周りでは、色とりどりのプルメリアが花を開かせている。

梅雨の大雨が河口へ運んだ砂も、高波によって、すべて押し戻された。

 

昼間の空はどこまでも青く、夜には天の川を見ることができる。

今は、揺るぎのない夏の時間が流れている。

 

季節の移ろいの中で、ジュエリーが育まれてゆく時間を分かち合えることもまた、オーダーメイドの楽しみの一つなのではないだろうか。

 

おふたりの大切なご婚約の日に向けて、島に咲く黄色い花をモチーフにした指輪を作っている。

海と花、ジュエリーと #屋久島でつくる結婚指輪

 

冬を前に、少しずつ寒さが増してくる頃に咲き始めるツワブキの花。

その明るい黄色に、いつも元気をもらっている。

 

本当に不思議なことだけれど、もしかすると、当たり前のことなのかもしれない。

花の色や個性と響き合う石に、いつも出会うことができる。

 

ツワブキの明るい黄色には、透明感を纏ったイエローサファイアや、イエローダイヤモンドがよく似合う。

 

今回はご婚約のジュエリーということもあり、

彼と相談を重ね、イエローダイヤモンドを使うことにした。

 

 

さっそく、ワクワクしながらルーペで覗き込む。

濃く鮮やかな黄色と、高い透明感。

わずか2.3mmの小さな姿の中に、まっすぐな強さが宿っているように見えた。

 

シャープに整えられたカットの一つひとつから、繊細な光が放たれていた。

 

 

リングの造形作業も、石との出会いを待ち望んでいたかのように、いよいよ佳境を迎えている。

 

プラチナの花とイエローゴールドのリングをぴたりと組み合わせ、そのわずかな隙間へ、融点の低いゴールドを流し込んでいく。

ガスバーナーの炎でリングを包み、徐々に温度を上げていく。

途中、花とリングの角度がずれ、そのたびに火を止め、何度か調整を加えた。

造形と温度のバランスが整ったところで、さらに熱を加えていく。

ふたつの金属が接する部分に、ほんの少しだけ強く火を当てると、

その瞬間、ゴールドがすっと溶け、隙間の奥へと流れ込んだ。

 

緊張感に満ちた時間ではあったが、うまくできたように思う。

 

ここで初めて、お花リングのシルエットが立ち上がった。

まるで本当に、ずっと育ててきた花が咲いたようで、あたたかな喜びが込み上げてきた。

 

その佇まいは、どこまでも繊細だ。

けれど手に取ると、小さな姿の中に、確かな強さが感じられる。

 

作業は、ひとつの峠を越えたといったところだ。

屋久島でつくる結婚指輪

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tel: 0997-47-3547

海と花、ジュエリーと #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島の南海上を、台風が通り過ぎている。

その勢力は猛烈で、はるか遠くから届くうねりは力強い。

 

島の北部にある河口には形のよい波が打ち寄せていて、その波に乗るために、ここ数日は夜明け前の海に通っていた。

 

まだ暗いうちから沖に出て、太陽が昇るのを眺めながら、何本もの波に乗った。

海からは、水墨画のような山々のシルエットが浮かんで見えた。

 

海から上がると、スマホの時計はまだ7時を示していて、

それから車を走らせてアトリエに戻り、

コーヒーを作って、作業机に向かう。

 

そのような島の時間の中で、少しずつ、おふたりのリングが形作られていった。

 

東から強く吹く風はずいぶん温かく、海辺にはひまわりも咲き始めている。

 

フェリーは欠航を続けているけれど、島がしばらく外の世界から切り離されたような感覚も、深い集中をもたらしてくれる。

この静かな日々は、あと何日続くのだろうか。

 

 

花のジュエリーを作る時間は、いつも明るい気持ちに包まれる。

大好きなツワブキをモチーフにした、エンゲージリングづくり。

一度きりの夏、ちいさな花咲く婚約指輪作り#屋久島でつくる結婚指輪

 

海と花、ジュエリーと。

暮らしのスタンスもそうだけど、

昔から、とにかくシンプルなものが好きだった。

 

この指輪も、一輪の花と細いリングで形作られる、シンプルなデザインではあるが、

その潔い佇まいを生み出すための細工は、見た目よりもずっと複雑だったりする。

 

イエローゴールドのリングは、直径が1.2mm

そこに0.8mmの穴を開けておく。

 

プラチナの花には同じく0.8mmの“茎”を設け、リングに開けた穴に通るようにした。

 

こうしておくと、ぴたり。

花とリングが、しっかりとひとつに組み合わさる。

 

花がリングから少し浮くように仕上げることで、つけた時の印象は、より華やかなものになる。

 

これから花とリングをひとつにしていくのだが、

より美しく仕上げるためには、その接点にできるだけ隙間がないことが好ましい。

 

庭先で、散歩道で、

花に目を留めるたび、その繊細な佇まいに魅せられてしまう。

 

カメラのファインダー越しに近づいてみると、

小さな造形の一つひとつが、どこまでも精巧で、完璧に見える。

軽やかなのに、驚くほどに力強い。

色鮮やかで、あたたかな喜びに満ちている。

 

その神秘的な造形に憧れながら、ジュエリー作りの探究を日々続けているのだと思う。

 

今日も一歩ずつ。

 

 

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一度きりの夏、ちいさな花咲く婚約指輪作り#屋久島でつくる結婚指輪

モコモコと空に流れる入道雲を眺めているだけで、楽しい季節になりました。

 

6月末から7月にかけて、島にはいくつかの台風が接近し、

その風と雨が通り過ぎるたびに、屋久島は少しずつ、夏の色を深めていきました。

まるで、季節が薄い衣を脱ぎ、まぶしい光を纏っていくように。

 

庭先には、南国の眩しい陽光が差し込み、白いハイビスカスがたくさん花をつけ始めています。

 

いつもより早く起きて夜明けの時間を眺めたり、

あるいは、深夜に天の川を見上げたり。

一日のどこかに涼やかな時間を探すことも、夏ならではの喜びなのかもしれません。

 

その季節の移ろいに呼吸を合わせるようにして、

アトリエでは、新しいジュエリーづくりが始まっています。

わたしも大好きなツワブキをモチーフにした、エンゲージリング。

花のジュエリーを作る時間は、いつも明るい気持ちに包まれます。

 

プラチナの板を糸鋸で削り出していくと、

そこに小さな息吹のようなものが、少しずつ宿り始めていくのがわかります。

 

硬くて冷たい金属なのに、そこにどこかあたたかな手触りを感じて、ふと癒されるのです。

 

プラチナの花の大きさは、7mmほど。

薬指の上に、そっと花開くようなイメージで、作り進めています。

 

島に暮らすようになって、大好きな花をモチーフにジュエリーをつくるようになりました。

海の向こう、遠く離れた場所に暮らしているおふたりと、

こうして大切な気持ちを分かち合えることが幸せで、かけがえのない時間のように感じています。

 

大切なご婚約のジュエリー作りをお任せいただき、ありがとうございます。

 

わたくしごとになりますが、

これまでずいぶん遠回りをしてきたように思うことがあるけれど、

それでも、心の奥にあったものは、

きっと今も、あまり変わらずに残っていて。

その小さな花のようなものが、

何かのきっかけで、ふと響き合う瞬間があるのかもしれません。

 

これまでの一つひとつの歩みが、

こうして素敵な出会いへとつながっているのだと思うと、

静かに勇気づけられるような気がしました。

これでよかったのかもしれない、と。

 

そして、今をしっかりと歩んでいかなくては。

そんなことを、あらためて思うのです。

 

さて、リングは8月にお届けできるよう、じっくりと作業を進めていくことになりますが、

夏の花々も、突然のスコールも、雨上がりの虹も。

島に流れる時間が、きっとこの指輪作りに寄り添ってくれるような気がしています。

 

一度きりの夏が始まったのだと、わたしも胸を躍らせています。

 

おふたりの新しい始まりを記念する指輪作りを、

皆さまもどうぞ、あたたかく見守っていてください。

 

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2.0mm and 1.3mm-2.0mm wave ring in 18k pink gold #屋久島でつくる結婚指輪

material: 18k pink gold
size: 2.0mm and 1.3mm-2.0mm

Delivery time is within 3 months.
Custom-made, one of a kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。

 

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初夏のひかり、屋久島と響くピンクゴールドの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

初夏のひかり、屋久島と響くピンクゴールドの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

初夏のひかりとピンクゴールド。

海風にそよぐハイビスカス。

そっと手をつなぐように寄り添う、おふたりの結婚指輪。

 

彼と彼女が出会った屋久島から、心からの祝福を。

 

 

アトリエの近くで暮らしていたおふたりが相談会に来てくれたのは、二月とは思えないほど、やわらかな空気に包まれた日のことでした。

おふたりが出会った屋久島でつくる結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

 

やがて冬が過ぎ、桜や菜の花が屋久島サウスに明るい色を添えました。

指輪作りの間には、梅雨の深い雨が降り続き、庭先には大きな紫陽花が咲きました。

島の音色と響き合う、ピンクゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島の季節の中で、少しずつ指輪が形になっていく。

おふたりと、かけがえのないひとときを分かち合えたことも、

今となっては、素敵な思い出です。

 

お互いの夢を追いかけて、海を渡ったおふたりですが、

ここで出会い、共に過ごした屋久島の空気や、

その奥に漂う神秘のようなものを、

ふとした瞬間に感じてもらえると嬉しい。

 

そんな小さな願いを抱きながら、この指輪を作りました。

それは、わたし自身にとっても、あたたかで、幸せな日々であったように思います。

 

ハイビスカスの木の下で、ふたつのリングをそっと重ね合わせてみる。

花びらを透かした祝福のような光に包まれて、ピンクゴールドがやさしく輝いています。

 

彼のリングは、丸く、誠実さを感じる佇まいに。

彼女のリングの表面には波模様を削り出し、リング幅にも抑揚をつけて、リズミカルな印象にお仕立てしています。

 

波打つようにカーブするシルエットが、ふたつのリングをゆるやかにつないでいます。

 

硬いゴールドなのに、どこかやわらかく感じられるのは、

屋久島の水や光に満ちた季節に魅せられ、育まれたデザインだからかもしれません。

 

シンプルに整えた刻印も、とても印象的に仕上がりましたね。

0.1mm単位で整えていく、細やかなデザイン作りでしたが、

いつもあたたかくお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

 

どこかおふたりの空気感と重なり合うような、

明るくてあたたかな指輪が、わたしも大好きです。

 

島には眩しいほどの光が降り注ぎ、季節がまたひとつ新しくなりました。

指輪作りもこれでひと段落して、

わたしたちも新しい一歩を踏み出すときがやってきました。

 

夕暮れ時の海へ。

 

波打ち際を裸足で歩いていると、

水平線に浮かんだ雲の隙間を抜けて、まばゆい光が差し込んできました。

水面に反射した煌めきが、一日の終わりをキラキラと包み込んでくれます。

 

そっとリングを手にして、その光にかざしてみると、

ピンクゴールドの淡い茜色は、夏の夕焼けと和やかに響き合っているように感じられました。

 

ふたつのリングは、それぞれに個性を持つひとつの形であり、

同時に、風や光、波音の一部分でもありました。

 

わたしたちの指輪作りにずっと寄り添っていてくれた屋久島に、ありがとう。

 

そして、おふたりに、心からおめでとうございます。

 

夏の余韻がまだ残る頃に、

またおふたりに、この島でお会いできることを心待ちにしながら。

 

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ジュエリーの着用画像

ヒマワリのネックレス

モデル:身長162cm
チェーン:38cm

 

海の月ネックレス

モデル:身長162cm
チェーン:38cm

 

ナノハナの指輪

 

ナノハナの指輪2

 

紫陽花の指輪
朝露の指輪

 

サクラの指輪

 

ツワブキの指輪

 

シダの指輪2

 

シダの指輪

 

シダの指輪2

 

ハイノキの指輪

 

 

 

 

 

 

七夕の日に願いを重ねて。屋久島から北海道へお送りした、ナノハナの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島から北海道へ。

おふたりの大切な日に向けておつくりした、ナノハナの指輪。

もうすぐ、七夕です。

 

季節の節目や、暦の中の小さな出来事に心が向くようになったのも、

こうして皆さまと、オーダーメイドのやり取りをさせていただいているからかもしれません。

素敵な贈り物のご相談をいただき、本当にありがとうございました。

 

春の光から生まれたナノハナの指輪を、七夕の願いに重ねること。

それはなんとも美しく、ひとつの物語のように感じられました。

星空が紡ぐ、永遠の時に響きを重ねるように、

リングは、K18イエローゴールドとダイヤモンドでお仕立ていたしました。

 

光沢仕上げを施したリングは、光そのものを纏うような印象かもしれません。

 

厚い雲の隙間から、つかのま陽光が降り注ぎ、

小さな花をやさしく包み込んでいました。

 

緑の中で眺めていると、本当に花が咲いたみたいに見えて、

おふたりの大切な想いが、ひとつの形になったのだなあと、

あたたかな気持ちが溢れてきました。

こちら屋久島は、あと数日で梅雨明けといったところでしょうか。

南国ならではの、暑く湿った空気が漂い始めています。

 

こうして、はるか距離を超えて、ジュエリー作りをご一緒できることも、

今という時が運んでくれた恵みのように思うのです。

 

大好きな花、そして屋久島が紡いでくれた出会いに、ありがとう。

 

リングはケースに入れて、リボンを結んでおきました。

素敵な贈り物となりますように。

 

屋久島の北部、港を望む小さな森の中で。

 

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大切な想いから生まれる、ひとつだけの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

台風が過ぎ去った翌朝、まだ暗いうちに目を覚ました。

 

アトリエの窓の向こうに連なる山々を眺めると、

空気はどこまでも澄み渡り、夢の中のような色彩に包まれていた。

雲の流れが、とても速い。

その向こう側に、濃いブルーの空が広がり、現れては隠れてを繰り返している。

 

刻々と移りゆく島の気配に呼吸を合わせるようにして、作業机に向かっていた。

 

雨のリズム、シャンパンゴールドの指輪作り

シャンパンゴールドの淡い黄金色、屋久島の深い緑、ハイビスカスの赤 #屋久島でつくる結婚指輪

 

焼きなましたリングを鉄の枠に添え、木槌で叩きながら、そのアウトラインに緩やかなカーブを与えていった。

内側の円形を保ちながら、少しずつ造形を整えていく。コンコン。

途中、何度かリングを火にかけて、滑らかな曲線が生まれるまで、同じ工程を繰り返した。

 

シルエットが理想のものになったところで、表面についた黒い酸化膜を薬液につけて落とし、いよいよ最終の磨き仕上げ作業に取り掛かることにした。

 

太陽は高い位置へと昇り始め、窓の向こうもようやく明るくなってきた。

激しく降り続いた雨は霧のように弱まり、夏めいた強い日差しが差し込んでいた。

 

まずは、精密ヤスリを使って、リングの表面に流れを作り出していく。

とどまることのない、永遠の流れ。

 

途中、キッチンでカフェオレを作り、それを飲みながらまた作業机に向かう。

ここからは、長丁場になる。

 

その後、紙やすりで磨きをかけていくと、ここで初めて、シャンパンゴールドの本来の色彩が現れた。

 

胸が高鳴るのを感じながら、じっくりと丁寧に、細部まで磨きあげ、

ふたつのリングを窓際で眺めると、まるで朝の光そのもののように、清らかに輝いていた。

 

光の巡り、響き合うリズム、永遠の流れ。

 

とてもシンプルなフォルムにお仕立てしてあるのは、

日々の暮らしにより馴染みやすくなるように。

そして、リングの表面と内側に施す彫刻模様が、より印象的に浮かび上がるように。

 

おふたりにとって大切な場所である屋久島の記憶を、これからリングに刻んでいくのだけど、

この続きはまた別のお話で。

指輪作りの間、いつも美しく咲いていてくれた紫陽花に、ありがとう。

 

大切な想いから生まれる、ひとつだけの指輪の完成は、もう少し先のお楽しみに。

 

 

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シャンパンゴールドの淡い黄金色、屋久島の深い緑、ハイビスカスの赤 #屋久島でつくる結婚指輪

雨上がりの朝に。

咲いたばかりのハイビスカスのそばで、シャンパンゴールドのリングを眺めた。

 

削り出し作業を終えたリングのフォルムは、丸く、やわらかい。

木々の合間から差し込み始めた光にかざし、リングをくるくると回しながら、その表情を確かめていた。

 

まだまだ作業は途中ではあるけれど、

少しずつ、リングが小さな息吹を帯びてきたように思う。

サイズ違いのお揃いのシルエットが並ぶ様子を眺めていると、なんだかとても嬉しくなる。

 

シャンパンゴールドの淡い黄金色は、深い緑と、鮮やかな赤と、静かに響きあっていた。

 

それにしても、暑い。

眩しい空。もくもくとした大きな雲。

梅雨の終わりも近づいて、7月を前に、島は急に夏めいてきた。

 

リングが完成する頃には、アイスコーヒーやスイカがおいしい季節になっているのだろうなあと、

少し先の未来に心を躍らせながら。

 

アトリエでは、次の造形作業に向けて、下準備を進めていた。

 

ガスバーナーの炎でリングを包み、赤く色づくまで、ゆっくりと温度を上げていく。

シャンパンゴールドは、肩の力を抜くようにして、作業のあいだ張り詰めていた力をゆるめていく。

温度が上がり過ぎないよう気をつけながら、じっくりと、リングに火を回す。

暗くしたアトリエに、オレンジ色の光が広がっている。

台風が近づいてきたせいか、遠くから風の音が聞こえてくる。

島の時間は、今日も静かに過ぎていく。

 

リングが真っ赤になったところで火を離し、グラスの中に注いた水の中に入れると、ジュっと歯切れの良い音を立てた。

 

 

 

 

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制作編

雨のリズム、シャンパンゴールドの呼吸 #屋久島でつくる結婚指輪

雨のリズム、シャンパンゴールドの呼吸 #屋久島でつくる結婚指輪

リング状に整えたシャンパンゴールドは、

その表面を金槌でコンコンと叩き、作業をひと段落いたしました。

 

金槌の叩き模様はこのあと削られ、表には見えなくなるのですが、

お料理で言うところの下拵えのようなものでしょうか。

こうしておくと、金属はその組成を引き締めるようにして硬くなるのです。

 

工程を経るたびに、硬くなったり、やわらかくなったりを繰り返す。

金属を扱っていると、まるで呼吸をしているように感じることがあります。

 

 

おふたりとアトリエでお会いした数日後に、大きな台風が島を通り過ぎ、長い雨の季節が始まりました。

神々しささえ感じる季節の移ろいに、歩みを合わせるようにしておふたりの指輪を作っています。

雨の記憶。満ちる潤いと、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

そしていま、また別の台風が島に近づいています。

 

今年は例年よりも台風が多いように感じますが、

幸いアトリエでは、無事に制作を続けることができています。

 

「今回の台風が過ぎたら、いよいよ夏が始まりそうですね。」

そんな会話も、島暮らしならではのような気がします。

ときどき大波が海を大きく巡らせることで、海中に広がるサンゴが健やかに育まれてゆく、という話も聞きました。

 

激しい風雨が過ぎ去ると、いつも新しい花に出会えるのも、楽しみの一つです。

浜辺には、ハマユウも咲き始めています。

 

そしてわたしたちも、このような大きな巡りの一部分なのだと思うと、なんだかとても勇気づけられるのです。

 

自然がそっと届けてくれる、小さな知らせのようなものを大切にする気持ちで、もしかするとおふたりとは繋がっているのかもしれません。

 

そして、いよいよ表面の削り出し作業へ。

鉄工ヤスリを片手に、丸くやわらかなフォルムを形作っていきます。

 

片側を一周、そして反対側を一周。

角度を変えながら、何度もタッチを重ねていくと、

少しずつ、ゆっくりと、リングが滑らかな手触りを宿していくのがわかります。

 

シャンパンゴールドは、咲いたばかりの花のような無垢な輝きを放ち、淡く上品な黄金色がリングを静かに巡り始めました。

 

金属のリズムが手の中に響いてきます。

シンプルなラウンドシェイプのデザインであるからこそ、それがダイレクトに伝わってくるのかもしれません。

 

この大地から届く、温もりを帯びた癒しを、おふたりと分かち合えることも、また嬉しく思うのです。

 

かたちの向こう側にある見えない感覚を大切にしながら、

小さなリングの中にひとつの流れが生まれるよう、手を動かし続けていました。

 

そして、彼のリングの削り出し作業をあらかた終え、少し経ってからだったと思います。

窓の向こうではまた、しとしと雨が降り始めました。

 

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雨の記憶。満ちる潤いと、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

湿度を帯びた雲が、山々に重くのしかかっている。

今年の梅雨は深く、長い。

雨の気配はもう少しの間、この島に留まるのかもしれない。

 

毎日のように雨が降り注ぎ、植物たちは生き生きとした表情を宿している。

雨のやみまに散歩に出かけると、驚くほど背丈を伸ばした木々に出会った。

 

シダの葉も、ツユクサも、雨を含んで濃く艶やかな色彩を纏っている。

この満ちる潤いが、屋久島の豊かさを育んでいるのだろうと思う。

 

この島に暮らして、もうずいぶん長くなるけれど、

気がつけば、この雨をどこか心待ちにしている自分がいるのだから、不思議なものだ。

 

ちょうど新しい制作を始めるタイミングだったので、

指輪作りに使うシャンパンゴールドを、シダの葉のそばで眺めた。

 

植物たちとやわらかく響き合うような、シャンパンゴールドの静かな輝きが好きだ。

 

山歩きが大好きなおふたりも、この植物の気配を帯びた色彩に、自然と心を惹かれたのだと思う。

相談会で初めてお会いしたのだけれど、大切な気持ちを分かち合えたような気がして、とても嬉しかった。

 

小雨が降り続く小さな森の中を歩きながら、

ちょうどこの梅雨が始まる頃、アトリエでお会いした日のことを懐かしく思い出していた。

 

アトリエに戻ると、すぐに作業机に向かい、シャンパンゴールドをバーナーの炎で焼きなました。

炎を受けて金属がやわらかさを取り戻したところで、手でぐいっと思い切りよく曲げ、鉄の芯金に当てながらハンマーで打ちつけていく。

 

これから少しずつ、おふたりと一緒に育んできたイメージが形になっていく。

一度きりの時間が、手の中で紡がれていくことに、心が踊るのがわかる。

先ほど歩いた小さな森の印象が、まだすぐ近くに漂っている。

こんこん、と叩きながら、シャンパンゴールドを少しずつ丸く、リング状に整えていく。

まずは、最初の一歩である。

 

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イエローゴールドとダイヤモンド、雨の響き。ナノハナの指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

6月の雨の響きに心をまかせながら、大切な贈り物にとお選びいただいたジュエリーを作っている。

まるで厚い水の膜に包み込まれているような感覚が、安らかで心地よい。

 

ルーペとピンセットを手に作業机に向かい、細やかな作業を重ねていく間も、雨はまるで呼吸をしているように、強くなったり、やわらいだりしながら、長く降り続いていた。

 

3輪の花に、小さな粒の装飾、そして細い線を組み合わせたリング。

そのすべてをK18イエローゴールドで形作っていった。

 

糸鋸で花をかたどり、鉄工ヤスリで削り出し、紙やすりで磨く。

そして、出来上がった一つひとつの細やかなパーツを、炎の中で繋ぎ合わせていく。

昔から長く変わらない手作業の音が、アトリエの中に静かに響いていく。

 

0.1mmのタッチで表情が変わってしまう、緊張感に包まれた作業ではあったが、

深い集中の中に身を置く、心やすらぐひとときであったように思う。

 

リングが出来上がると、彼が彼女にこのジュエリーを手渡す日がやってくる。

まるで花束を贈るように。

 

短い間ではあるけれど、ともに思い描く未来へ向かうオーダーメイドの時間が好きだ。

大切な想いから始まるジュエリー作りは、いつも喜びに満ちている。

 

イエローゴールドに添える天然石として、クリアカラーのダイヤモンドを揃えた。

作業の合間、ガラスのシャーレに並べたゴールドとダイヤモンドを眺めていると、

雨の雫を纏った菜の花が、春の雨上がりにそっと揺れているように見えた。

 

作業の合間には、北部まで車を走らせ、淡いブルーグレーに染まった海を眺めた。

 

この指輪が完成する頃には、梅雨も明けているだろう。

 

山々を厚く覆っていた雲が遠ざかり、水平線がクリアに浮かび上がる。

いよいよ夏がやってくる。

 

そのようにして、私たちはまた、それぞれの新しい日々を迎えることになるのだけど、

それまでの時間を、ゆるやかに分かち合っていくことができればいいと思う。

 

菜の花畑に広がる黄色い光のような、希望に満ちた日々を思い描きながら。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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