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Linked Fern Leaves, when the two rings come to life on Yakushima

A day filled with refreshing sunlight, as if the island itself were smiling gently.

They visited my studio in Yakushima all the way from Nara and Kyoto.

The sasanqua flowers had just begun to bloom in the garden, their small red petals glowing softly against the green.

 

I happened to decorate the table with fern leaves, and it felt like a lovely coincidence that they had chosen a fern motif for their rings.

 

“Do you prefer the leaves on the outside or on the inside of the ring?”

“What if we engraved the leaves on the outside so they connect, forming one motif when the two rings come together?”

 

Suddenly, we came up with a beautiful idea.

Maybe the fresh air of Yakushima Island makes us feel so inspired.

 

Of course, it was my first time engraving a connected motif on the outside.

I already can’t wait to make it.

 

It feels almost like a miracle that we were able to meet on this little island in the world.

The two rings may be as precious as a single flower blooming on a vast stretch of land.

Thank you so much for coming to see me, and for always following my work on Instagram.

 

After the consultation, we took photos together and said goodbye.

When I happened to look up, I saw the faint glow of the daytime moon shining in the sky.

I found them right beside me, looking at the same moon — the three of us standing side by side.

 

手の中で育むもの。#屋久島でつくる結婚指輪

鉄鋼ヤスリでの削りだし作業を終えたあとは、サンドペーパーに持ち替え、手の中で大切に育むように磨き上げていく。

ここまでくると、手の感覚だけが頼りになってくる。

 

できる限り、リングと自分自身の距離を近くしていたい。

心を澄ませ、タッチを重ねていくと、金属の響きのようなものがダイレクトに伝わってくる。

 

リングの表面は、やわらかにラウンドを描くフォルムだ。

全体にはしっかりとした厚みを残しておく。

 

アウトドアでかなりハードなアクティビティを楽しまれるおふたりなので、強度を高く仕上げていきたい。

 

結婚指輪を長く作っていて思うのは、やはりメンテナンス性の大切さに尽きるような気がする。

この先、長くお使いいただくリングだから、後から容易に手を加えやすいよう、できるだけシンプルで、真っ白な造形に仕上げておきたい。

 

使ううちに小さなキズがつき、それを何年かに一度磨き直して、また身につける。

そのようなリズムを繰り返しながら、リングはおふたりの時間に育まれながら、少しずつ味わいを増していく。

あるいは、一つだけのデザインとは、この先のお二人の未来の中で、初めて完成していくものなのかもしれない。

 

リングの中に生まれた、ひと筋の流れのようなものを、ルーペ越しに確かめておく。

その流れがどこまでもスムーズに巡るように、細やかなタッチアップを重ねた。

 

彼のリングを整え終えると、それをそばに置いて眺めながら、彼女のリングをゆっくりと磨き上げた。

 

片方の側面からイエローゴールドが始まり、もう片方に向かうにつれて、グラデーションを描くようにプラチナへと変わってゆく。

わたしたちがともに思い描いてきた色彩の巡りが、いまここにある。

小さなリングが、登り始めた太陽のように、明るい光で励ましてくれる。

 

指輪を作り進めていた日々には、毎朝のように海の方角から登る太陽を眺めた。

庭の生垣では、山茶花が蕾から花へと、美しい変化を遂げている。

作業机に向かっているといつも、その光と始まりのイメージに、わたし自身も癒されていたように思う。

 

もう少しでリングは完成することになるのだけれど、実のところ、それが新しい時間の始まりだったりして、きっとここから、癒しがじんわりと広がっていくのだろう。

 

朝の木漏れ日の中にいるような、あたたかくて眩い希望を抱きながら。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

制作編

ひかりのグラデーションと、コンビネーションの結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

ひかりのグラデーションと、コンビネーションの結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

雨の印象が強い屋久島だけれど、秋の終わりから冬にかけては、青空の広がる爽やかな日が、案外多かったりする。

朝夕はフリースを着込むことが増えてきたが、日中はシャツ一枚で過ごせるし、海水温もまだまだ高い。

 

朝は、まだ暗いうちからいつものビーチに出かけた。

ウエットスーツに着替え、浜辺までワクワクしながら走っていき、早朝の波に乗った。

 

 

ふたつの時間が出会い、ゆっくりと溶け合っていくように。

イエローゴールドとプラチナを組み合わせ、おふたりの結婚指輪を作っています。

イエローゴールドとプラチナが出会うとき。喜び満ちる結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

 

細やかな作業が続くジュエリーづくりで、キュッとなった緊張をふわりとほどいてくれる島の時間に、いつも助けられていると思う。

時には厳しく、時にはやわらかく包み込んでくれる、この癒しの感覚。

自然とともにある時間を大切に思う気持ちで、おふたりとは繋がっているのかもしれない。

 

さて、今日も作っている。

爽やかだった11月の海の印象とともに。

二つの金属をつなぎ合わせ、端正なリングのフォルムに整えた後、そこに大きくタッチを重ねていくのには、なかなかの勇気がいる。

作業を始める前、目の粗い鉄鋼ヤスリを手に、心を静かに整える。

 

表面を丸く柔らかに、側面にはシャープなラインを残してすっきりと整える。

そして、指に触れる内側にはやわらかな曲面を作り出す。

 

角ばったリングの内側には、わたしたちがイメージしたリングの姿が、確かにある。

そのイメージを明瞭に見つめながら、ゆっくりとタッチを重ねていく。

 

リング全体を覆う滑らかな曲線を作り出すために、ある程度の造形が整うまでは、ヤスリを持つ手を止めずに動かし続けなければならない。

 

もしかすると、それほど長くはなかったかもしれないけれど、とても濃密な時間だったように思う。

ふと手を止めると、そこには柔らかなアウトラインが現れていた。

ついさっきまでは、ひとつずつだったプラチナとイエローゴールドが、今朝眺めた空のグラデーションのように、ひとつになっている。

作業台の上では、削り出されたプラチナとイエローゴールドのかけらが混ざり合い、デスクライトの光を受けてキラキラと輝いていた。

 

作業をひと段落させて、キッチンでコーヒーを作り、それを飲みながら庭先をぼんやりと眺める。

奥の方にあるバナナの木が、季節外れの青い果実をつけている。

南国の眩しい光が、大きな葉を通り抜けて届いてくる。

遠くから聞こえてくる波音に耳を傾けながら、わたしはまた作業の続きに戻る。

 

島の指輪作りは、今日もこのようにして進んでいくのであった。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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イエローゴールドとプラチナが出会うとき。喜び満ちる結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

深い森を流れる清らかな水のように、光はどこまでも澄み切っている。

数日に一度、北の海から吹きつける風は、ひんやりと冷たい。

島にもようやく冬の気配が漂い始めたのだろうか。

気がつけば、12月がもうすぐそこまで近づいていた。

 

庭先に咲いたブーゲンビリア、夕暮れ時に眺める空。

南国を鮮やかに包み込む季節のグラデーションに、今年もまた出会えた喜びを胸に、作業机に向かっていた。

 

イエローゴールドとプラチナを組み合わせ、そこに一つの新しい色彩を生み出すようにして、おふたりの結婚指輪を作り進めている。

 

二つの金属が混ざり合って見えるよう、接合する面を波うつ複雑な形状に仕立てた。

何度も細やかな調整を重ね、それぞれがぴたりと合わさるように整えておく。

 

ここまでが、大切な下準備といったところだろうか。

 

そして、リングをガスバーナーの炎に包み、温度を900度近くまで引き上げていく。

 

十分に熱が回ったところで、プラチナとゴールドのわずかな隙間に、融点の低いゴールドをスッと流し込む。

しっかりと熱が回り、かつ金属が溶けてしまわないよう、狭い温度域を保ち続けなくてはならない。

 

作業の前半にして、最も大切な工程を無事に終えることができ、ほっと一息。

思い描いていた通りに、二つの金属を組み合わせることができたように思う。

 

ゴールドとプラチナは、7:3の比率になるよう量を調整した。

今はまだ、それぞれの金属が独立したままの姿に見える。

このふたつがひとつになるように、これから表面を削り出していく。

 

それにしても、異なる何かが出会うところには、水彩絵の具が混ざり合い、新しい色が生まれる瞬間のような、新鮮な感動がある。

プラチナとイエローゴールドもそうだし、秋と冬もそうだろう。

海と空が出会う場所。昼と夜が交差する時間。

その美しき移ろいの時を、大切な誰かと分かち合いたくなる。

そうすることができれば、私たちの日々はきっと喜びに包まれる。

 

小さくて静かな佇まいだけれど、ひだまりのように安らかなぬくもりが満ちている、そのようなリングになればいいと思う。

 

一日の作業がひと段落する頃、窓の向こうには三日月が輝き始めていた。

静かな気持ちに包まれながら、机の上にあるその小さな息吹のようなものを、どこか愛おしい思いで眺めていた。

 

ピンクゴールドとプラチナ。永遠を紡ぐ結婚指輪の煌めき #屋久島でつくる結婚指輪

ピンクゴールドとプラチナの煌めき。

夕暮れ時の浜辺で眺めた、おふたりの結婚指輪。

ひかりが重なり、どこまでも紡がれていくような、永遠を感じるひとときでした。

 

 

おふたりがアトリエを訪ねてくれたのは、

空がどこまでも澄み渡る、気持ちの良い夏の昼下がりのことでした。

島が紡ぐ物語、真夏の結婚指輪相談会 #屋久島でつくる結婚指輪

 

夏の余韻。

プラチナとピンクゴールドの輝きを育むように、ひとつひとつ造形を重ねた日々。

ピンクゴールドとプラチナが響き合う。希望あふれる結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島よりもずっと南にある、小さな島で出会ったおふたり。

海に囲まれた暮らしの中で、きっとわたしとも似たような時間を過ごされてきたのかもしれません。

 

潮風や波の音、そして眩しいほどの南国の光に包まれながら、

肩を並べて歩くようなぬくもりの中で、おふたりの結婚指輪をお作りすることができました。

 

波打ち際から少し離れた砂浜で、そっとリングを重ね合わせてみる。

 

光沢仕上げを施したプラチナとピンクゴールドが、

オレンジ色に染まる陽光に包まれ、穏やかな輝きを纏っています。

 

波打つようなカーブに仕立てたお揃いのフォルムは、どこまでもやわらかい。

 

そのふたつが調和し、ひとつの新しいリズムを奏でているように見えるのは、

それぞれの個性が、そっと補い合っているからなのかもしれません。

 

彼のプラチナリングには、三日月型の斜面を二箇所つくり、そこをマットな質感に整えました。

 

彼女のピンクゴールドは、鏡のように光沢のある表情に。

その表面には、波のようなラインが一周巡っていたり、

リング幅に強弱があったりと、リズミカルで楽しい。

 

不思議なもので、おふたりと言葉を交わしていると、

まるでそこに花が咲くように、ぱっとデザインが生まれる瞬間があります。

おふたりとの結婚指輪づくりにも、そのような奇跡があったように思うのです。

 

何かの誕生を分かち合うことができるオーダーメイドは、いつも幸せに満ちています。

その喜びを大切に育むように、昔ながらの手作業で、じっくりと丁寧に仕上げました。

 

 

砂浜から伝わる重たい冷たさと、暗がりの空に生まれる力強い光のコントラストが、

島に新しい季節の訪れを告げています。

 

見えない部分ではあるけれど、自分自身に響くところを大切にしたい。

内側のデザインには、心を込めました。

 

ある小さな島のシルエットと、一粒のブルーダイヤモンド、そして日付を刻む印。

このとてもシンプルで印象的なデザインには、

いったいどれだけの時間が詰まっているのだろう。

そう想いを巡らせると、果てしない気持ちに包まれます。

 

きっと、ここには、おふたりが忘れることのないシーンが、ひかりのように満ちている。

出会うことって本当に素敵です。

 

たしかに、わたしの手でお作りする結婚指輪ではあるけれど、

おふたりとご一緒した日々から、インスパイアされることがたくさんあったように思うのです。

 

オレンジ色に染まる水平線にかざしてみる。

打ち寄せる波の音と、夕暮れ時の冷たい風に、

ピンクゴールドとプラチナが溶けていきそうに感じられました。

 

おめでとう、ありがとう。

ただただ、シンプルな言葉が浮かんできました。

 

長くご一緒した指輪作りは、これでひと段落となりましたが、

おふたりにとっては、これが始まりの合図でもありますね。

 

季節が豊かな彩りをまといながら巡りゆくように、

わたしたちもまた、新しい始まりを繰り返しながら、長い日々を過ごしてゆくのかもしれません。

 

この二本のリングが、おふたりの暮らしに、やさしく寄り添ってくれますように。

 

屋久島サウス、いつものビーチにて。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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