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南国の情景のなかに育まれゆくもの #屋久島でつくる結婚指輪

イエローゴールドとシャンパンゴールドのリングに磨き仕上げを施していたのは、久しぶりの激しい雨が、島全体に降り続いていた時だった。

 

目の粗さが異なる紙やすりを使い分けながら、表面に滑らかな光を巡らせるようなイメージで、タッチを重ねていた。

 

ときには工程を少し戻して鉄工ヤスリで形を整え、再び前へと進む。

直に身に纏う指輪なので、最後は手の感覚を頼りに、その質感を整えていく。

 

大きな雨音に包まれているのに、なぜかとても静かに感じられ、心地よいひとときだった。

 

リングのフォルムは、おふたりともに、丸みを帯びたラウンドシェイプ。

そのやわらかな印象は、島の自然と響き合っているように思う。

 

水も、植物も、光も、風も、音も、

豊かな時間を宿しながら、いつもここにある。

 

ラウンドシェイプのリングは、メンテナンス性に優れている点も、長く使う結婚指輪において安心できるところだ。

 

その普遍的なフォルムに、これから彫刻模様を施していくのだけど、

おふたりとの指輪作りで生まれた新しいデザインを、わたしも楽しみにしている。

 

つるりと磨きあげた彼女のリングを、窓辺の光にかざして眺めてみる。

シャンパンゴールドの、植物のように親密な色彩が、とても好きだ。

光沢仕上げを施すことで現れる新しい表情も、どうぞご期待いただきたい。

 

この雨が上がると、日差しは強くなり、いっそう濃い熱帯の気配が満ちてくるだろう。

島の季節に寄り添いながら、ゆっくりと育まれてきた、おふたりとの指輪作りだったように思う。

 

作業もいよいよ終盤に差し掛かり、ほのかな名残惜しさも感じつつも、

来るべきリングの完成が、わたしたちに新しい時の始まりを予告している。

 

雨のやみ間に庭に出てみると、玄関先にツユクサが咲いていることに気がついた。

なぜだか、いいことがありそうな気がした昼下がり。

 

遠くから、ざあざあと波音が聞こえてくる。

雨のおかげで、芝生の緑もいっそう濃くなってきた。

毎年のことながら、4月末の雨がとても新鮮に感じられる。

 

巡りゆく南国の情景のなかで、ひとつの新しい息吹が芽生えつつある。

そのひとときを、どこか満ち足りた思いで眺めていた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

リングの造形作業を終え、海へ #屋久島でつくる結婚指輪

リングの造形作業を終え、海へ #屋久島でつくる結婚指輪

夕暮れ時に雨が上がりました。

 

リングの造形作業もちょうどひと段落したところだったので、少し遠出をして海に出かけることに。

ビーチサンダルとタオルを積んで、島の西側へ車を走らせました。

 

浜辺を歩くと、差し込みはじめた日差しがまぶしく、海からの風も暖かかった。

 

細やかな作業の多いジュエリーづくりなので、こうして広い場所で遠くを眺めているだけで、目も心も癒されます。

長く続いた集中がふわりと解けていく中で、一日の作業をゆっくりと振り返っていました。

 

リングを削り出すときは、表面にいくつかのガイドラインを罫書き、それを頼りにヤスリを入れていきます。

線を超えないよう、角度を保ちながら、リング一周に均一なタッチを重ねていきます。

 

手にダイレクトに伝わってくる、イエローゴールドの生の質感が心地よい。

 

ラウンドシェイプのリング作りでは、全体の均整を保つことが、ひとつの要になります。

 

片面を少し削ると、反対側を同じ分量だけ削り出す。

その単純な往復のリズムを、何度も繰り返していきました。

 

削り出しの作業では、滑らかなラインを生み出すため、できるだけ途中で手を止めないようにしているのですが、

それだけに、作業が無事にひと区切りついたときの安堵感がすごいです。

 

気がつけば、昨夜から降り続いていた雨も上がっていたので、

リングを手に庭先に出て、緑の中でそのシルエットを眺めました。

 

3.0mm幅、ラウンドシェイプ。

そのフォルムから、イエローゴールドの質量と光を確かに感じ取ることができます。

 

やわらかなカーブなので手触りはやさしく、小さな傷がついても、メンテナンスを重ねながら長くお使いいただけるだろう。

 

まだ作業の途中ではあるけれど、近い未来のことを想い、春のひかりが降り注ぐような、キラキラとした喜びに満たされていました。

 

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

手仕事のリズム、大地の響き #屋久島でつくる結婚指輪

手仕事のリズム、大地の響き #屋久島でつくる結婚指輪

指輪作りでは、金槌や木槌を手にする時間が多い。

大小さまざまな種類を使い分けながら、ゴールドを叩き、かたちを整えていく。

 

こんこんと、はるか昔から変わらない手仕事のリズムが、アトリエに響く。

 

少しずつではあるが、おふたりとともに思い描いたリングの姿が、手の中で確かなかたちを帯びていく。

 

鉄の芯金にあてて丸く仕立てたリングを、再びバーナーの炎に包み、両端をぴたりと繋ぎ合わせた。

ゴールドは、輪になることで、驚くほどに強度を高くする。

 

繋ぎ目を残さないよう、細心の注意を払いながら進める工程だが、うまく仕上げることができたように思う。

作業を終えると、手の力ではほとんど変化を与えられない硬さが、小さなリングに宿っていた。

 

 

屋久島と仙台。

シャンパンゴールドとイエローゴールドで紡ぐ結婚指輪。

おふたりとの素敵な出会いに、ありがとう。

出会うこと。ふたつのゴールドで結婚指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

 

まだ冬の寒い時期にお便りをいただき、始まったオーダーメイドだったけど、

島は新緑の季節を迎え、庭先や散歩道には、色とりどりの花がひらき始めている。

 

ゆっくりとした歩みではあるけれど、

こうして島の時間の中で育まれてゆくおふたりの指輪もまた、美しい一輪の花のように思いながら。

 

萌える新緑というのも、なるほど。

今にも動き出しそうな山々が、複雑で繊細な風を運んできてくれる。

 

花はどれだけ小さくても、目に優しいのはなぜだろう。

作業の合間に、その精緻な造形を眺め、癒されておく。

 

2本のリングを重ねてみると、その色彩の違いがとても心地よく感じられた。

細やかな配合がなされ、精製された金属ではあるが、それらが大地から生まれたもの、あるいは大地そのものなのだと思うと、勇気づけられる。

わたしたちもまた、その美しい自然の一部なのかもしれない、と。

 

この大地の響きのようなものを、いつも近くに感じられるように、これからリングの造形を進めていきたいと思う。

 

 

 

出会うこと。ふたつのゴールドで結婚指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

夜明けの空が、鮮やかに色づきはじめている。

陸から海へと流れる風はゆるやかで、まだ少し冷たい。

一日の始まりに波に乗ろうと、5時過ぎに浜辺に立つと、水平線はすでに淡く光を帯びていた。

 

 

海からアトリエに戻り、カフェオレを作り、作業机に向かう。

時計の針は、8時過ぎを指している。

波がある日のリズムだ。

 

自然はいつも、創作に澄んだインスピレーションを与えてくれる。

そのような喜びを、誰かと分かち合うことができると、日々は静かに満ちていく。

 

屋久島よりもはるか北、自然に近く暮らすおふたりを思いながら、

新しいジュエリー作りに取り掛かることにした。

 

奥に見えるのが、彼のイエローゴールド。

手前にあるのが、彼女のシャンパンゴールド。

同じK18ゴールドでありながら、色の印象は大きく異なっている。

 

イエローゴールドには太陽のような温かみがあり、彩度が高い。

一方、シャンパンゴールドは、どこか植物的な気配を含んだ、落ち着きのある上品な色合いを見せてくれる。

ゴールドは24分率を基準に配合される。

18の純金部分は共通で、残りの6の組み合わせを変えることで、この違いが生まれてくる。

そして、その配合には、装飾品としての強度や安定性も同時に求められる。

 

お揃いでありながらも、お互いが個性を宿している。

ときに引き立て合い、ときに補い合いながら、ひとつのかたちへと結ばれていく。

ふたつのゴールドで作る結婚指輪には、わたしたちの時間がふれあった瞬間に生まれる、あの反応に似たものがあるように思う。

 

さて、いよいよお二人の結婚指輪作りが始まる。

ゴールドの色合いと、リング幅に微妙な変化を持たせながら、同じラウンドシェイプのフォルムを作り上げていく。

春の可憐な花をモチーフにした彫刻模様が、そのつながりをより確かなものにする。

 

はじめに、ガスバーナーの炎でゴールドを包み、600度ほどまで温度を上げた。

均一に火を巡らせておくことで、金属はやわらかくなり、このあとの手仕事が進めやすくなる。

 

やがて、ゴールドが赤みを帯び始める。

溶けてしまわないように、ゆっくりと、慎重に手を進めていく。

 

夕暮れが訪れ、アトリエは深い緑に包まれている。

雨降りの前兆なのだろうか、不思議なくらい静かだった。

 

そして、タイミングを見定めて、火から離す。

すぐにゴールドをグラスの水へと落とすと、ジュっと歯切れの良い音を立てた。

 

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満ち欠ける月、シャンパンゴールドとプラチナの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

春の香りの中で眺めた、コンビネーションリング。

淡い光をまとった色彩が満ちていて、

シャンパンゴールドもプラチナも、島の時間に溶けていきそうに感じられました。

まるで月を眺めているような、澄んだ安らぎが込み上げてきました。

 

 

おふたりの結婚指輪を作り進めていたのは、ちょうど島で皆既月食を眺めた頃でした。

春の訪れとともに湿度が満ち、植物たちが生き生きとした表情を取り戻していく、熱帯の日々でした。

満ち欠ける月と、シャンパンゴールド、プラチナの結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

 

月にまつわるおふたりの結婚指輪作りだったこともあり、

制作のあいだは、よく空に浮かぶ月を眺めていたような気がします。

 

完成したときに、アトリエの周りに月見草が咲いていたのも、なんだか素敵なタイミングでした。

 

島リズムのゆっくりとしたペースとなりましたが、長いあいだお付き合いをいただき、本当にありがとう。

 

満ち欠けを繰り返し、時とともに表情を移ろわせ、ときには驚くほどに大きく見えたり。

月が奏でる神秘的リズムに魅せられてデザインした、おふたりの結婚指輪です。

 

彼の2.0mm幅と、彼女の1.8mm幅

お揃いのラウンド-スクエアシェイプでお仕立てした、コンビネーションリングです。

 

重ね合わせた佇まいは、とても繊細でやさしい。

 

内側から側面へ、そしてわずかに表面へと、シャンパンゴールドのやわらかな黄金色が広がっています。

表面から側面にかけては、プラチナの静かな輝きが満ちています。

 

リングの中では、それぞれの金属がちょうど半分ずつになるようにお仕立てしています。

 

プラチナを基調としつつも、

ときおり、さりげなくシャンパンゴールドの色彩が感じられる。

 

その表情のやわらかな移ろいは、まるで月のような豊かさをたたえ、心にそっと満ちてきます。

 

おふたりと指輪作りで分かち合ってきたものは、あるいは、空気の中に漂う、響きのようなものだったのかもしれません。

 

 

リング内側のデザインも、大切にしたところです。

お名前と日付を彫刻し、その間にムーンストーンを添えて仕上げました。

 

その細やかで力強い細工を眺めていると、どこか祈りにも似た、澄んだ気持ちに包まれていきました。

 

新しい始まりを迎えるおふたりとご一緒できた、希望に満ちたひとときだったように思います。

雨上がりの屋久島サウスより、

おめでとう。ありがとう。

 

そして、私たちの物語は、まだもう少し続いていくのでした。

 

このリングは、もうしばらく大切にお預かりをし、

アトリエでお会いできる日を、今はとても楽しみにしています。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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