屋久島サウスのアトリエです。
シルバーリングには要所要所で圧力を加え、硬くしながら仕上げていく。
金槌でその表面を、側面をコンコンと叩き、組成を圧縮するようにタッチを重ねていく。
完成には現れることのない、下拵えのような作業をしっかりと頑張る。
シルバーリング作りは、その手触りが楽しい。
いつも緑に囲まれている島での暮らしだけど、冷たいシルバーにも、植物が持つ温度のようなものを感じられたら素敵だと思う。
お二人とは、大切な気持ちを分かち合いながら、指輪作りの日々を歩んでいるように思う。
雨足が弱くなれば作業の手を休め、庭先で深呼吸をする、いつもの島リズム。
リングの表面を鉄鋼ヤスリで削り、整える作業に1日をかけ、夕暮れ時には1本のリングに丸いアウトラインが浮かび上がった。
大きな方、20.2号で仕上げる予定をしている彼のリングだ。
まだまだ荒削りではあるけれど、柔らかな手触りを感じることができる。
お二人と一緒に紡いだイメージが、今、手の中で少しずつ形を帯びていく。
島の緑の中に溶け込むように馴染んで見えたのは、きっとこのシルバーが、元々この大地から生まれたものだからだろう。
私たちの中に刻まれた大切な記憶のようなものを、リングとして身につける感覚をお楽しみいただけると嬉しい。
結局のところ、ずっと雨降りが続いた1日だった。
雨の日は、色濃い色彩に包まれた島の情景が目に楽しく映る。
お二人のリングには、オリジナルの植物模様を彫刻することになっているのだけれど、日々の暮らしの中で、ふとした瞬間に緑の印象を感じることができるのは、とても癒されるかもしれない。
薄暗くなってきた窓の向こうでは、ボツボツと、大粒の雨が弾ける音が響いていた。
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