
material: platinum, diamond
size: 2.0mm and 2.6mm
Delivery time is within 3 months.
Made by custom, One-of-a-kind.
こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

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屋久島の森に咲く小さな白い花をモチーフにした指輪作りも、いよいよ終盤へと差し掛かりました。
細いプラチナの線や薄い板を組み合わせて、ひとつひとつのパーツを仕立てているのですが、
花びらと石枠を組み合わせたお花の部分が完成し、
茎を模して造形した細いリングと組み合わせていくところです。

お花の中心に通したプラチナの線をリングに通すと、
かちりと、小さな合図のような音を立てて、一つになりました。
角度やバランスを、ここでしっかりと整えておきます。
一度火を入れて溶接を行うと、もう戻ることはできないので、細やかな調整を納得いくまで繰り返しました。
プラチナで仕立てた、シンプルで凛としたフォルム。
この中心に、一粒のダイヤモンドをセットします。
今はまだ長く伸びた石枠も、最終的には低い位置までカットされるので、すっきりとコンパクトな佇まいに仕上がるだろう。
少し先の未来を思い描きながら、ワクワクした気持ちで細やかなタッチを重ねています。

指輪作りの日々のあいだには、何度か夜明けの海へ出かけました。
気がつけば、太陽が昇る時刻もずいぶん遅くなったように感じます。
それでもまだ水温は高く、秋の東風に運ばれてきた波に乗って、アトリエに戻り、作業机に向かっていた、その清々しい余韻は、今も体の中に満ちています。

いかにも南国らしいブーゲンビリアが、この時期に咲くのは少し意外かもしれませんが、
屋久島サウスでは、春先と秋に花を咲かせる植物でもあります。
ハッとするような鮮やかな色彩に出会うと、思わず足を止めて、日向ぼっこをしてしまうのですよね。
今年もいよいよ、あと1ヶ月と少しになりました。
これからの季節は、プレゼントとしてのジュエリーをお届けする機会が増えてきますが、
このリングも、お二人に素敵な時間をお過ごしいただけるよう、
最後の仕上げを大切に進めていきたいと思っています。
そして、リングが出来上がる頃には、冬の花が咲き始めているかもしれません。
南国のあたたかな色彩に包まれる、大好きな季節を思いながら。
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制作編

巡りゆく季節。波のリズム。刹那と永遠と。
彼女のお名前の響きに重ねるように、菜の花をモチーフに婚約指輪をお作りしました。
思えば、菜の花が咲く季節から始まったオーダーメイドでしたが、
島ではコスモスが咲き始め、豊かな時の移ろいを感じています。
婚約指輪作りから、結婚指輪が出来上がるまで、
本当にありがとうございました。
三人で手を繋いでいるような安心感が、作業の日々をあたたかく包み込んでくれました。
気がつけば、夏はどこかへと遠ざかり、
朝夕は涼やかな風が通り抜けるようになりました。
ところどころに秋の色彩が散りばめられています。
アトリエには金木犀の香りが漂い、空に浮かぶうろこ雲を眺めては、心躍らせています。
これまでご一緒したかけがえない日々を、
もう懐かしく思い出しながら。
海の向こうにお届けする指輪を、静かに眺めていました。

コスモスの花びらの上に、そっとリングをのせてみる。
指先には、確かなプラチナの重さが伝わるのに、
手触りはどこまでも優しい。
全体にゆるやかなカーブを帯びた、
波のような輪郭の中に、
リズムの異なるもうひとつの曲線が巡っています。
そのラインを境に、光沢仕上げの部分が鏡のように世界を写し出す。
ちょうど半分がマット仕上げで、
その柔らかな質感が、島の時間に響き合い、
溶けていきそうに感じられました。

彼女の2.0mm幅と彼の2.6mm幅
内側には、おふたりの大切な言葉を、日付とともに刻みました。
刻印の文字は、外側からは見えないけれど、
おふたりの心の中に、ずっとある。
どんな時も、スタート地点を指し示してくれる針のように、
これからの長い時間を寄り添っていく。

激しく降り注いだ雨が上がり、
秋の爽やかな晴れ間が広がりました。
アトリエの窓の向こう、山際の低いところに虹が掛かると、
それは、冬の訪れが近いことを知らせる合図でもあります。
おふたりの暮らす長野では、
そろそろ、山々に雪が積もるころでしょうか。
そして、もうしばらくすると、
島ではツワブキの花や山茶花、そして菜の花が咲き始め、
寒い季節にやさしい彩りと小さな励ましを与えてくれます。
そのようにしてわたしたちは、
少しずつ季節と足並みをそろえるようにして、
月日を巡りゆくのですね。
これから何度、同じ花を一緒に見ることができるのだろう。
そう考えると、今という時間が、とても貴重なものに感じられます。
ご結婚おめでとうございます。
このリングがおふたりの暮らしに、永く寄り添ってくれますように。
楽しい指輪作りを、ありがとうございました。

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久しぶりに、長く雨が降り続いた。
秋の深まりを感じさせる、冷たくて静かな雨だ。
この日は朝からずっとアトリエにこもり、雨音に包まれているような深まりの中、花をモチーフにしたプラチナリング作りをこつこつと進めていた。
雨足が弱くなってきたところで、作業の手を止め、庭先に出てみると、金木犀の花が、たくさんの雫を抱いていた。
その黄色くて楽しげな佇まいを眺めているだけで、励まされる。
甘くて爽やかな香りが、遠くで眠っていた感覚を呼び覚ましてくれる。
花は、小指の先端に収まるほどに小さい。
小さいものに、これほど愛おしさを感じてしまうのは、どうしてなのだろう。
まだ背丈よりも低い金木犀の木の下に座り込み、夢中になって眺めていると、また雨が強くなってくる。
そして、急いでアトリエへと戻る。
今年の金木犀も、いよいよ満開に近づいた。

さて、アトリエです。
作業台の上に並んだ、五つの小さな造形。
花弁の制作をひと段落させたあと、プラチナの板を4mmほどの葉の形に切り取り、タガネで表面を叩いて丸くて柔らかな表情を与えた。
同じ工程を並行して五回ずつ丁寧に繰り返し、最後に全体を磨き上げる。
仕上がった小さな葉は、どれもわずかに不揃いで、その揺らぎが有機的な個性を生み出している。
その個性を、うまくまとめ上げるようにして、一つ一つのタッチを積み重ねていく。
もし、右側に偏りが生まれると、左側にほんの少しの調整を加えながら、最高の仕上がりを目指していく。
手作業から生まれる、かけがえのない造形は、時間に似ているように思う。
5枚の花びらを一つにつなぎ合わせ、花弁と組み合わせた。
酸素トーチの細く高温の炎を使いながら、溶接作業を何度も繰り返す、細やかで緊張感の続く工程だったけれど、
端正なフォルムに仕上がり、ほっと一息といったところだ。
プラチナと、ダイヤモンド。細い線と薄いプレート。
限りなくシンプルな要素が集まり、一つのリングへと紡がれてゆく。
その時間はまるで、本当の花が咲こうとしている瞬間のようで、
そこに宿る、奇跡のような美しさを感じずにはいられない。
夕暮れ時、気がつけばもう雨は上がっている。
窓を大きく開き、フレッシュな空気の中で、その小さなプラチナの造形を眺めていた。

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制作編
屋久島の森に咲く白い花をモチーフに、プラチナリングを作っている。
小さな花と同じくらいのサイズに仕立てていくパーツは、ひとつひとつが驚くほど繊細だ。
まずは、プラチナの細い線を組み合わせ、石枠を形づくっていく。
まるで本物の花を手にとるように、そっと造形を重ねていた。
そこにセットするのは、ひと粒のダイヤモンドだ。
清らかな透明を纏うその輝きは、あのとき、あの森で出会った花のイメージそのものである。
実のところ、この白い花に出会ったのは、ほんの数度きりしかないのだが、
こうして作業机に向かっているだけで、登山道に漂っていた甘く、瑞々しい香りの記憶がふわりと蘇ってくる。
ときには胸を高鳴らせ、
ときには心を柔らかに包んでくれる。
花にはいつも、新しい風のようなものを運んでくれる不思議があるように思う。

屋久島サウスではコスモスが咲き始め、南の島に遅い秋の訪れを告げている。

なぜかいつも、ひまわりも一緒に咲いているのが、屋久島流かもしれない。
道路沿いに広がるパステルのドットにしばらく身を包み、ふわりと癒されておく。

8本の細い線が放射状に伸びる小さなプラチナは、花弁を模した石枠となる。
こうして、花をモチーフにジュエリーを作っていると、植物たちの精巧でしなやかな作りに、いつも驚くばかりだ。
まるで空気の中から生まれてきたような、スムーズで美しい造形に憧れ、ずっと追いかけてきたように思う。
花は、同じ種類のものでも、よく眺めてみると、一つ一つに個性が宿っているところも好きだ。
小さなリングにも、これから少しずつ呼吸が吹き込まれていくのだと思うと、なんだか楽しくなる。
手の中でゆっくりと、大切に育んでいきたい。
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