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#屋久島でつくる結婚指輪

イエローゴールドとプラチナが描くやわらかなつながり #屋久島でつくる結婚指輪

造形のひと段落した2本のリングを、太陽の光の下で眺めるひととき。
澄み渡る空気に包まれた、清々しい朝でした。
庭先には山茶花が、ぽこぽこと花をつけ始めています。
緑の中に灯る、赤い小さなドット。
そしてプラチナとイエローゴールド。
島に漂い始めた冬の気配がリングと出会い、素敵な色彩を作り出していました。

ガラスの器の中でそっと重ね合わせてみると、そこにやわらかなつながりが生まれ、イエローゴールドとプラチナがひとつのグラデーションを描き出しているように見えました。
まだお会いしたことはないけれど、海の向こうに暮らすおふたりの姿と重なり合ったような気がして、なんだか幸せな気持ちに包まれました。
考えてみると、ゴールドもプラチナも、広い大地から生まれたもので、
その美しさを思うと、この世界の奇跡を感じずにはいられません。
そして、わたしたちもまた、同じ自然の中に生まれ、存在しているのだと思うと、とても勇気づけられるのです。
時間をかけ、そのままを丁寧に磨いていくことができればいいな、と。
そんな思いが浮かぶのは、金属が宿す、わたしたちよりもずっと長い時間の感覚に触れたからなのかもしれません。
永遠の中におふたりが出会い、わたしが今、屋久島で指輪を作っていること。
それ自体に、冬の澄み渡る空のような、無垢な美しさを感じるのでした。

さて、長く続いた指輪作りも、いよいよ最後の工程を残すばかりとなりました。
おふたりにとっても、大切な日が近づいてきています。
晴れやかな気持ちとともに、どこか名残惜しさも感じられますが 。
リングには、これから彫刻模様を施し、磨き仕上げへと進めてまいります。
この続きは、また別のお話で。
自然と近しく生きるおふたりのシンボルのようなデザインを、どうぞお楽しみにしていてください。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
制作編
Linked Fern Leaves, when the two rings come to life on Yakushima

A day filled with refreshing sunlight, as if the island itself were smiling gently.
They visited my studio in Yakushima all the way from Nara and Kyoto.
The sasanqua flowers had just begun to bloom in the garden, their small red petals glowing softly against the green.
I happened to decorate the table with fern leaves, and it felt like a lovely coincidence that they had chosen a fern motif for their rings.
“Do you prefer the leaves on the outside or on the inside of the ring?”
“What if we engraved the leaves on the outside so they connect, forming one motif when the two rings come together?”
Suddenly, we came up with a beautiful idea.
Maybe the fresh air of Yakushima Island makes us feel so inspired.
Of course, it was my first time engraving a connected motif on the outside.
I already can’t wait to make it.
It feels almost like a miracle that we were able to meet on this little island in the world.
The two rings may be as precious as a single flower blooming on a vast stretch of land.
Thank you so much for coming to see me, and for always following my work on Instagram.
After the consultation, we took photos together and said goodbye.
When I happened to look up, I saw the faint glow of the daytime moon shining in the sky.
I found them right beside me, looking at the same moon — the three of us standing side by side.


手の中で育むもの。#屋久島でつくる結婚指輪

鉄鋼ヤスリでの削りだし作業を終えたあとは、サンドペーパーに持ち替え、手の中で大切に育むように磨き上げていく。
ここまでくると、手の感覚だけが頼りになってくる。
できる限り、リングと自分自身の距離を近くしていたい。
心を澄ませ、タッチを重ねていくと、金属の響きのようなものがダイレクトに伝わってくる。
リングの表面は、やわらかにラウンドを描くフォルムだ。
全体にはしっかりとした厚みを残しておく。
アウトドアでかなりハードなアクティビティを楽しまれるおふたりなので、強度を高く仕上げていきたい。
結婚指輪を長く作っていて思うのは、やはりメンテナンス性の大切さに尽きるような気がする。
この先、長くお使いいただくリングだから、後から容易に手を加えやすいよう、できるだけシンプルで、真っ白な造形に仕上げておきたい。
使ううちに小さなキズがつき、それを何年かに一度磨き直して、また身につける。
そのようなリズムを繰り返しながら、リングはおふたりの時間に育まれながら、少しずつ味わいを増していく。
あるいは、一つだけのデザインとは、この先のお二人の未来の中で、初めて完成していくものなのかもしれない。

リングの中に生まれた、ひと筋の流れのようなものを、ルーペ越しに確かめておく。
その流れがどこまでもスムーズに巡るように、細やかなタッチアップを重ねた。
彼のリングを整え終えると、それをそばに置いて眺めながら、彼女のリングをゆっくりと磨き上げた。
片方の側面からイエローゴールドが始まり、もう片方に向かうにつれて、グラデーションを描くようにプラチナへと変わってゆく。
わたしたちがともに思い描いてきた色彩の巡りが、いまここにある。
小さなリングが、登り始めた太陽のように、明るい光で励ましてくれる。

指輪を作り進めていた日々には、毎朝のように海の方角から登る太陽を眺めた。
庭の生垣では、山茶花が蕾から花へと、美しい変化を遂げている。
作業机に向かっているといつも、その光と始まりのイメージに、わたし自身も癒されていたように思う。
もう少しでリングは完成することになるのだけれど、実のところ、それが新しい時間の始まりだったりして、きっとここから、癒しがじんわりと広がっていくのだろう。
朝の木漏れ日の中にいるような、あたたかくて眩い希望を抱きながら。

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制作編