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屋久島サウスの12月、プラチナ輝きに魅せられながら #屋久島でつくる結婚指輪

作業の合間にいつものビーチまで出かけ、少しだけ浜辺を歩いて、帰り道に郵便局に寄り、年末の諸々の手続きを終えた。

「さあ、アトリエに帰ろう」というところで、車窓から海のキラキラに目をとめて、見晴らしの良い場所で車を止めた。

冬の光を眺めるのが大好きだ。

 

朝の木漏れ日のような、水面の煌めきのような。

プラチナの輝きに魅せられながら。

12月の色彩と、温かなプラチナの手触り #屋久島でつくる結婚指輪

 

タッチを重ねるたび、プラチナリングに小さな息吹のようなものが宿ってゆく。

その時間に対峙することができるのは、作り手ならではの喜びであるように思う。

 

彼女のリングとリズムを合わせるようにして、彼のリングを同じフォルムで仕上げていく。

リング幅と厚みは、彼のサイズに合わせて大きく作ることにした。

つけた時のフィーリングだったり、お二人が並んだ時の雰囲気を、より親密なものに仕上げたかったからだ。

 

造形がひと段落した二本のリングを作業台に並べ、次の工程に移ることにする。

 

リングの表面には2箇所に三日月型の切り込み模様が入っていて、それらが生み出すラインがリングを一周、なめらかな波のように巡っている。

リング全体は光沢仕上げに、三日月の切り込み模様部分はマットに仕上げる予定である。

どちらも異なる表情だけど、どちらも同じ場所にある。

 

「じゃあ、その光と影のような印象に、時間を感じられる“動き”を与えるにはどうしようか」

そう考え、リング全体に大きな揺らぎを与えることを思いついた。

 

 

プラチナリングを鉄の台に置いて、コンコンと叩いて曲げてゆく。

大きなカーブから始め、小さなカーブへと、少しずつ段階を追いながら、同じタッチを繰り返す。

思いの外、シンプルな作業なのである。

 

アトリエに広がる空気はひんやりとして心地よい。

窓の向こうには大きな虹がかかっている。

生垣の山茶花にメジロたちが集まり、チィチィチィと楽しげに囀っている。

わたしは、プラチナリングのサイズを測り、円形を整え、また少し叩いてカーブを与える。

屋久島サウスの12月は、このようにのんびりと過ぎてゆくのであった。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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