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やわらかなひかり。屋久島からお届けする、小さな月のネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

うつろう色彩、やわらかなひかり。

大切な記念のジュエリーをオーダーいただき、ありがとうございました。

この一年が、素敵な時間に包まれますように。

 

海の月ネックレス 18k yellow gold, 夜光貝

 

屋久島の海からいただいた夜光貝は、

その個体や場所によって、映し出す色彩が少しずつ異なっていて、

「どんな輝きに出会えるのだろう」と、作業の途中はいつも胸が高鳴るのですが、

その一度きりの出会いもまた、自然からの贈り物のようで、かけがえのないものに思えます。

 

月の形に削り出した夜光貝には、

透明感のあるブルーやマゼンタ、オレンジの光が浮かび上がり、

まるで本物の月が、手の中で静かに輝いているようでした。

 

貝殻にはイエローゴールドを合わせ、

耐久性を高めながら、上品で洗練された印象にお仕立てしています。

細いイエローゴールドのチェーンを通しているので、

身に纏うと、まるで月が胸元に浮かび上がるようで、とても美しいです。

 

大切な記念のジュエリーにお選びいただき、本当にありがとうございました。

 

そうそう、

制作の途中、ある日には、昼間の月を見ることができたのですよ。

 

オムレツ型だったり、三日月だったり。

朝の月も、真夜中の満月も。

ふとした瞬間に何気なく出会う月に、

わたし自身もいつも癒されながら、いつもジュエリーを作っています。

 

海を越えて遠く離れていても、

同じような喜びを分かち合えて、幸せでした。

 

やがて、太陽が水平線に沈み、夜の気配が漂いはじめるころ。

ネックレスを海にかざすと、月が光の中に浮かんでいるように見えました。

 

あたたかな潮風が、その小さな月を静かに揺らしています。

ときおり、きらきらと煌めきを放ちながら、島の時間と響きあっていました。

 

秋に漂うこの芳醇な風も、一緒にお届けできますように。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

潮騒の記憶、時の煌めきとプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

ここ数日は、嵐が続いているので、アトリエにこもる日々が続いています。

指輪作りが始まった頃に訪れた浜辺の情景を、懐かしむように思い浮かべながら、静かな気持ちで作業机に向かっています。

 

海は本当に不思議で、あれほど大きな潮騒に包まれているのに、どこかとても静かな場所に感じられます。

心がすっと穏やかになっていくのです。

 

小さな島での暮らしですので、海はいつも近くにあって、ふとした瞬間に癒してくれる。

ジュエリー作りに、豊かなインスピレーションを与えてくれているように思います。

 

波打ち際を歩いて、打ち寄せる波や、水面を走るうねりを眺めていると、かたちを持たない力のようなものを感じます。

それは、季節の巡りや、朝と夜、雨が降って虹が現れる――みたいな、移りゆく時間のかたちなのかもしれません。

 

ときにはかたちを宿し、ときには空気を漂うものとなりながら。

おふたりのリングもまた、わたしたちをいつもやさしく包み込んでくれる、“時間”のようなものになればと思うのです。

 

リングの表面には、ぐるりと巡る流線を削り出し、そのエッジを際立たせるように仕立てました。

アウトラインにも、ゆるやかなカーブを施しています。

 

造形作業も佳境に差し掛かると、結局のところ、最後は手の感覚のみを頼りに進めていくような感じになるのですが、

紙やすりを片手に、プラチナリングを包み込むように磨き上げていくと、

やがて手の中に、一つの小さな光のようなものが、ぽつりと灯る瞬間に出会えます。

 

それは、確かな重みを持った温度であり、

まるでここに一輪の花が咲いたような時間が、静かに訪れるのです。

 

思い返してみると、彼から最初にお便りをいただいたのは、あちらこちらで桜の花が咲き始めた春先のことでした。

あれから、菜の花をモチーフにした婚約指輪の制作を経て、半年ほど。

屋久島の南部では、いまコスモスが開花を迎えようとしています。

 

おふたりとこの夏をご一緒した結婚指輪作りも、いよいよ完成間近となり、

なんだか少しだけ、名残惜しいような気もしますが 笑。

この指輪の完成は、実はゴールではなく、スタートの合図でもあるのですね。

 

お互いに、美しいスタートを迎えることができるように、

最後まで、しっかりと、丁寧に仕上げていかなくては。

 

造形作業がひと段落したプラチナリングには、内側に刻印を施して、磨き仕上げの工程を待つばかりとなりましたが、

この続きは、また別のお話で。

 

夕暮れ時のビーチに散りばめられるような、まばゆくやわらかな輝きを纏って仕上がるリングを、どうぞ楽しみにしていてください。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

植物と響き合うかたち。雨の日のプラチナリングづくり #屋久島でつくる結婚指輪

 

菜の花の婚約指輪

ナノハナの指輪 屋久島からお届けする約束の指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

植物と響き合うかたち。雨の日のプラチナリングづくり #屋久島でつくる結婚指輪

早朝の散歩道で、オレンジ色に染まる朝焼けを眺めた時を境にして、島は強い風雨に包まれた。

秋雨前線がもたらすこの荒天は、これから数日間続くことになり、その間は流通も途絶えることになる。

屋久島の、この季節ならではのリズムだ。

 

久しぶりにまとまった雨が降り、島が外界から隔たれてしまうと、アトリエでの制作に自ずと集中が深まっていく。

窓の向こうに響く雨音を聞きながら作業机に向かい、

雨足が弱まると庭先に出て、湿度に満ちた世界を楽しんでいた。

 

新しい季節がもたらした鋭敏な感覚のおかげだろうか。

プラチナリングの造形作業も、この二日ほどで大きくその進捗を加速させることになった。

 

植物との親和性、という感覚は、実はジュエリー作りにおいて最も大切にしているところだったりする。

 

硬くて冷たい金属に、どのようにして、やさしさや温度を与えていくのか。

その尽きることのない興味に、庭先で出会う植物たちや雨の雫は、いつもインスピレーションを与えてくれる。

 

おふたりには、婚約指輪としてお花のリングをお作りした。

彼女が重ねて身につけるとき、ふたつのリングがやさしく馴染むように仕立てていきたいところだ。

 

2本のリングの造形が揃ったところで、庭先に持ち出し、そのシルエットを眺めてみる。

ここまでくると、「ずいぶんプラチナを削ぎ落としたな」という感覚だけど、これでようやく6割ほどの削り出しになる。

 

少し足を伸ばして、散歩に出かけようとしたところ、また雨が強くなってきたので、アトリエに戻ることにした。

シダの葉が雫を纏う、その佇まいを胸に留めておく。

 

さて、これからリングに大きく力をかけていく大切なところ。

その工程を控え、酸素トーチの炎でプラチナを焼きなましておく。

 

リングの緊張が解けたところで、鉄の枠にあて、木槌で叩きながら圧をかけていく。

タッチを重ねるたびに、リングは大きくその形状を変え、新しい表情を宿していく。

一度整えたものにダイナミックな変化を加えるのは、なかなか思い切りのいる作業ではあるが、頭の中にしっかりと、少し先の未来を思い描きながら、慎重に、そして思い切りよく手を進めていった。

 

やがて、リング全体に柔らかな曲線が生まれたところで、芯金に通し、コンコンと木槌で叩きながら内側の円形を整えていく。

これまでにも何度も繰り返してきた手作業は、とても素早い。

叩くたび、手の中でプラチナが少しずつ硬さを取り戻していくのがわかる。

 

理想のフォルムが生まれ、サイズがぴたりと合わさる瞬間は、いつまで経っても職人冥利に尽きる喜びだ。

 

おふたりの指輪作りも、いよいよ折り返し地点を過ぎたといったところだ。

 

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制作編

巡りゆく季節。波のリズム。刹那と永遠と。#屋久島でつくる結婚指輪

巡りゆく季節。波のリズム。刹那と永遠と。#屋久島でつくる結婚指輪

漂う空気の中に、ときおり出会う秋の色彩に心を躍らせながら、おふたりの結婚指輪を作っている。

今年は、いつもよりも少し遅い秋のような気がするのだけど、それでも夕暮れ時にはオレンジ色を纏った雲がとても綺麗だ。

 

作業机に向かい、プラチナリングを手にしていると、金属に流れる時間を、ふと感じることがある。

それは、限りなく永遠に近い時間であるように思う。

 

繰り返し巡りゆく季節。波のリズム。刹那と永遠と。

小さなリングの中に宿る果てしない時を思い描きながら。

 

さて、今日も作っている。

 

プラチナリングは、その幅に変化を持たせて仕立ててある。

表面には、何本もの罫書き線を描き、それをガイドラインにして、マジックで波のようにゆるやかなラインを描いた。

作業の間では、案外、0.1mm単位の数字もたくさん登場する。

 

そして、鉄鋼ヤスリを片手に、リングを削り出していく。

マジックで描いたラインを残すようにして、思い切りよくタッチを重ねていった。

フォルムの中に一つの流れが生まれるまで、手を動かし続けなくてはならない。

 

作業に夢中になっていて、気がつけば、プラチナの粉が作業台の上にいっぱいになっていた。

 

リングはずいぶんとすっきり削り落とされ、そこに芽生えた、小さな温度のようなものを感じることができた。

はじめてリングが自然に近づいたように感じられて、なんだかほっこりした。

 

考えてみると、とても腑に落ちるもので、

自然と理とは、いつも同時にあって、世界にやさしさを作り出していく。

 

数字を駆使しながら合理的に進める作業にもまた、金属の時間と手の揺らぎが出会う、奇跡のような喜びがある。

 

今、手の中にあるプラチナリングにも、そのような調和に包まれた、小さな時間が育まれるといいと思う。

おふたりが思い描いたリングは、きっと、おふたりの物語を宿す、かけがえのないものに違いないのだから。

 

 

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制作編

季節とともに紡ぐ。屋久島と長野をつなぐプラチナリング作り #屋久島でつくる結婚指輪

季節とともに紡ぐ。屋久島と長野をつなぐプラチナリング作り #屋久島でつくる結婚指輪

新しい制作を始めることにしたのは、夜のあいだ激しく降っていた雨が止んだばかりの、湿度に満ちた朝のことだった。

庭先では、たくさんのツユクサが集うように咲いている。

久しぶりに大好きな花が咲いたのが嬉しくて、散りばめられたブルーの小花を眺めながら、静かな気持ちに満たされていた。

 

その屋久島の情景の中に、とても澄んだ、力強い輝きが共鳴している。

おふたりの結婚指輪は、お揃いのプラチナで作り進めていくことになる。

 

アトリエに戻り、窓の向こうに目をやると、山際に薄くかかった虹が見えた。

10月も半ばに差しかかっているというのに、屋久島の南部はまだ夏のような暑さに包まれている。

 

おふたりが暮らす長野は、もうすっかり秋の気配に満ちているのだろうか。

キノコや栗、リンゴ、そしてカボチャやサツマイモ。

どれも、きっと今がいちばんおいしい季節だ。

 

屋久島と長野。

自然と寄り添うように暮らす時間が、静かに距離を越え、

おふたりとわたしに、やわらかく、そして豊かなつながりをもたらしてくれている。

 

結婚指輪として永くお使いいただけるよう、特別に硬く配合をしたプラチナなので、

酸素バーナーの炎に包み、柔らかく焼きなましてから、全ての作業を始めることになる。

 

プラチナが少し柔らかくなったところで、鉄の芯金に当てて木槌で叩く。

それでもなかなかに硬いもので、しっかりと力を込めながら、

ゆっくりと、少しずつ、リング状に整えていく。

 

コンコン、とプラチナを叩く音がアトリエに響く。

昔からずっと変わることのない、手作業のリズムがここにある。

 

窓の向こうからは、ときおり激しい雨音が聞こえてきては、またどこかへと去ってゆく。

アトリエのすぐ前では、サキシマフヨウがポコポコと薄ピンク色の花を咲かせ始めている。

 

このようして、おふたりの結婚指輪作りは、南国の心地よい空気の中で、静かにその第一歩を踏み出したのであった。

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