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ピンクゴールドからシルバーへ。静かな夏の日々の記憶 #屋久島でつくる結婚指輪

カメラを空に向け、シャッターを切ると、トンボたちがフレームインするようになってきました。

いよいよ八月も後半にさしかかりました。

 

そういえば、夜明けはいつの間にか遅くなってきたように感じますし、

この頃は、夕焼けがオレンジ色に染まる光景にも、よく出会う気がします。

そろそろ、美味しいかぼちゃも市場に並ぶ頃でしょうか。

 

深みを帯びつつある島の季節に、胸を高鳴らせつつ、

もう少し夏が続いてほしいような気もしているこの頃です。

 

さて、アトリエでは、新しい作業が始まっています。

これまでピンクゴールドで作り進めていた、菜の花の指輪と対になるシルバーリング作りです。

 

お花のフォルムをそのままかたどった彼女のリングに対して、彼のリングは、シンプルな平打ちのデザインで造形を進めてまいります。

ふたつのリングには、素敵な繋がりをもたせて仕上げていく予定なのですが、それはまたもう少し先のお楽しみにとっておきましょう。

 

まずは、シルバーの板をローラーに通すところから。

寸法に微調整を加えながら、目標の数値に近づけていきました。

 

シルバーは、ゴールドやプラチナと比べ、柔らかい傾向のある金属なので、

強度を高めながら工程を進めていくことがとても大切になってきます。

 

これは、つけ心地や耐久性を支える重要なところ。

表には現れない部分を、しっかりと頑張っていきます。

 

くるりと丸く造形したシルバーリングには、

金槌で強く打ち付けて、さらに圧縮をかけていきました。

 

表面をコンコンと打ち付け、そして側面も。

リングの幅と厚みが0.2mmほど圧縮されるまで、何度も同じタッチを繰り返していきます。

 

工程をひと段落すると、金槌で叩いた深い痕跡を、リングの表面にしっかりと見ることができました。

その凸凹した表層部分を、鉄鋼ヤスリで削りとり、いよいよここから本格的な造形作業を始めることになるのです。

 

ふと、ざーっと音が聞こえてきて、窓の向こうに目をやると、

久しぶりに雨が降り始めていました。

かと思えば、すぐに雨雲は海のほうへと遠ざかり、夏の強い日差しが、またアトリエを包み込みました。

 

いつも変わらない、島のリズムだけど、

こうしてゆっくりと手を動かし続けていると、なんだかとても、心が平らになっていきます。

 

このようにして、愛おしき夏の日々は、静かに繰り返されていくのでした。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

あこがれの結婚指輪に出会うとき。ピンクゴールドとダイヤモンドで紡ぐ、ナノハナの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

ご家族との出会いと、シダの指輪にまつわる物語 #屋久島でつくる結婚指輪

アメリカに暮らす友人と。

今年もまた、屋久島で会うことができました。

 

気がつけば、初めて言葉を交わしてから、もう十五年ほどが経ちました。

長く育んできたお付き合いです。

 

数年に一度ですが、ご家族にお会いするたびに、

すごく変わったことと、全然変わっていないことがあって。

世界のめまぐるしい変化と、大きな川のように緩やかに流れる静かな時を、同時に感じるばかりです。

 

一ヶ月にわたる長いご滞在中には、

シダの葉をモチーフにしたリングをお作りしました。

お嬢様がとても気に入ってくれたデザインで、彼女が大人になったときに譲り受ける約束をしているのだそう。

なんとも素敵な物語です。

 

「この先の十五年で、私たちはどうなっているだろう」

カフェで一緒にお茶をしたあと、庭先でそんな話をして、さよならをしました。

長く続いた雨降りがようやく上がった、爽やかな夕暮れ時のことでした。

 

こうして、穏やかな繋がりを持ちながら、ときどき世界のどこかで一緒にコーヒーを飲むことができれば、それはきっと幸せなことですね。

 

素敵に移ろいゆく日々に、ありがとう。

そして、いつも変わらない笑顔を、ありがとう。

 

シダの指輪 silver, 18k yellow gold, diamond

 

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屋久島から長野へと旅立つサンプルリング #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島から長野へと旅立つサンプルリング。

おふたりからいただいたデザインや素材のリクエストをもとに、ご用意をいたしました。

サイズゲージと、詳しい説明を添えて、これから海の向こうにお送りします。

 

いったい、どんな指輪が生まれてくるのだろう。

いつもながらに、胸の高鳴る瞬間です。

 

これからじっくりと、一緒に相談を重ねながら、リングの素材やフォルムのイメージを育んでいきましょう。

わたしたちは、今まさに小さな第一歩を踏み出しました。

 

数ヶ月にわたる指輪作りの間には、迷ってしまったり、思いがけない発見に出会うことがあるかもしれません。

けれども、そのすべての時間が重なり響き合い、一つだけの結婚指輪を形作っていくのだと思うのです。

 

おふたりの大切な想いから生まれるリングです。

屋久島の美しい季節の中で、ゆっくりと育んでいければと思っています。

 

真夏の爽やかな香りに包まれたアトリエにて。

 

 

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あこがれの結婚指輪に出会うとき。ピンクゴールドとダイヤモンドで紡ぐ、ナノハナの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

理想のジュエリーが出来上がるように、何度もやり取りを重ねながらオーダーメイドの作業を続けていると、

ふとした瞬間に、ある種の化学反応のような出来事が訪れることがある。

偶然なのか、あるいは必然なのか。新しいイメージに出会える瞬間だ。

 

おふたりと紡いできたデザイン作りも、新しい発見に満ちた時間だったように思う。

 

彼女から初めてメールが届いたのは、春の花々が島を賑やかに彩り始めた4月のことだった。

「菜の花の指輪に一目惚れです。」と彼女が言ってくれた。

 

さりげなく、可憐に咲く佇まいが彼女の理想で、

その儚い輝きのイメージが、デザイン作りにおけるわたしたちのテーマとなった。

 

花は、いつもより一回り小さいサイズのものを二つ並べることにした。

そうすることで、結婚指輪としての日常的な使いやすさも高めることができた。

 

素材は、ピンクゴールドのマット仕上げと、クリアカラーのダイヤモンドの組み合わせを選んだ。

 

そして、その小さな花とバランスを合わせるために、リングの幅を少しだけ細くし、花との接続部分をより繊細な植物的な造形にデザインすると、

まるで古くから受け継がれてきたアンティークジュエリーのように、普遍的で完成度の高いイメージが浮かび上がった。

 

出来上がったデザイン画を前に、「これしかない」と強く感じたのを、今でも鮮明に覚えている。

 

そして、あれから数ヶ月が経ち、島には疑いようのない真夏が訪れた。

力強い南国の日差しが描き出すダイナミックな情景に魅せられながら、

今、そのリングのイメージを、少しずつ実際に形へと変えているところだ。

 

アトリエでは、作業机の傍にデザイン画を置き、それを見ながらピンクゴールドの花を組み合わせていく。

けれども、実際に作業を進めていくと、思い通りに進まないことに突き当たったりもして、

その都度、ささやかな方向転換をしながら、タッチを重ねていく。

リングの角度や、散りばめるピンクゴールドの粒の大きさを調整しながら、理想の形を追い求める時間は、宝探しのようで楽しい。

 

作業机に向かうのは、わたし一人ではあるけれど、間違いなく三人で歩んでいる指輪作りだ。

かたちのない力に守られているような心強さを感じながら、日々作業机に向かっている。

 

作業を始める前には、島の東側にある海まで出かけ、早朝のフレッシュな波に乗ったりもした。

 

わたしたちのジュエリー作りに、いつも寄り添い、優しく包み込んでくれている屋久島にありがとう。

 

何十回にも及ぶ細やかな溶接作業を無事に終えることができた。

酸化膜を帯びて黒変したリングを洗浄し、これから紙やすりで丁寧に磨きをかけていく。

 

花を二つ組み合わせて生まれた初めてのフォルムは、可憐で、思わず目を奪われる。

全体のバランスも端正に整っている。

 

そして、次はいよいよメンズリングの制作に取り掛かることになる。

 

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制作編

屋久島に満ちる夏、ピンクゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島からお届けする、ナノハナのネックレス。清らかな喜びを分かち合うとき。#屋久島でつくる結婚指輪

小さなネックレスをお届けする日が、ちょうどお誕生日と重なりました。

屋久島から、おめでとうございます。

 

イエローゴールドとダイヤモンドで紡いだ、一輪の花。

ナノハナのネックレス。

 

屋久島と東京と。

海を越え、遠く離れているけれど、

こうして、ジュエリー作りをきっかけにして生まれたつながりの時間は、

一輪の花のように、かけがえなく、美しいものに感じられます。

 

ナノハナのネックレス 18k yellow gold, diamond

 

ネックレスは、7mmほどの繊細なフォルムにお仕立ていたしました。

力強さを秘めた輝きと透明感が、ダイヤモンドの魅力です。

 

小さくて愛らしいのに、どこか凛とした清々しい佇まい。

それはきっと、菜の花が宿す、春の息吹と躍動感なのかもしれません。

 

大地に春のぬくもりを感じ始める頃。

海沿いの広場にゆらめく黄色い花々。

一年ぶりにそのやわらかな煌めきに出会うと、静かに心躍ります。

 

毎年のことのはずなのに、ほんと不思議ですよね。

あの新鮮な感動を、こうしてジュエリー作りを通して分かち合えることが、

何よりも嬉しく、幸せに思います。

 

今回、チェーンの長さを38cmに調整しています。

ちょうど、鎖骨のくぼみに落ちるくらいのサイズ感でしょうか。

ダイヤモンドとゴールドの組み合わせだと、メンテナンスフリーで、つけっぱなしできるのも、嬉しいところですよね。

 

ずっと長くお使いいただけるように、

昔ながらの手作業で、丁寧にお仕立ていたしました。

いつも、清らかな喜びに包まれますように。

 

そして、いつの日か、屋久島でお会いできる日が訪れると、とても嬉しく思います。

素敵なご縁を、本当にありがとうございます。

 

屋久島サウスのアトリエにて。

夏の日差しがまぶしく輝く朝に。

 

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屋久島に満ちる夏、ピンクゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

ひまわりが咲いていた。

海沿いに並ぶ段々畑の片隅で、黄色い光が風に揺られている。

その草むらの中を、夢中になって歩いていた。

 

涼しさが少しずつ混じり始めた夕暮れ時、散歩に出かけ、夏の花を眺めて一日を終えるつもりだった。

ひまわり畑の向こうに広がる屋久島サウスの山々を眺めながら、この日のジュエリー作りの工程を、ふわりと思い返していた。

 

ピンクゴールドで小さな花をふたつ作って、いよいよこれから本格的な造形作業を迎えるときの、緊張感が蘇る。

 

花と組み合わせるリングの素材には、ピンクゴールドの細い線を二本用意した。

その細い線で二個のリングを作り、その後に互いを重ね合わせるように溶接する。

ルーペとピンセットを片手に進める、デリケートで気の抜けない作業だった。

 

ふたつのリングが重なったあと、一箇所を思い切りよくカットする。

一度形成したものへ、あえてマイナスのベクトルを加えるのは、いつもながら、確かな決意のようなものを必要とすることだった。

 

そして、そのリングの両端を、植物の茎のようにくるくると巻いていく。

これには実にたくさんの工具を使用した。

 

タッチを重ねるたび、硬いゴールドが少しずつ有機的な表情を宿していく。

その柔らかな変化を前にすると、あたたかな気持ちに包まれた。

 

これまでお二人と育んできたイメージが、ようやくここに実を結びつつあるのだ。

そう思うと、今この瞬間がよりいっそう愛おしく、貴重なものに感じられた。

 

アトリエまでの帰り道には、西の空に沈む太陽をまぶしく眺めた。

夏の、長い昼が終わりを迎えようとしていた。

風に運ばれて体にまとわりつく潮が心地よく、どこか親しみ深く感じられるのも、この季節ならではの繊細な叙情なのかもしれない。

 

屋久島の季節に包まれ、おふたりとご一緒する指輪作りは、一度しかないのだ。

 

ああ、もう少し夏が続いてくれるといいなあ。

 

水平線に沈みゆく太陽が、水面にオレンジ色の煌めく橋を渡していた。

 

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制作編

ピンクゴールドで紡ぐ、小さな癒し。菜の花をかたどって、結婚指輪を作っています。

ピンクゴールドで紡ぐ、小さな癒し。菜の花をかたどって、結婚指輪を作っています。

ピンクゴールドの板を糸鋸で削り出し、小さな花をかたどり始めたのは、次の台風が近づき、島に雨の気配が漂い始めた頃だった。

作業机の上で花のフォルムが少しずつ整えられていくにつれ、胸の奥で小さな弾みが広がっていった。

 

これだ。

どこまでも繊細で、さりげなく。
それでいて、深く内に息づく力強さ。

いつもの暮らしの中で出会う、植物たちの響きだ。

 

モチーフにした菜の花を、実際に手にするように、そっと、やわらかなタッチを重ねていった。

 

 

いつもの散歩道で出会う花々。

何気ない喜びをそっと運んでくれる、夏の顔ぶれ。

朝、ツユクサに出会うと、なんだかいいことありそうな気持ちになる。

 

ランタナは一年中咲いているような気もするけど、

雨の滴を纏ったその佇まいが、好きだ。

 

夏に咲く白い百合。

「今年はたくさん咲きましたね」と、交わす会話も毎年の楽しみかもしれない。

 

繰り返される静かな時間。そこに訪れる小さな変化と。

島の季節が奏でるリズムの中で、お二人の結婚指輪を作っている。

 

ピンクゴールドでかたどったふたつの花を、ガスバーナーの炎に包み、温度を上昇させながら、ひとつにつなぎ合わせていく。

今回のリング作りで、10箇所を超える繋ぎ目の、最初のひとつである。

 

台にした朴炭に火を当て、全体へ均等に熱を巡らせていく。

ピンセットとルーペを使いながら進めていく、とても細やかな作業だ。

 

植物をモチーフにする制作なので、出来るだけ軽やかでさりげない印象に仕上げたい。

同時に、日常の中で安心して身につけられるだけの、確かな強度も持たせなければならない。

手を動かすたびに、心が少しずつ深まっていくのがわかる。

この静けさと、島のリズムに身を任せながら、このリング作りを進めていこう。

 

まだ始まったばかりではあるけれど、

目の前で形を帯びてゆく、硬くて冷たいゴールドの中に、

小さくて、あたたかな癒しのようなものが芽生え始めているのを、たしかに感じていた。

 

 

 

大好きな海。シャンパンゴールドとプラチナで紡ぐ波模様の結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

シャンパンゴールドとプラチナ。

真夏の強い日差し。

おふたりとともにオーダーメイドした、波模様の結婚指輪。

 

屋久島から、おめでとうございます。

全てが波の音に包まれた、やさしいひとときでした。

 

 

海を越えて、アトリエまでお越しいただき、ありがとうございました!

屋久島が紡いでくれた、素敵なご縁に感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとう。大切な 出会いを結ぶ指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島サウスに長く降り続いた雨が上がったのは、ちょうど、おふたりの結婚指輪の造形作業がひと段落したころでした。

プラチナとシャンパンゴールドで紡ぐ夏。お二人と歩んだ、結婚指輪作りの記憶。#屋久島でつくる結婚指輪

 

春から夏へと移りゆく季節をご一緒した結婚指輪作りでしたが、

山々や海、植物たちの表情はいつも新しく、日々の制作を励ましてくれていたように思います。

 

雨が降ったり、強い日差しが降り注いだり。

あるいは、その時のわたしたちの心持ちのようなものも、見える景色を変えているのかもしれません。

 

シャンパンゴールドとプラチナでお作りするお二人のリングもまた、いつも新しく、いきいきとした表情を感じられるように。

指輪作りの憧れは、自然の中に出会う多様な美しさにあったように思うのです。

 

リングは、できる限りシンプルに。

鉄鋼ヤスリと紙やすりを片手に、造形を重ねてゆきました。

昔ながらの、ゆっくりとした手作業です。

 

そうして出来上がったのが、おふたりが大好きな海をモチーフにした結婚指輪です。

リングの表面には、緩やかに波打つラインを施し、お揃いのデザインでお仕立てました。

 

これから長く紡がれてゆくお二人の暮らしの中で、時を重ねるたびに新しくなっていくような、細やかな喜びに満ちたリングであればと願っています。

 

いつものビーチにて。

 

彼のプラチナと、彼女のシャンパンゴールド。

どちらもすっきりと細いシルエットです。

 

真夏の陽光を受けて、その表面にリズミカルな陰影が浮かびます。

この輝きの領域の広さこそ、ゴールドとプラチナが持つ魅力なのでしょう。

 

浜辺に波が打ち寄せるたびに、キラキラと表情を変化させるリング。

つい嬉しくなって、手の中でリングをくるくると遊んでしまいます。

 

波音は不思議なくらい静かに感じられ、

リングもわたしも、全てを優しく包み込んでくれているように感じられました。

全てが受け入れられているような気がして、心癒されました。

 

屋久島から、ご結婚おめでとうございます。

あたたかなひかり溢れる日々を。

 

そうそう、

リングの内側に刻んだおふたりの言葉は、最後までじっくりとこだわってきたところでしたね。

おふたりだけの素敵な仕上がりになって、本当によかったなあと、しみじみと眺めておりました。

 

わたし自身、形を持たない大切な想いに強く突き動かされるような、穏やかで深い制作の日々を過ごしていたように思います。

 

これで指輪作りがひと段落し、わたしたちはまた、それぞれの新しい日々を迎えることになります。

巡りゆく季節のように、ですね。

 

またいつの日か、屋久島にいらしてください。

リングのメンテナンスをしながら、その後のいろいろをお話しできたら嬉しいです。

 

楽しい指輪作りを、ありがとうございました。

 

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夏のしずく、しずくのしずくネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

夏のしずく

プラチナとダイヤモンドでお仕立てした、小さなネックレス。

雨上がりに咲く白百合のそばで、その静かな輝きを眺めました。

 

しずくのしずくネックレス platinum, diamond

 

プラチナでかたどったしずくの大きさは、約7mm。

花びらの上に、そっと収まるほどの繊細さです。

 

ダイヤモンドは、ちょうど雨粒と同じくらいでしょうか。

2.8mmと大粒のものをセットしてありますので、

その繊細さの中に、どこまでも透明で力強い輝きを感じられました。

 

雨のしずくや、植物たちもそうですが、

小さなものって、本当に愛らしくって、

気がつけば、ついつい魅入ってしまいます。

 

プラチナとダイヤモンドの組み合わせなので、

毎日つけっぱなしできるのも、嬉しいところですよね。

 

昔ながらの手作業で、じっくり丁寧にお仕立ていたしました。

長くご愛用いただけますように。

 

アトリエを包み、激しい雨を降らせたスコールが過ぎ去ると、山々には青空が広がりました。

差し込み始めた夏の陽光を受けて、キラキラと輝きだすしずくの煌めきは、まるでダイヤモンドのようで、

お二人を祝福する、島の贈り物のように感じられました。

 

ネックレスは、大切にケースにお納めして、いよいよこれから海の向こうにお届けいたします。

 

大切なプレゼントにお選びいただき、

心よりありがとうございました!

 

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想いあふれる、三つのリングが出会うとき #屋久島でつくる結婚指輪

今年の春先、屋久島サウスのアトリエでお二人と出会い、

そこからゆっくりと結婚指輪作りを進めてきました。

 

あの日、一緒に思い描いたイメージが、いま、少しずつかたちを帯びてきています。

 

ツワブキの花咲くエンゲージリング。

シダの葉をかたどるマリッジリング。

そして、シダの葉模様を彫り込んだ、もうひとつのマリッジリング。

 

わたしたちが愛してやまない植物をモチーフに、

それぞれに響き合うつながりを持たせながら、

3つのジュエリーを仕立ててまいりました。

 

「メンズリングは、アウトドアでの活動にもフィットするように」

「彼女のリングとモチーフを分かち合おう」

 

新しい始まりを迎え、喜びに包まれるお二人とご一緒するオーダーメイドのひとときは、いつも楽しく、心あたたまるものです。

 

お二人が大切にする想いや暮らしから、ひとつだけのデザインが生まれます。

 

 

出来上がりつつあるリングたちは、どこかお二人の面影を映しているようでもあり、

寄り添いながら、これからの長い日々をともに歩んでいくことでしょう。

 

その歩みの中にある幸せな時間こそが、

ジュエリーとして表現したいものではないだろうか。

 

かたちのない大切な想いから、かたちあるものを作り出してみよう。

そう思って創作に向かい合ってきたのが、この結婚指輪なのです。

 

 

もう少しすると、いよいよこのリングが完成し、

それを合図にするように、お二人の新しい暮らしが始まりを迎えます。

 

少し先の未来を思い描きながら、わたしもその時を心待ちにしています。

 

花が散り、小さな実を結び、やがて果実を育んでいくように。

私たちもまた、新しい始まりを何度も迎えていくのかもしれません。

 

そんなふうにして、自然の一部として軽やかに時を歩んでいけたらいいなと思う、今日この頃です。

 

2025年、夏

 

 

 

制作編

丸くやわらかなスクエアシェイプ #屋久島でつくる結婚指輪

出会い編

大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

丸くやわらかなスクエアシェイプ #屋久島でつくる結婚指輪

イエローゴールドのリングの造形作業を始めてから、はや2日ほどが過ぎ去り、

その内側を精密ヤスリで削り始めた朝、リングの表情にやわらかな変化が現れた。

 

彼のリングは、すっきりとしたスクエアシェイプのデザインで作り進めていた。

 

「あ、ゴールドの温度を感じることができる。」

 

わたしは作業を少し止め、リングを手の中でそっと握りしめてみた。

 

「ずいぶん、表面を削り出せてきたな」

 

作業の進捗を確かめると、またヤスリを握り、手を動かし始めた。

 

◻︎

 

スクエアシェイプというと、エッジの立つシャープな印象があるかもしれないけれど、

その中に、どこかやわらかで親しみのある手触りを生み出したいと思っている。

 

実のところ、フラットな形状の表面には、わかるかわからないくらいの緩やかなカーブを施して仕立ててある。

それに対して、側面は完全なフラットだ。

そして、指に触れるリングの内側は、大きくラウンドさせて仕上げていく。

 

このシャープネスとやわらかさのバランスが、イエローゴールドの手触りをより一層際立たせてくれる。

相反する要素が交わることで、仕上がりに深みが生まれるのは、あるいは、フランボワーズとチョコレートの出会いに似ているかもしれない。

 

それは、シャープなスクエアシェイプであり、同時に丸く、やさしい存在でもある。

 

◻︎

 

内側をなめらかに整えたリングは、ここでもう一度火にかけて、金属の緊張を解いておいた。

イエローゴールドをやわらかく焼き鈍しておき、これから更なる造形を与えていくことになる。

 

朴炭の上に置いたリングが熱を帯びて、真っ赤な光を放っている。

常温であれだけの強度を持つゴールドは、1000度を超えると溶けてしまう。

その境界に在り、より際立つ儚さと強さが、とても美しく感じられた。

 

◻︎

 

夏の早起きは楽しい。

朝焼けの美しい日が続いている。

窓の向こうにオレンジ色の大きな雲を眺め、散歩に出かけると、

昨日よりもたくさんの花を咲かせたハマユウが、気持ち良さげに朝露を纏っている。

やがて、太陽の光が差し込み、一気に汗ばむほどの暑さを感じ始める。

それを合図にするように急いでアトリエに戻り、カフェオレを作り、それを持って作業机に向かう。

気がつけば、蝉の声が響き渡っている。

 

このようにして、夏のジュエリー作りは続くのであった。

 

 

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制作編

ぬくもりと色彩。イエローゴールドとプラチナが紡ぐ時間 #屋久島でつくる結婚指輪

ぬくもりと色彩。イエローゴールドとプラチナが紡ぐ時間 #屋久島でつくる結婚指輪

夜と朝が交差する時間。

海と空が出会う場所。

自然が織りなす色彩のグラデーションのなかに佇むひとときが好きだ。

 

 

シダの葉とツワブキの花。

屋久島の暮らしで親しみ深い植物をモチーフにして、彼女のエンゲージリングとマリッジリングを作っている。

屋久島-サンフランシスコ 透き通る夏の結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

 

深い森を歩き、波に乗り、あるいは小さな植物たちを眺めているとき。

そこに、完全なる調和があることを知り、心が癒される。

その世界に憧れ、愛おしく思う気持ちで、お二人とは繋がっているのかもしれない。

 

さて、

エンゲージリングとマリッジリング、そして彼のリングとが奏でるハーモニーとは。

お花のリングの造形作業がひと段落したところで、初めて二本のリングを重ね合わせてみる。

アトリエの庭先には、今日も夏の強い日差しが降り注いでいる。

深い緑も、ハイビスカスの赤も、これからリングにセットするイエローサファイアも、すべてが響き合っているように感じられて、心が静かな喜びに包まれた。

 

花と葉っぱをかたどるプラチナと、リングの役割を担う、細いイエローゴールド。

重なり合うリングが一つのように見えるのは、シンプルな素材が出会い、生み出す整合性によるものだろう。

 

不思議なことだけど、

硬くて冷たい金属の中に、植物たちが持つぬくもり、そして色彩までもが蘇ってくる。

 

考えてみると、ゴールドやプラチナも、この大地から生まれたものだ。

実のところ、植物たちと同じ響きを秘めているというのも、なるほど。

 

ハイビスカスは、赤くてシンプルな品種が一番好きだというのは、彼女と意見が合った。

 

さて、ここで一旦、彼女のリング作りをひと段落させ、

次は彼のリング作りに取り掛かることにした。

その余韻の中で、同じリズムを保ちながら、ペアのリングを形作っていく。

 

彼のリングには、k18イエローゴールドの細い板を用意した。

細いとはいえ、しっかりとした重みのある金属の手触りが伝わってくる。

その細いゴールドの板を木槌を使い、丸く、リズムよくリングの形状に整えた。コンコン。

その後、糸鋸を使ってイエローゴールドの両端をサイズに合わせてカットする。

切断面同士を隙間なくぴたりと合わせ、ここでようやく下準備の完了、というところだ。

 

そして、時間を置かずに、その両端をつなぎ合わせる作業に移る。

ガスバーナーを使う作業の温度は950度ほどになる。

これまでに何度も行ってきた溶接作業であるけれど、いつも背筋が伸びるような緊張感がある。

心を深く沈め、炎の量とリングの温度に細心の注意を払いながら、タッチを重ねていく。

リングが一定の温度に達したところで、繋ぎ目に融点が少し低いゴールドを流し込む。

作業中は、細部の造形をどこまでも鮮明に見ることができ、一つ一つの工程がゆっくりと長く感じられる。

時を忘れ夢中になっていたけれど、きっと30秒ほどの短い時間だったかもしれない。

 

リングを火から外し、グラスに注いだ水の中に素早く入れる。

すると、まるで作業の区切り目を告げる合図のように、ジュッと歯切れの良い音がアトリエに響いた。

 

 

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