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みずみずしい癒し。おふたりの結婚指輪づくりが始まる日 #屋久島でつくる結婚指輪

月の美しい日が続いている。

9月になり、空の色彩はぐっと深みを増しつつある。

 

早い時間に目を覚ますと、窓の向こうには濃いオレンジ色に染まる朝焼けが広がっていた。

その光に魅せられて、アトリエから海の見える場所まで車を走らせ、空に浮かぶ月を眺めていた。

 

そういえば、夜明けの時刻もずいぶん遅くなってきた。

この島に暮らすようになってから、季節の巡りや海と月のリズムを、とても身近に感じられるようになった気がする。

 

あるいは、わたしたち自身もまた、その一部なのかもしれない。

そう思うと、力強い癒しに包まれる。

 

海からは湿った潮風が吹き上げてくる。

やがて太陽が雲の隙間から姿を現し、月のシルエットは少しずつ薄れていった。

 

ありがとう。

 

静かであたたかな心地に包まれながら、

アトリエに戻り、一日の作業に取り掛かることにした。

 

まずは、二本の細いシャンパンゴールドをガスバーナーの炎に包み、焼きなました。

表面が黒い酸化膜に覆われた地金をくるりとリング状に巻き、糸鋸で両端を目指すサイズに合わせてカットする。

お二人の結婚指輪作りが、いよいよ始まった。

 

リングの両端をぴたりと合わせ、融点の低い金属を流し込んで繋ぎ合わせるのだけど、炎の温度調整がシビアになるこの工程は、前半にして作業のクライマックスといえるのかもしれない。

高温下で繊細なリングが溶けてしまわないよう、最大限の注意を払わなくてはならない。

 

慎重に、そして思い切りよくタッチを進めていくうちに、心がすっと平らになっていくのがわかる。

この深く静かな場所が、とても好きだ。

まるで海のような穏やかさだと思う。

 

お二人も海の近くで暮らしているという。

ドライブの途中に水平線を眺めたり、何気なく月の満ち欠けを気にしたり、

わたしと同じようなリズムを感じながら、日々を過ごしているのかもしれない。

 

劇的な瞬間ではないかもしれない。

けれど、それはいつもわたしたちを、そっと包んでくれている。

空気の中に漂う神秘のようなものがある。

お二人の結婚指輪も、日々にみずみずしい彩りを添える癒しのようなものになればいいと思う。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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