
モデル:身長162cm
チェーン:38cm

モデル:身長162cm
チェーン:38cm










屋久島から北海道へ。
おふたりの大切な日に向けておつくりした、ナノハナの指輪。
もうすぐ、七夕です。
季節の節目や、暦の中の小さな出来事に心が向くようになったのも、
こうして皆さまと、オーダーメイドのやり取りをさせていただいているからかもしれません。
素敵な贈り物のご相談をいただき、本当にありがとうございました。
春の光から生まれたナノハナの指輪を、七夕の願いに重ねること。
それはなんとも美しく、ひとつの物語のように感じられました。

星空が紡ぐ、永遠の時に響きを重ねるように、
リングは、K18イエローゴールドとダイヤモンドでお仕立ていたしました。
光沢仕上げを施したリングは、光そのものを纏うような印象かもしれません。
厚い雲の隙間から、つかのま陽光が降り注ぎ、
小さな花をやさしく包み込んでいました。
緑の中で眺めていると、本当に花が咲いたみたいに見えて、
おふたりの大切な想いが、ひとつの形になったのだなあと、
あたたかな気持ちが溢れてきました。

こちら屋久島は、あと数日で梅雨明けといったところでしょうか。
南国ならではの、暑く湿った空気が漂い始めています。
こうして、はるか距離を超えて、ジュエリー作りをご一緒できることも、
今という時が運んでくれた恵みのように思うのです。
大好きな花、そして屋久島が紡いでくれた出会いに、ありがとう。

リングはケースに入れて、リボンを結んでおきました。
素敵な贈り物となりますように。
屋久島の北部、港を望む小さな森の中で。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

台風が過ぎ去った翌朝、まだ暗いうちに目を覚ました。
アトリエの窓の向こうに連なる山々を眺めると、
空気はどこまでも澄み渡り、夢の中のような色彩に包まれていた。
雲の流れが、とても速い。
その向こう側に、濃いブルーの空が広がり、現れては隠れてを繰り返している。
刻々と移りゆく島の気配に呼吸を合わせるようにして、作業机に向かっていた。
雨のリズム、シャンパンゴールドの指輪作り
焼きなましたリングを鉄の枠に添え、木槌で叩きながら、そのアウトラインに緩やかなカーブを与えていった。
内側の円形を保ちながら、少しずつ造形を整えていく。コンコン。
途中、何度かリングを火にかけて、滑らかな曲線が生まれるまで、同じ工程を繰り返した。
シルエットが理想のものになったところで、表面についた黒い酸化膜を薬液につけて落とし、いよいよ最終の磨き仕上げ作業に取り掛かることにした。
太陽は高い位置へと昇り始め、窓の向こうもようやく明るくなってきた。
激しく降り続いた雨は霧のように弱まり、夏めいた強い日差しが差し込んでいた。
まずは、精密ヤスリを使って、リングの表面に流れを作り出していく。
とどまることのない、永遠の流れ。
途中、キッチンでカフェオレを作り、それを飲みながらまた作業机に向かう。
ここからは、長丁場になる。
その後、紙やすりで磨きをかけていくと、ここで初めて、シャンパンゴールドの本来の色彩が現れた。
胸が高鳴るのを感じながら、じっくりと丁寧に、細部まで磨きあげ、
ふたつのリングを窓際で眺めると、まるで朝の光そのもののように、清らかに輝いていた。

光の巡り、響き合うリズム、永遠の流れ。

とてもシンプルなフォルムにお仕立てしてあるのは、
日々の暮らしにより馴染みやすくなるように。
そして、リングの表面と内側に施す彫刻模様が、より印象的に浮かび上がるように。
おふたりにとって大切な場所である屋久島の記憶を、これからリングに刻んでいくのだけど、
この続きはまた別のお話で。

指輪作りの間、いつも美しく咲いていてくれた紫陽花に、ありがとう。
大切な想いから生まれる、ひとつだけの指輪の完成は、もう少し先のお楽しみに。
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雨上がりの朝に。
咲いたばかりのハイビスカスのそばで、シャンパンゴールドのリングを眺めた。
削り出し作業を終えたリングのフォルムは、丸く、やわらかい。
木々の合間から差し込み始めた光にかざし、リングをくるくると回しながら、その表情を確かめていた。
まだまだ作業は途中ではあるけれど、
少しずつ、リングが小さな息吹を帯びてきたように思う。
サイズ違いのお揃いのシルエットが並ぶ様子を眺めていると、なんだかとても嬉しくなる。
シャンパンゴールドの淡い黄金色は、深い緑と、鮮やかな赤と、静かに響きあっていた。

それにしても、暑い。
眩しい空。もくもくとした大きな雲。
梅雨の終わりも近づいて、7月を前に、島は急に夏めいてきた。
リングが完成する頃には、アイスコーヒーやスイカがおいしい季節になっているのだろうなあと、
少し先の未来に心を躍らせながら。

アトリエでは、次の造形作業に向けて、下準備を進めていた。
ガスバーナーの炎でリングを包み、赤く色づくまで、ゆっくりと温度を上げていく。
シャンパンゴールドは、肩の力を抜くようにして、作業のあいだ張り詰めていた力をゆるめていく。
温度が上がり過ぎないよう気をつけながら、じっくりと、リングに火を回す。
暗くしたアトリエに、オレンジ色の光が広がっている。
台風が近づいてきたせいか、遠くから風の音が聞こえてくる。
島の時間は、今日も静かに過ぎていく。
リングが真っ赤になったところで火を離し、グラスの中に注いた水の中に入れると、ジュっと歯切れの良い音を立てた。

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制作編

リング状に整えたシャンパンゴールドは、
その表面を金槌でコンコンと叩き、作業をひと段落いたしました。
金槌の叩き模様はこのあと削られ、表には見えなくなるのですが、
お料理で言うところの下拵えのようなものでしょうか。
こうしておくと、金属はその組成を引き締めるようにして硬くなるのです。
工程を経るたびに、硬くなったり、やわらかくなったりを繰り返す。
金属を扱っていると、まるで呼吸をしているように感じることがあります。
おふたりとアトリエでお会いした数日後に、大きな台風が島を通り過ぎ、長い雨の季節が始まりました。
神々しささえ感じる季節の移ろいに、歩みを合わせるようにしておふたりの指輪を作っています。
そしていま、また別の台風が島に近づいています。
今年は例年よりも台風が多いように感じますが、
幸いアトリエでは、無事に制作を続けることができています。
「今回の台風が過ぎたら、いよいよ夏が始まりそうですね。」
そんな会話も、島暮らしならではのような気がします。

ときどき大波が海を大きく巡らせることで、海中に広がるサンゴが健やかに育まれてゆく、という話も聞きました。

激しい風雨が過ぎ去ると、いつも新しい花に出会えるのも、楽しみの一つです。
浜辺には、ハマユウも咲き始めています。
そしてわたしたちも、このような大きな巡りの一部分なのだと思うと、なんだかとても勇気づけられるのです。
自然がそっと届けてくれる、小さな知らせのようなものを大切にする気持ちで、もしかするとおふたりとは繋がっているのかもしれません。

そして、いよいよ表面の削り出し作業へ。
鉄工ヤスリを片手に、丸くやわらかなフォルムを形作っていきます。
片側を一周、そして反対側を一周。
角度を変えながら、何度もタッチを重ねていくと、
少しずつ、ゆっくりと、リングが滑らかな手触りを宿していくのがわかります。
シャンパンゴールドは、咲いたばかりの花のような無垢な輝きを放ち、淡く上品な黄金色がリングを静かに巡り始めました。
金属のリズムが手の中に響いてきます。
シンプルなラウンドシェイプのデザインであるからこそ、それがダイレクトに伝わってくるのかもしれません。
この大地から届く、温もりを帯びた癒しを、おふたりと分かち合えることも、また嬉しく思うのです。
かたちの向こう側にある見えない感覚を大切にしながら、
小さなリングの中にひとつの流れが生まれるよう、手を動かし続けていました。
そして、彼のリングの削り出し作業をあらかた終え、少し経ってからだったと思います。
窓の向こうではまた、しとしと雨が降り始めました。
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