雨降りで始まった相談会。
話に夢中になっているうちに、気づけばアトリエは青空に包まれていました。
お二人のお気に入りのデザインや、ずっと気になっていたシャンパンゴールドを実際に手に取っていただけて、ひらめきに満ちた時間でした。
大好きな海の話にも花が咲きました。
これからどんな指輪が生まれるのだろう。
今から楽しみでなりません。
遠くから会いにきてくれて、本当にありがとう!
お二人とご一緒できた、幸せな余韻に包まれながら。
雨降りで始まった相談会。
話に夢中になっているうちに、気づけばアトリエは青空に包まれていました。
お二人のお気に入りのデザインや、ずっと気になっていたシャンパンゴールドを実際に手に取っていただけて、ひらめきに満ちた時間でした。
大好きな海の話にも花が咲きました。
これからどんな指輪が生まれるのだろう。
今から楽しみでなりません。
遠くから会いにきてくれて、本当にありがとう!
お二人とご一緒できた、幸せな余韻に包まれながら。
アジサイの指輪 platinum, diamond
アジサイをモチーフに仕立てたエタニティリング。
長く続いた制作を終えると、
屋久島サウスには、久しぶりの雨が降り始めました。
まるで新しい季節の訪れを告げる合図のような雨。
春が深まり、庭先に雨の香りが漂うと、
「もうすぐ紫陽花の季節がやってくる!」と、胸が高鳴ります。
まるで水の中にいるような、静かな時間。
島に暮らすようになってから、雨の日が大好きになりました。
ポツリ、ポツリ。
柔らかな雨音に誘われるようにして庭先に出てみると、
深い緑の中に、ぽこぽこと紫陽花の青や紫が散らばっています。
紫陽花は、キュッと集まっている佇まいが、なんとも愛おしいのですよね。
大切そうに抱いている雨の滴は、まるでダイヤモンドの煌めきのようにも見えます。
リングの素材は、お二人とご一緒したオーダーメイドで初めて生まれた組み合わせです。
光沢仕上げのプラチナに、クリアカラーのダイヤモンドを一周セットすると、
透明感のある、瑞々しい仕上がりとなりました。
とても小さなリングなのに、
手にすると、静かに想いがあふれてくるのは、
島の雨の中で紫陽花を眺める時間に、どこか似ているのかもしれません。
大好きな屋久島の時間から生まれたジュエリーだと思います。
ありがとう。
この喜びを、お二人と分かち合うことができることを、何よりも幸せに感じながら。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
お二人の結婚指輪を作っている間に、アトリエの庭先には、春の花が次々と咲きはじめました。
黄色やマゼンタ、ピンク色。
名前も知らない草花もありますが、懐かしい顔ぶれとの再会に心を踊らせながら、作業机に向かっています。
ゆっくりと、けれど力強く、確かに歩みを進める植物たちにペースを合わせるように、ですね。
作業もいよいよ終盤へと差し掛かりました。
シルバーリングの表面を丸く柔らかに、
そして側面にはフラットな部分を残して、すっきりとした印象に仕上げていきます。
手にする道具は、粗さの異なる鉄鋼ヤスリを3本。
あとは、手の感覚を頼りに、少しずつタッチを重ねていく。
これまでに何度となく、似たシルエットのリングを作ってきたけれど、
生まれてくる形がいつも新しいところが、手作業の大好きなところです。
お二人との出会いや、島の季節に導かれるように、少しずつ、少しずつ。
まずは彼のリングから。
ガリガリと、静かなアトリエにリングを削る音が響きます。
はるか昔から変わらない手作業であります。
彼のリングがある程度形になったところで、今度は彼女のリングを削り出す。
二つのリングのバランスを整えるように、交互に磨き上げていく。
片方が少し進めば、もう片方がそれに追いついていく。
シーソーのような工程を繰り返しながら、何日かを過ごしました。
春の穏やかな風と、散歩途中のネコくらいがアトリエのまわりを通り過ぎていった、とても静かな時間でした。
月見草が咲いていることに気がついたのは、ちょうどシルバーリングのアウトラインにカーブを施し終え、そのシルエットを眺めようと庭に出た時のことでした。
そういえば、シルバーには、開いたばかりの花びらのような、無垢な手触りを感じることがあるなあ。
彼女の2.0mm幅と彼の2.6mm幅。
柔らかな曲線をまとい、とてもピュアな佇まいです。
この優しい雰囲気をそのままに、長く安心してお使いいただける丈夫さを持つというのが、理想としているところ。
これから金属をキュッと引き締めながら、強く仕上げていきます。
あと少し。
ゆっくりと時間をかけて仕上げ作業を施し、リングはやがて、洗練されたフォルムへとたどり着くわけですが、
出来上がりはもう少し先のお楽しみに。
屋久島から海の向こうに暮らすお二人にお届けするシルバーリングの完成編は、また別のお話で。
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制作編
夜明け間近の月は、水平線の近くに浮かんでいた。
ちょうど満月を過ぎたところだったのかもしれない。
まだ5時過ぎだったけど、空はほんのり明るくて、1日を早くスタートできたような気がして、嬉しかった。
作業を始める前に海で時間を過ごすことができるのは、島暮らしならではの喜びだと思う。
お二人とは、指輪作りの始まりに、一度お電話で話しました。
わたしもずっと街で暮らしていたけれど、
自然に近い暮らしへの憧れで、お二人とはつながっているような気がしています。
「これから自然に近い場所で暮らしていきたいです!」
結婚指輪作りの始まりに、お二人はそう話してくれた。
シンプルで、体の一部のように優しく馴染むシルバーリング。
きっと、これからの暮らしには、手を動かす時間もたくさんあるはずだから、メンテナンスのしやすさも考えて、プレーンなスタイルのデザインを選んだ。
シルバー特有の柔らかく優しい手触りの中に、しっかりとした強さを宿すよう、丁寧に仕上げていかなくてはならない。
さて、アトリエです。
くるりとリング状になったシルバーは、造形を施す前にひと作業を加えておく。
金槌でコンコンと、表面を、そして側面を叩いていく。
こうしておくと、シルバーの組成が圧縮されて、グッと硬くなる。
リング全体が一回り小さくなるくらいまで、しっかりと力を込めて叩いていった。
表面にできた凸凹はこれから削り落としていく。
タッチの形跡は全て消えてなくなるけれど、それは、料理で言うところの下拵えのようなものかもしれない。
表面に現れないところが、実は手触りや感覚にダイレクトに響いてくる。
とても大切な工程だったりもする。
金槌を使った作業を一通り終えて、リングを手に取ってみると、しっかりとした安定感のようなものが伝わってきた。
優しさと確かさと。
煌めきと静けさが、同時に存在する感じ。
島の光、風のリズム、草木や海、出会う人々も。
すべてが調和の中で紡がれてゆく。
目の前にあるシルバーリングも、この大地から生まれたものだと思うと、腑に落ちる感覚がある。
お二人は、どんなふうに出会ったのだろう。
そんなことを、不意に思った。
すべてと響き合いながら、長い時間をかけてゆっくりと育まれゆく。
野原に咲いた一輪の花みたいな、澄んだ美しさを宿す指輪になればいいと思う。
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4月のいきいきとした色彩が、島を豊かに包み込んでいる。
山々に広がる緑は、なんとも多様で、そして力強い。
毎年のことのはずなのに、新緑の季節が訪れるたび、どうしてこんなにも心が躍るのだろう。
アトリエの窓から差し込む、南国特有のまばゆい光に癒されながら、新しいジュエリー作りに取り掛かっていた。
シルバーを小さな耐熱容器に入れ、ガスバーナーの炎を最大まで強めて、まわし当てる。
赤く輝きながら、金属がゆっくりと液体へと変わっていく。
その瞬間を見計らって、すっと鉄の枠に流し込む。
まずは最初の第一歩だ。
藤の花が咲いていることに気がついたのは、作業が一段落し、休憩を兼ねて庭先に出た時だった。
アトリエの西側、いつもの場所に、房のように集まった紫色の花が風に揺られている。
「そうか、この季節に咲くのだった!」と、嬉しい驚きがあった。
背丈よりも高いところに咲く花を見上げると、その隙間から差し込む西陽が眩しくて、思わず目を細めた。
気持ちを新たにして、アトリエに戻る。
棒状に固めたシルバーを引き伸ばしながら、その形状を整えていく。
ときおり、バーナーの火を当てて金属を柔らかくし、目当ての寸法になるまで、何度も圧縮を繰り返す。
少しずつ、フォルムが端正になってゆく。
作業場はとても静かで、いつもとは違う時間が流れているように感じられる。
深いところで、とてもゆっくりと流れていく。
目当ての寸法に整えたシルバーは、お二人のサイズに合わせて、くるりとリング状に巻いた。
冷たいはずなのに、そこには小さく宿るあたたかさを感じることができる。
これまでお二人と育んできたイメージが、今ここで、かすかな手応えとなって、形を帯びつつある。
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