屋久島サウスのアトリエです。
リングのアウトラインを精密ヤスリで整えて、表面を巡る曲線のエッジをシャープに際立たせると、お二人の結婚指輪作りもあといくつかの工程を残すのみとなっていた。
お二人と一緒に蒔いた種が結実するような晴々しい思いと同時に、
なんだか少し名残惜しいような気持ちもありながら。
屋久島から海を越えてずっとずっと向こうにメッセージや思いを届けたりしていたのだけれど、
ある領域においては距離は本当に関係なくなったのだな、と実感している。
確かにテキストや音声、画像ではほとんど距離は気にならなくなっている。
けれども動画やバーチャルでの解像度はリアルには到底及んでいない。
今のこれくらいのバランスがなかなか面白いのかもしれない。
まだ旅行も楽しむことができている。
この夏、島では温度感を持つ交流のようなものも久しぶりに溢れていたように思う。
屋久島とロサンゼルスを繋いで、温もりのあるジュエリー作りの日々をご一緒することができて幸せな気持ちでいっぱいだ。
ゆっくりと島リズムの制作にお付き合いいただきましてありがとう!
1本のk20イエローゴールドから二つのリングが生まれつつある。
ずっと長くお二人の暮らしに寄り添ってくれますように。
屋久島から海を越えてずっとずっと向こうを想いながら。
電気炉の温度を高過ぎることなく、低くならない程度に保つ。そしてそこにリングを入れて蓋をぴたりと閉めた。
1時間を待ってリングを取り出す、そしてコップに注いだ水の中に入れてジュワッと冷やす。
リングに“焼き”を入れて硬く仕上げる一連の作業は、いよいよ最後の磨き仕上げを迎える前の儀式のようにもなっている。
指輪作りの間には二日ほど種子島にも行っていた。
屋久島では屋久島でできることがあって、種子島には種子島でしかできないことがある。
そのような多様性の中で、暮らす場所や訪れる場所を選びながら、私たちは緩やかに繋がっている。
夜明けの海で眺めた空の色はイエローゴールドの輝きのようだったなあ。
リングの造形作業がひと段落して、ここで初めて2本のリングをぴたりと重ね合わせてみた。
リングの表面を巡るラインが螺旋を描きながら繋がっているようにも見えて、なんだか胸のずっと奥の方にグッときた。
優しい指輪だ。
一つの何かが手の中に生まれる瞬間を前にできるのは、作家ならではの喜びだと思う。
この喜びを海の向こうにお届けする前に、リングの内側に刻印を施すことになっている。
出来上がりのご紹介はその後で、
喜びのバトンタッチはもう少し先のお話に。
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