Blog

大切な想いから生まれる、ひとつだけの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

台風が過ぎ去った翌朝、まだ暗いうちに目を覚ました。

 

アトリエの窓の向こうに連なる山々を眺めると、

空気はどこまでも澄み渡り、夢の中のような色彩に包まれていた。

雲の流れが、とても速い。

その向こう側に、濃いブルーの空が広がり、現れては隠れてを繰り返している。

 

刻々と移りゆく島の気配に呼吸を合わせるようにして、作業机に向かっていた。

 

雨のリズム、シャンパンゴールドの指輪作り

シャンパンゴールドの淡い黄金色、屋久島の深い緑、ハイビスカスの赤 #屋久島でつくる結婚指輪

 

焼きなましたリングを鉄の枠に添え、木槌で叩きながら、そのアウトラインに緩やかなカーブを与えていった。

内側の円形を保ちながら、少しずつ造形を整えていく。コンコン。

途中、何度かリングを火にかけて、滑らかな曲線が生まれるまで、同じ工程を繰り返した。

 

シルエットが理想のものになったところで、表面についた黒い酸化膜を薬液につけて落とし、いよいよ最終の磨き仕上げ作業に取り掛かることにした。

 

太陽は高い位置へと昇り始め、窓の向こうもようやく明るくなってきた。

激しく降り続いた雨は霧のように弱まり、夏めいた強い日差しが差し込んでいた。

 

まずは、精密ヤスリを使って、リングの表面に流れを作り出していく。

とどまることのない、永遠の流れ。

 

途中、キッチンでカフェオレを作り、それを飲みながらまた作業机に向かう。

ここからは、長丁場になる。

 

その後、紙やすりで磨きをかけていくと、ここで初めて、シャンパンゴールドの本来の色彩が現れた。

 

胸が高鳴るのを感じながら、じっくりと丁寧に、細部まで磨きあげ、

ふたつのリングを窓際で眺めると、まるで朝の光そのもののように、清らかに輝いていた。

 

光の巡り、響き合うリズム、永遠の流れ。

 

とてもシンプルなフォルムにお仕立てしてあるのは、

日々の暮らしにより馴染みやすくなるように。

そして、リングの表面と内側に施す彫刻模様が、より印象的に浮かび上がるように。

 

おふたりにとって大切な場所である屋久島の記憶を、これからリングに刻んでいくのだけど、

この続きはまた別のお話で。

指輪作りの間、いつも美しく咲いていてくれた紫陽花に、ありがとう。

 

大切な想いから生まれる、ひとつだけの指輪の完成は、もう少し先のお楽しみに。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

シャンパンゴールドの淡い黄金色、屋久島の深い緑、ハイビスカスの赤 #屋久島でつくる結婚指輪

雨上がりの朝に。

咲いたばかりのハイビスカスのそばで、シャンパンゴールドのリングを眺めた。

 

削り出し作業を終えたリングのフォルムは、丸く、やわらかい。

木々の合間から差し込み始めた光にかざし、リングをくるくると回しながら、その表情を確かめていた。

 

まだまだ作業は途中ではあるけれど、

少しずつ、リングが小さな息吹を帯びてきたように思う。

サイズ違いのお揃いのシルエットが並ぶ様子を眺めていると、なんだかとても嬉しくなる。

 

シャンパンゴールドの淡い黄金色は、深い緑と、鮮やかな赤と、静かに響きあっていた。

 

それにしても、暑い。

眩しい空。もくもくとした大きな雲。

梅雨の終わりも近づいて、7月を前に、島は急に夏めいてきた。

 

リングが完成する頃には、アイスコーヒーやスイカがおいしい季節になっているのだろうなあと、

少し先の未来に心を躍らせながら。

 

アトリエでは、次の造形作業に向けて、下準備を進めていた。

 

ガスバーナーの炎でリングを包み、赤く色づくまで、ゆっくりと温度を上げていく。

シャンパンゴールドは、肩の力を抜くようにして、作業のあいだ張り詰めていた力をゆるめていく。

温度が上がり過ぎないよう気をつけながら、じっくりと、リングに火を回す。

暗くしたアトリエに、オレンジ色の光が広がっている。

台風が近づいてきたせいか、遠くから風の音が聞こえてくる。

島の時間は、今日も静かに過ぎていく。

 

リングが真っ赤になったところで火を離し、グラスの中に注いた水の中に入れると、ジュっと歯切れの良い音を立てた。

 

 

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

雨のリズム、シャンパンゴールドの呼吸 #屋久島でつくる結婚指輪

雨のリズム、シャンパンゴールドの呼吸 #屋久島でつくる結婚指輪

リング状に整えたシャンパンゴールドは、

その表面を金槌でコンコンと叩き、作業をひと段落いたしました。

 

金槌の叩き模様はこのあと削られ、表には見えなくなるのですが、

お料理で言うところの下拵えのようなものでしょうか。

こうしておくと、金属はその組成を引き締めるようにして硬くなるのです。

 

工程を経るたびに、硬くなったり、やわらかくなったりを繰り返す。

金属を扱っていると、まるで呼吸をしているように感じることがあります。

 

 

おふたりとアトリエでお会いした数日後に、大きな台風が島を通り過ぎ、長い雨の季節が始まりました。

神々しささえ感じる季節の移ろいに、歩みを合わせるようにしておふたりの指輪を作っています。

雨の記憶。満ちる潤いと、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

そしていま、また別の台風が島に近づいています。

 

今年は例年よりも台風が多いように感じますが、

幸いアトリエでは、無事に制作を続けることができています。

 

「今回の台風が過ぎたら、いよいよ夏が始まりそうですね。」

そんな会話も、島暮らしならではのような気がします。

ときどき大波が海を大きく巡らせることで、海中に広がるサンゴが健やかに育まれてゆく、という話も聞きました。

 

激しい風雨が過ぎ去ると、いつも新しい花に出会えるのも、楽しみの一つです。

浜辺には、ハマユウも咲き始めています。

 

そしてわたしたちも、このような大きな巡りの一部分なのだと思うと、なんだかとても勇気づけられるのです。

 

自然がそっと届けてくれる、小さな知らせのようなものを大切にする気持ちで、もしかするとおふたりとは繋がっているのかもしれません。

 

そして、いよいよ表面の削り出し作業へ。

鉄工ヤスリを片手に、丸くやわらかなフォルムを形作っていきます。

 

片側を一周、そして反対側を一周。

角度を変えながら、何度もタッチを重ねていくと、

少しずつ、ゆっくりと、リングが滑らかな手触りを宿していくのがわかります。

 

シャンパンゴールドは、咲いたばかりの花のような無垢な輝きを放ち、淡く上品な黄金色がリングを静かに巡り始めました。

 

金属のリズムが手の中に響いてきます。

シンプルなラウンドシェイプのデザインであるからこそ、それがダイレクトに伝わってくるのかもしれません。

 

この大地から届く、温もりを帯びた癒しを、おふたりと分かち合えることも、また嬉しく思うのです。

 

かたちの向こう側にある見えない感覚を大切にしながら、

小さなリングの中にひとつの流れが生まれるよう、手を動かし続けていました。

 

そして、彼のリングの削り出し作業をあらかた終え、少し経ってからだったと思います。

窓の向こうではまた、しとしと雨が降り始めました。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

雨の記憶。満ちる潤いと、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

湿度を帯びた雲が、山々に重くのしかかっている。

今年の梅雨は深く、長い。

雨の気配はもう少しの間、この島に留まるのかもしれない。

 

毎日のように雨が降り注ぎ、植物たちは生き生きとした表情を宿している。

雨のやみまに散歩に出かけると、驚くほど背丈を伸ばした木々に出会った。

 

シダの葉も、ツユクサも、雨を含んで濃く艶やかな色彩を纏っている。

この満ちる潤いが、屋久島の豊かさを育んでいるのだろうと思う。

 

この島に暮らして、もうずいぶん長くなるけれど、

気がつけば、この雨をどこか心待ちにしている自分がいるのだから、不思議なものだ。

 

ちょうど新しい制作を始めるタイミングだったので、

指輪作りに使うシャンパンゴールドを、シダの葉のそばで眺めた。

 

植物たちとやわらかく響き合うような、シャンパンゴールドの静かな輝きが好きだ。

 

山歩きが大好きなおふたりも、この植物の気配を帯びた色彩に、自然と心を惹かれたのだと思う。

相談会で初めてお会いしたのだけれど、大切な気持ちを分かち合えたような気がして、とても嬉しかった。

 

小雨が降り続く小さな森の中を歩きながら、

ちょうどこの梅雨が始まる頃、アトリエでお会いした日のことを懐かしく思い出していた。

 

アトリエに戻ると、すぐに作業机に向かい、シャンパンゴールドをバーナーの炎で焼きなました。

炎を受けて金属がやわらかさを取り戻したところで、手でぐいっと思い切りよく曲げ、鉄の芯金に当てながらハンマーで打ちつけていく。

 

これから少しずつ、おふたりと一緒に育んできたイメージが形になっていく。

一度きりの時間が、手の中で紡がれていくことに、心が踊るのがわかる。

先ほど歩いた小さな森の印象が、まだすぐ近くに漂っている。

こんこん、と叩きながら、シャンパンゴールドを少しずつ丸く、リング状に整えていく。

まずは、最初の一歩である。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

イエローゴールドとダイヤモンド、雨の響き。ナノハナの指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

6月の雨の響きに心をまかせながら、大切な贈り物にとお選びいただいたジュエリーを作っている。

まるで厚い水の膜に包み込まれているような感覚が、安らかで心地よい。

 

ルーペとピンセットを手に作業机に向かい、細やかな作業を重ねていく間も、雨はまるで呼吸をしているように、強くなったり、やわらいだりしながら、長く降り続いていた。

 

3輪の花に、小さな粒の装飾、そして細い線を組み合わせたリング。

そのすべてをK18イエローゴールドで形作っていった。

 

糸鋸で花をかたどり、鉄工ヤスリで削り出し、紙やすりで磨く。

そして、出来上がった一つひとつの細やかなパーツを、炎の中で繋ぎ合わせていく。

昔から長く変わらない手作業の音が、アトリエの中に静かに響いていく。

 

0.1mmのタッチで表情が変わってしまう、緊張感に包まれた作業ではあったが、

深い集中の中に身を置く、心やすらぐひとときであったように思う。

 

リングが出来上がると、彼が彼女にこのジュエリーを手渡す日がやってくる。

まるで花束を贈るように。

 

短い間ではあるけれど、ともに思い描く未来へ向かうオーダーメイドの時間が好きだ。

大切な想いから始まるジュエリー作りは、いつも喜びに満ちている。

 

イエローゴールドに添える天然石として、クリアカラーのダイヤモンドを揃えた。

作業の合間、ガラスのシャーレに並べたゴールドとダイヤモンドを眺めていると、

雨の雫を纏った菜の花が、春の雨上がりにそっと揺れているように見えた。

 

作業の合間には、北部まで車を走らせ、淡いブルーグレーに染まった海を眺めた。

 

この指輪が完成する頃には、梅雨も明けているだろう。

 

山々を厚く覆っていた雲が遠ざかり、水平線がクリアに浮かび上がる。

いよいよ夏がやってくる。

 

そのようにして、私たちはまた、それぞれの新しい日々を迎えることになるのだけど、

それまでの時間を、ゆるやかに分かち合っていくことができればいいと思う。

 

菜の花畑に広がる黄色い光のような、希望に満ちた日々を思い描きながら。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

島の音色と響き合う、ピンクゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

梅雨の長い雨が降り続いている。

緑はどこまでも深く、まるで水の中に暮らしているような、湿度に満ちた時間がなんとも屋久島らしい。

毎年ひそやかに楽しみにしているこの季節を味わうように、6月の静かなアトリエで、おふたりの結婚指輪をつくり進めていた。

 

屋久島に暮らしていたおふたりとは、この雨の感覚も、暮らしの中でふと出会う熱帯の記憶のようなものも、言葉少なに分かち合えるのも嬉しい。

紡がれていく、ひとつの時間。ピンクゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

森と海に囲まれたこの小さな島に暮らすようになってから、自然が生み出すあらゆる事象に、畏れを抱くようになった。

ほんのささやかな雨風であっても、ときには想像を超える力を生み出すことになる。

暮らしに直接影響を与える気象状況に対して、いつも注意深く生きていかなくてはならない。

 

そして、その自然の計り知れない大きさと常に共存しているものが、美しさなのだろう。

 

作業机の上にある小さなリングに宿る、カーブ、傾斜、重み、丸み、そして手触りも。

その一つひとつのディテールは、島の自然への憧れから生まれてきているように思う。

 

リングの造形作業も、いよいよ終盤に差し掛かった。

タッチを重ねるたびに緊張を帯びていくピンクゴールドを、ときおり焼きなましながら、慎重に作業を進めていく。

こうして眺めてみると、ずいぶん繊細でやわらかなフォルムになってきた。

 

一度端正に整えたものに、大きな力や変化を加えるのは、いつでも勇気がいる。

 

水の流れのような。

季節のリズムのような。

花や月、あるいは人との巡り合いのような。

 

島の暮らしで出会った記憶を、こつこつとリングに刻み込んでゆく。

 

リングにゆるやかなカーブを与えた後、表面を紙やすりで丁寧に磨き上げた。

240番から始め、400番、600番へと少しずつ目を細かくしながら、リングの中に生まれた流れを整えるようにヤスリをかけていく。

 

この段階になって、ピンクゴールドの色彩は初めてその個性をあらわにする。

淡い赤みを帯びた金色は、シルクのように滑らかな輝きを纏っていた。

 

初めて形になった2本のリングを、鉄製の作業台の上にそっと並べてみると、

なんだか不意に、冬のアトリエでお会いしたおふたりのことを、懐かしく思い出した。

 

それぞれのリングは少しずつ違っていながら、重なり、響き合っている。

 

出会うことって、本当に素敵だなあと、しみじみ思いながら、

これから進めていく彫刻作業や磨き仕上げのイメージを、頭の中に思い描いていた。

 

窓の向こうでは、変わらず雨が土を打つ音が、静かに響き続けていた。

 

ツバキのネックレス#platinum #yellowgold #ruby #屋久島でつくる結婚指輪 

material: platinum, 18k yellow gold, ruby
size: 1.0mm flower, 1.5mm ruby

Delivery time is within 1 month.
Make by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約1ヶ月。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

心にのこる贈り物。オーダーメイドでお仕立てした、椿のネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

心にのこる贈り物。オーダーメイドでお仕立てした、椿のネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

大好きな花を想うと、いつも静かな喜びに満たされます。

 

季節の花を眺めるひとときも素敵ですし、

その香りや色彩の記憶が、ふとした日々の中でそっと寄り添ってくれるのも嬉しいものです。

 

冬の寒い時期、雪をまとう緑の中に、ぽつりぽつりと彩りを添える赤。

その一輪を纏うように、お作りいたしました。

 

りんご椿をかたどったネックレス。

 

プラチナの花びらと、花弁を模したイエローゴールドの石枠に、ルビーを添えてお仕立ていたしました。

 

ツバキのネックレス platinum, 18k yellow gold, ruby

 

大きさは1cmほどなので、身につけたままでも過ごしやすいサイズ感です。

プラチナは変色のない素材なので、長く安心してお使いいただけるのも嬉しいところ。

 

これからの季節は、地肌の上に直に纏うと、軽やかな気持ちに包まれそうです。

 

緑の中でそっと手に取ると、

プラチナの確かな重みが伝わってきます。

まるでここに咲いたばかりのように、静かに輝いていて、

どこか小さな祈りのようにも感じられました。

 

大切な日に花を手渡すように。

心に残る贈り物にと、

オーダーメイドのお声がけをいただきました。

 

あたたかな想いに包まれたジュエリー作りだったように思います。

 

来るべき日に向けて、わたし自身も胸を躍らせながら、

昔ながらの手作業で、

じっくりと丁寧にお仕立ていたしました。

 

椿の花に宿る、凛とした赤。

その色合いに、深い赤のルビーが響き合うように思います。

おふたりの素敵な日々に寄り添うジュエリーとなれば、何よりも嬉しく思います。

お気に入りの椿の木の下で。

屋久島から、ありがとうございました。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

 

紡がれていく、ひとつの時間。ピンクゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

台風が去ったのちに、梅雨が始まった。

雨が降り始めるのを心待ちに空を眺めているのは、毎年のことかもしれない。

 

昼下がり、短い間、まとまった雨が降った。

島全体が重たい湿度を纏い、あたりには熱帯の気配が漂っている。

 

ぽつりぽつりと響く雨音に耳を傾けながら、どこか心が弾むような気持ちで、作業机に向かっていた。

 

ここ数日は、リングの削り出し作業に一心に取り掛かっていた。

 

作業台の上には、4本の鉄工ヤスリが整然と並んでいる。

ルーペ、ステンレスの定規、罫書ペン、極細の油性マジック、小さなハンマーも、よく手に取る道具たちだ。

 

ガラスのシャーレに集めていたピンクゴールドの金属粉は、もうずいぶんな量に増えていた。

 

リングに罫書いた何本かのラインにそって、だだ黙々とタッチを重ねていく時間が好きだ。

 

心が、凪いだ水面のように平らになっていく。

ゴールドの響きが手に伝わり、手のリズムがゴールドに映し出されてゆく。

 

昔から変わらない手作業には、今という時間そのものが、かたちに変えられてゆくような感覚がある。

 

おふたりの想いが、こうしてリングへと紡がれてゆくのを手の中に感じながら、

まるで花が咲く瞬間のようだな、と思う。

 

彼のリングは、丸みを帯びたやわらかなフォルムに削り出した。

彼女のリングには、波打つラインが巡っている。

リング幅にも、それぞれの個性を持たせて仕立てた。

 

庭先にリングを持ち出し、緑の中でそのシルエットを眺めてみる。

 

細やかな違いを宿した、ふたつの個性。

静かに紡がれていく、ひとつの時間。

 

わたしたちがともに思い描いていた造形が、少しずつたしかな輪郭を帯びてきたように思う。

 

まだまだ先の長い制作ではあるけれど、一度だけの季節を味わいながら、じっくりと進めていこう。

 

そんなふうに思っていると、またぽつりぽつりと雨が落ち始めてくる。

雨足は次第に強くなり、急いでアトリエに戻ることにする。

庭の片隅では、今年最初の花を咲かせた白いハイビスカスが雨粒を受けて、気持ちよさそうにゆらめいていた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

雨が降り始める前に #屋久島でつくる結婚指輪

 

ミモザ模様のメビウスリング #platinum #屋久島でつくる結婚指輪

material: platinum
size: 2.0mm and 2.2mm wide

Delivery time is within 3 months.
Custom-made, one of a kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

永遠と、祝福と。屋久島からお届けする、ひとつだけの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

雨が降り始める前に #屋久島でつくる結婚指輪

雨が降り始める前に、出かけておかなくては。

ふとそう思い立ち、アトリエ近くの小さな森へ出かけることにした。

 

今年は、例年より早い台風の通過などもあって、梅雨らしい雨の日はまだ少ないように思うのだけど、

天気予報を見ると、次の日からは雨マークがずらりと並んでいる。

 

透明で、みずみずしさに溢れる春の光も、これで見納めかもしれないと思いながら、緑のトンネルを歩いていた。

 

気がつけば、大きな水の音に包まれている。

台風の雨で水かさを増した川が、まるで歓喜するように、リズミカルに流れている。

木々を通り抜ける吹き返しの風は、まだ強い。

 

その力強く清らかな情景に包まれていると、からだじゅうが癒されていくのがわかった。

 

 

屋久島で出会われたおふたりと、わたしとが手を取り合い歩む結婚指輪づくり。

虹とピンクゴールド。おふたりの結婚指輪作りが始まりました #屋久島でつくる結婚指輪

 

島に暮らしていると、光と水の印象が、心の奥に残る。

形を持たない響きのようなものが、とても近しく感じられる。

 

その光や流れそのものを纏うような、ふたつの小さなリング。

 

かたちの向こう側に触れるためには、どこまでも丁寧に、その形を作り上げていかなくてはならない。

 

さて、アトリエです。

今日も作っている。

丸く成形したピンクゴールドを再び炎に包み、一つのリングへと繋ぎ合わせていく工程。

両端は糸鋸でカットし、目当てのサイズに合わせておいた。

 

温度を少しずつ上げていき、地金が溶ける寸前で、融点の低いゴールドを繋ぎ目にスッと流し込む。

これまでに幾度となく行ってきたけれど、いつも背筋の伸びる作業である。

緊張感に満ちた時間が、心地よい。

 

ロウ付け作業がひと段落したのち、リングを完璧な円形に整えた。

紙やすりで表面をひと削りすると、ピンクゴールドの艶やかな色彩が現れた。

 

リングの幅には変化をつけ、それぞれの表情を生み出す土台を作ってある。

 

これから始まる削り出し作業の準備が整った、というところだ。

 

それにしても、直線的な形状の時には、なんとか手で曲げることができたピンクゴールドだけど、

リングとなった今は、もうこの時点で、かなり硬い。

 

手を繋ぎあい、強くなる。

そしてこれから、長い時間を越えてゆく。

小さなリングの中には、どこまでも果てしない物語が広がっている。

 

デスクライトに照らされたふたつのリングを眺めながら、

小さな森で出会った降り注ぐ光や、絶え間ない水流の音を、穏やかな気持ちで思い起こしていた。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

虹とピンクゴールド。おふたりの結婚指輪作りが始まりました #屋久島でつくる結婚指輪

例年よりもずいぶん早く訪れた台風は、予報されていた通り、島を直撃することになったのだけど、その勢いは思っていたよりもずっと穏やかに感じられた。

 

今回は、台風の目に入っていた時間がけっこう長かったように思う。

それまで吹きつけていた南東の風がぴたりと止み、まるでバスケットボールの試合のハーフタイムみたいに、束の間の休息の時間が訪れる。

 

その時、庭先に出て眺めた空に虹がかかっていたことが、とても印象に残っている。

 

そして、1時間ほどが過ぎると、今度は北西の方角から強い風が吹き始めた。

 

いつもは長く続く停電が起こらなかったのも、幸いだった。

自然が織りなすダイナミックなリズムの中に身を置きながら、新しいジュエリー作りに取り掛かることができたのは、島に背中を押されるような、とても力強い幕開けだったように思う。

 

 

この島に暮らしていると、圧倒されるほど美しい自然に惹かれた人たちとの出会いに恵まれる。

 

屋久島が紡いでくれた結婚指輪作り。素敵な出会いに、ありがとう。

おふたりが出会った屋久島でつくる結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

 

あるがままの自然を感じながら暮らし、作りたい。

そう思ったことが、わたしがこの島に暮らし始めたきっかけだったのだけど、島でのお仕事を選んだおふたりにも、きっと近しい感覚があったのかもしれない。

 

森や海、空に月。

大きな時間がわたしたちに与えてくれるインスピレーションは、とても多いように思う。

 

今は島を離れているおふたりだけど、大切な部分でつながっていることのできる、親しみに似た安堵のようなものを感じながら。

 

まずはファーストタッチとして、今回の指輪作りのために配合したピンクゴールドを炎で包み、やわらかく作業を進めやすい状態に整えた。

 

そして、金槌でコンコンと、細いゴールドの線の両端を叩いていく。

彼女のリングとなる地金に、太い部分と細い部分が生まれるように、同じタッチを何度も繰り返していく。

 

本格的な造形作業に入る前の、下拵えのような控えめな作業ではあるけれど、

この積み重ねが、やがてリングの表情に美しい抑揚を与えてくれる。

 

金槌で叩くことで生まれた厚みのむらを削り整えた後、再びガスバーナーの炎に包み、ピンクゴールドをやわらかくした。

そして、鉄の芯金に沿わせ、くるりとリング状に巻いていく。

 

彼女のリングには、軽やかなリズムのようなものが感じられ、

均一な幅で作り進める彼のリングには、落ち着いた安定感がある。

 

おふたりと共に育んできたイメージが形になっていく。

同じピンクゴールドから生まれるふたつのリングは、これからそれぞれの表情を深めながら、やわらかなつながりを築いていく。

ほんの少しずつではあるけれど、その時間を前にしていることが、とても嬉しかった。

 

台風が去り、これからまた雨の日々が続くかもしれない。

島の重たい湿度も、雨音も、色とりどりに咲く紫陽花も。

おふたりと分かち合う、一度だけの季節なのだと思うと、

今この瞬間が、いっそう大切なものに感じられた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547