
一つひとつのタッチを重ね、バランスを整えながら進めていく。
少しずつの歩みではあるけれど、心の声を聞きながら手を動かす時間は、いつも楽しい。
それは、まるで夏休みの自由研究みたいに、ワクワクと心が踊る創作かもしれない。
イエローゴールドでかたどった3つの花は、菜の花がキュッと集まって咲くように、ひとつに繋ぎ合わせた。
植物を身に纏うようなデザインも、連なる花々のバランスも。
ジュエリー作りへの憧れやひらめきは、いつも、島で出会う情景の中にある。
島の時間に育まれたものが、大切な想いと出会うとき、そこにはどのようなジュエリーが生まれるのだろう。
そのような興味が、日々を実り多いものにしてくれている。
大切なジュエリー作りのお声がけをいただき、心からありがとう。

島もいよいよ夏本番を迎えたので、
制作は、朝の早い時間から始めることにした。
気温が上がる昼間には、作業の手を休め、涼を取る。
今日は、アトリエの近くにある小さな森の沢まで出かけた。

アトリエに戻り、次の工程を始めることに。
薄いプラチナの板を糸鋸で5mm弱の大きさに切り抜き、精密ヤスリで輪郭を整えていく。
小さなかけらにタガネを当て、金槌で叩いていくと、少しずつ、丸くやわらかな印象を帯びていく。
硬くて冷たいプラチナに、舞い散る花びらのような軽やかさが宿り始める。
舞い散る花びら?
少し意外に感じられるかもしれない。
けれど、この小さな花びらが、今回の指輪作りにおいて、大切なエッセンスになるのは間違いない。
彼の想いが、デザインを新しく、一つだけのものへと育んでいく。
まるで小さなリングが、自由な言葉を持ち始めたように、
わたし自身も、そこに紡がれるひとつ一つの表情から、目が離せなくなっている。
ゴールドの花とプラチナの花びら。
異なる二つを、ひとつに結び合わせていくのだが、
それらをなめらかに調和させるのは、
島で暮らした記憶と、
これまで積み重ねてきた、手作業の時間なのかもしれない。

