
屋久島の南海上を、台風が通り過ぎている。
その勢力は猛烈で、はるか遠くから届くうねりは力強い。
島の北部にある河口には形のよい波が打ち寄せていて、その波に乗るために、ここ数日は夜明け前の海に通っていた。
まだ暗いうちから沖に出て、太陽が昇るのを眺めながら、何本もの波に乗った。
海からは、水墨画のような山々のシルエットが浮かんで見えた。
海から上がると、スマホの時計はまだ7時を示していて、
それから車を走らせてアトリエに戻り、
コーヒーを作って、作業机に向かう。
そのような島の時間の中で、少しずつ、おふたりのリングが形作られていった。
東から強く吹く風はずいぶん温かく、海辺にはひまわりも咲き始めている。
フェリーは欠航を続けているけれど、島がしばらく外の世界から切り離されたような感覚も、深い集中をもたらしてくれる。
この静かな日々は、あと何日続くのだろうか。
花のジュエリーを作る時間は、いつも明るい気持ちに包まれる。
大好きなツワブキをモチーフにした、エンゲージリングづくり。
海と花、ジュエリーと。
暮らしのスタンスもそうだけど、
昔から、とにかくシンプルなものが好きだった。
この指輪も、一輪の花と細いリングで形作られる、シンプルなデザインではあるが、
その潔い佇まいを生み出すための細工は、見た目よりもずっと複雑だったりする。

イエローゴールドのリングは、直径が1.2mm
そこに0.8mmの穴を開けておく。
プラチナの花には同じく0.8mmの“茎”を設け、リングに開けた穴に通るようにした。

こうしておくと、ぴたり。
花とリングが、しっかりとひとつに組み合わさる。

花がリングから少し浮くように仕上げることで、つけた時の印象は、より華やかなものになる。
これから花とリングをひとつにしていくのだが、
より美しく仕上げるためには、その接点にできるだけ隙間がないことが好ましい。

庭先で、散歩道で、
花に目を留めるたび、その繊細な佇まいに魅せられてしまう。
カメラのファインダー越しに近づいてみると、
小さな造形の一つひとつが、どこまでも精巧で、完璧に見える。
軽やかなのに、驚くほどに力強い。
色鮮やかで、あたたかな喜びに満ちている。
その神秘的な造形に憧れながら、ジュエリー作りの探究を日々続けているのだと思う。
今日も一歩ずつ。
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