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雨の日に眺めるプラチナリングのきらめき #屋久島でつくる結婚指輪

お二人のプラチナリングの造形作業がひと段落したのは、昼過ぎから降り出した雨が、少しずつ強さを増してきた頃でした。

これは本格的になってきそうだと感じて、その前にリングを手に取り、軒先へ出てみました。

 

宿っては落ちてを繰り返す雨のしずくを眺めていると、不思議と心が落ち着いてきます。

この雨で、植物たちもひとまわり大きく育ったような気がして、ふと足元に目をやると、、、

大好きな白詰草が、ポツリポツリと芽吹いていました。

嬉しくなって、小さな雫を抱いた葉のそばで、そっとリングを手に取ってみると、

雨の薄暗がりの中に、プラチナの静かな輝きを、たしかに感じることができました。

 

彼女の2.3mm幅、彼の2.6mm幅。お揃いのラウンドシェイプで仕立てています。

リングには、このあと光沢仕上げを施すことになっているのですが、

潤う煌めきを宿したプラチナは、あるいは雨の雫のような、光をたたえた揺らぎに似ているのかもしれません。

 

お二人と相談を重ねてきた彫刻模様を施し、そして天然石をセットして生まれる一つだけの表情を思い描くと、胸が高鳴ります。

 

けれども、その美しい指輪については、また別のお話で。

屋久島から大阪に暮らすお二人にお届けするマリッジリングの完成は、もう少し先のお楽しみに。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

制作編

雨のち晴れ。今日も少しずつ #屋久島でつくる結婚指輪

雨のち晴れ。今日も少しずつ #屋久島でつくる結婚指輪

雨降りの朝だった。

穏やかに降り注ぐ、春の雨だ。

 

ちょうどこの日は、1日を制作に充てる予定だったから、なんだか嬉しくなった。

屋久島ならではの潤いに包まれる、雨の日の制作がとりわけ好きだ。

 

窓の向こうの緑は、しっとりとその色を深めて、
こぼれ落ちそうなほどの雫を抱いたハイビスカスの赤が、ひときわ鮮やかに浮かび上がっていた。

 

お二人の結婚指輪作りは、プラチナリングの削り出し作業を始めたところまでを書きました。

森の響き。ラウンドシェイプのプラチナリング。#屋久島でつくる結婚指輪

 

シンプルを特別に。

お二人とともに目指してきたのは、快適な付け心地と、そこにそっと宿る装飾の美しさであったように思う。

 

これから毎日をともに過ごす結婚指輪だからこそ、
まるで体の一部のように感じられる、やわらかでフレンドリーな時間をお届けしたい。

 

さて、

シンプルさの中に、自然な質感や手仕事の温もりが感じられる造形とは、いかに。

造形作業がひと段落した彼女のリングを横に置き、彼のリングを削り出す。

表面を、丸く、柔らかく。

二本のリングの呼吸をぴたりと合わせるように、同じフォルムへと整えていく。

 

手の大きさに合わせて、彼のリングは少し幅を広くすることにした。

見た目にはほとんどわからない程度だけれど、ほんの少しだけ厚みも持たせている。

 

今年の始まり、冬のアトリエでお会いしたお二人の印象を思い描きながら、

少しずつ、少しずつ。同じタッチを繰り返していく。

そのようなシンプルな作業を、ただ続けるうちに、心がすーっと平らになっていくのがわかった。

 

リングの内側の造形は、とくに大切にしたいところ。

指にふれる内側にも、鉄鋼ヤスリを入れ、丸く、柔らかな曲面を作り出しておく。

 

気がつけば、山々の上には青空が広がっていた。

窓を開けると、南国特有の湿度がふわりと部屋の中に入り込んでくる。

5月の甘い香りが漂っている。

わたしは、ずっと遠くを眺めながら、大きく深呼吸をする。

なんだか、とても淡々と、

満ち足りた時間が過ぎていくのであった。

 

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大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

サンフランシスコからお越しいただいたお二人と。

たくさんの距離を超えて、ついに屋久島でお会いすることができました。

幸せなひとときを、ありがとう!

大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まりです。

 

お二人とは、お会いする前に、メールをしたり、音声通話をする機会もありました。

その中で、自然や植物への愛情が、お二人からいっぱい伝わってきたのを覚えています。

 

紫陽花、桜、ツワブキ、シダの葉。

彼女が大好きなお花をモチーフにしたリングを揃えて、わたしもワクワクしながらお待ちしていました。

 

漂うスローな島時間の中で、指輪を手に取るひととき。

 

まるで植物のように、静かに佇みながらリングを愛でる彼女。

「素敵だね!」と、歓喜の表現をストレートに伝えてくれる彼。

 

そのバランスというか、お二人の出会いが、とても愛おしく思えました。

 

確かに、指輪は「形あるもの」ではありますが、

その向こう側、と言いましょうか。

空気の中に漂う自然の神秘のようなものを大切に想う気持ちで、お二人とは繋がっているように感じています。

 

「生まれてくるリングが、どのような過程を持って、どのように育まれていくのだろうか?」

「作ったリングを、誰に使っていただけるのか?」

お互いに、それぞれの意思を抱きながら、同じ船に乗り、指輪作りの旅へとオールを漕ぎ出しました。

 

もしかすると、旅の目的地は、完成よりも、もっとずっと先にあるのかもしれません。

時折メンテナンスをしながら、リングを育んでいく、

お二人の暮らしに寄り添いながら、そのような時間をご一緒できることは、私にとって、何よりも幸せなことのように思うのです。

 

実は、この日。島の西側にある滝でお二人と待ち合わせをしていたのですが、

相談会を終えてふと気がつくと、もう日暮れが近づいていて、驚きました。

 

もちろん、お二人が選んでくれたのは、大好きな植物にまつわるデザインです。

予想していなかったチョイスになったのも、とても嬉しい出会いでしたね!

 

日暮れ前、庭先の緑がいっそう深くなり、

少し雨の匂いが漂い始めています。

赤い花びらを閉じ始めるハイビスカスが、1日の終わりを告げていました。

 

偶然のような、必然に導かれるようにして、

わたしたちの指輪作りは進んでゆくのでした。

 

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森の響き。ラウンドシェイプのプラチナリング。#屋久島でつくる結婚指輪

小さな森の中でプラチナリングを眺めるひととき。

杉の葉の新緑が瑞々しい。

穏やかで力強い緑の中に、静かに佇むリングを見つめていると、このプラチナも、同じ大地から生まれてきたのだと、深く腑に落ちる。

まだまだ制作が始まったばかりだけど、この“響き”を大切に、指輪作りを進めていきたい。

 

 

冬のアトリエでは、ご家族とお会いすることができました。

屋久島が紡いでくれた、素敵なご縁に心から感謝しています。

屋久島での出会いと結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

 

この島に確かに漂う、強い磁力のようなものを感じながら、お二人の結婚指輪を作っている。

とても感覚的ではあるけれど、

空気に満ちる響きに癒される気持ちで、きっと、お二人と繋がっているのかもしれない。

森の響き。静かなる躍動。

 

さて、くるりとリング状に形成したプラチナリング。

鉄鋼ヤスリを片手に、その表面を削り出していく。

 

最初は荒い目を使い、大きく一周、もう一周。

そして、目の少し細かいヤスリに持ち替え、同じタッチをさらに何度も繰り返していく。

リング表面にある角を消し、そこに生まれる新たな角をまた削り落とす。

無数の線を繋ぎ合わせ、ひとつの滑らかな曲面を作り出していくような感覚だ。

リングの左右が対象となるようにして、交互に、同じ力を加えながらタッチを進めていく。

 

屋久島でマラソンを走るお二人だから、きっとこれからも、アウトドアでの時間をたくさん重ねていくのだろう。

安心してお使いいただけるよう、しっかりと強度を持たせて仕上げたい。

磨き直しやメンテナンスなどに対応した仕様を目指して、これまでお二人と相談を重ねてきた。

 

思い描いたのは、シンプルなラウンドシェイプのフォルムである。

シンプルだからこそ、オーダーメイドでかたちづくるリングには、きっと、お二人の暮らしが色濃く映し出されるのではないだろうか。

 

小さな森へ続く散歩道。

道端に咲く無数の花々から、ふわりと甘い香りが漂ってきた。

それはどこか、雨の香りにも似た、やわらかく包み込むような。

一年ぶりの懐かしい香り。

歩みを進めるたび、夢の世界へと誘われるような気がした。

 

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屋久島での出会いと結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

夜明けが、ずいぶんと早くなってきた。

海辺で迎える早朝の時間には、まだ少し寒さが残り、岸から海へと吹き込む風も冷たく感じられる。

フリースをしっかりと着込み、水面に柔らかなオレンジ色のラインを描く陽光の温もりを、ただありがたく眺めていた。

 

深いブルーから、眩しい光へと移りゆく空を眺めていると、「さあ、今日を始めよう!」と、島に鼓舞されるように、静かな力が湧いてくる。

 

これまでの制作がひと段落し、新たな制作を始める前のひとときを、海で迎えるのが好きだ。

いよいよ、お二人の結婚指輪作りが始まる。

 

ご家族がアトリエを訪れてくれたのは、島に寒波が訪れていた年明けの日のことだった。

とても寒い一日だったけれど、赤ちゃんを交互に抱きながらサンプルリングを囲んだ、あのあたたかな時間のことは、今でも鮮やかな記憶として心に残っている。

どきりとするほど空の澄み渡った、冬の日のことだった。

 

あれから冬を丸ごと一つ越えて、島は新緑の季節を迎えている。

山々には生命力に満ちた緑が宿り、深く、力強い癒しをもたらしてくれる。

庭先では、藤の花に月見草、ハイビスカスも咲き始めた。

 

アトリエでは、お二人のために配合をしたプラチナを作業机の上に用意した。

そして、その固いプラチナを、これからくるりとリング状に丸めていく。

時折、酸素トーチの炎で焼きなましながら、少しずつ、美しい円を描くように。少しずつ。

 

そして、目当てのサイズを測り、リング両端をカットして、繋ぎ合わせる。

言葉にすると、とてもシンプルな作業に思えるが、正確なタッチが仕上がりの美しさを左右する、大切な工程だ。

1000度を超える温度下での手作業なので、注意深くならなくてはならない。

 

炎の中で、リングはオレンジ色の強い輝きを放つ。

集中が深まり、心が平になっていく。

リングの繋ぎ目に、少しだけ融点の低いプラチナ片をそっと置き、さらに温度を上昇させながら、そのプラチナ片を溶かして流し込む。

 

彼のリングに続いて、彼女のリングを。

これからは、同じ工程を交互に繰り返しながら、工程を進めていく。

さあ、楽しい時間の始まりだ。

 

 

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出会い編

ご家族と過ごす幸せな日。2025年最初の相談会でした! #屋久島でつくる結婚指輪