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朝露に煌めく朝に #屋久島でつくる結婚指輪

秋の花々が咲き始めている。

 

夜のあいだに気温がぐっと下がるせいで、庭先の植物たちは冷たい雫を纏い、

やがて日が昇ると、世界はまるで宝石を散りばめたように、きらきらと輝き始める。

 

早朝の庭先で、一年ぶりに咲いた黄色い花や、いつものツユクサを眺めながら、

新しく始まる指輪作りの工程を思い描いていた。

 

いつの間にか、まだ夏の名残を思わせる明るい陽光がアトリエを包み込んでいる。

どこからか金木犀に似た甘い香りが漂ってくる。

 

朗らかな空気に満たされた、とても素敵な朝だった。

 

プラチナとピンクゴールドでは、作業温度や硬さが大きく異なり、

それぞれに適した工具やタッチを使い分けながら、その工程を進めていかなくてはならない。

 

まずは、彼のプラチナをリング状に巻く。

そして、酸素バーナーの炎に包み、真っ赤になるまで熱し、その両端をつなぎ合わせる。

 

およそ数十秒ほどの、とてもシンプルな作業ではあるが、

プラチナが熱を帯び、溶けながら大きく変化を遂げていく様を目の前にすると、

金属が携える、果てしない“時”のようなものを感じずにはいられない。

 

プラチナがつなぎ合わされ、ひとつのリングとなったところで、

鉄の芯金に通し、木槌で叩きながら、完全な円形を作り出していく。

 

コンコン、と昔ながらの手作業の音がアトリエに響く。

窓の向こうでは、島に接近中の台風が運ぶ風が、少しずつ強く吹き始めてきた。

 

このようにして金属は、形を変えながら、果てしない時間を通り抜けて、いま、わたしの手の中にある。

そしておふたりと出会い、屋久島の季節の中で結婚指輪を作っているのだと考えると、

この瞬間が、開花したばかりの花に宿る、一滴の雫のような奇跡に思えた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

 

出会い編

島が紡ぐ物語、真夏の結婚指輪相談会 #屋久島でつくる結婚指輪

若葉の指輪。屋久島で紡がれる、ひとつの結婚指輪の物語 #屋久島でつくる結婚指輪

おふたりの結婚指輪は屋久島で出会った緑のイメージで。

イエローゴールドに、一粒のダイヤモンドを添えてお仕立てしました。

小さな森の中で眺めると、そこに芽生えた柔らかな若葉のように見えました。

 

ゴールドの若葉は、実物と同じくらいの大きさです。

植物の柔らかな手触りを金属に映し出すように、表面には細やかな凸凹のテクスチャーをつけて仕上げました。

 

今回は、結婚指輪ということで、リング部分にはしっかりとしたボリュームを持たせてあるのがわかりますでしょうか。

見た目の軽やかさよりもずっと、確かな手触りが伝わってきます。

 

昔ながらの手作業で、じっくりと作り進めてきたリングです。

 

指輪作りの始まりに、彼が送ってくれた写真を見て、驚いたのをよく覚えています。

彼女がシダの若葉を、リングのように指に添えていて、それがわたしのつくるジュエリーによく似ていたのです。

あるいは、そのものと言ってもいいくらいに、そっくりでした。

 

草葉を摘んで身に纏うように。

それは、わたしたちが幼い頃から抱く、永遠の想いなのかもしれません。

その深い部分に漂う純粋さのようなものに触れさせてくれるのも、屋久島の森が与えてくれる神秘のひとつのように思います。

 

これまでは、小さなダイヤモンドを散りばめることが多かったのですが、

特別な記念のジュエリーとなるように、おふたりと相談を重ねて、大粒のダイヤをセットすることにしました。

ワクワクした気持ちで、わたしのコレクションの中から、美しい一粒を選んだのは、今でも心に残る素敵な思い出です。

 

オーダーメイドのジュエリー作りでは、もちろん、形のある指輪をお届けするわけなのですが、

その奥には、形を持たない何かを分かち合うような、かけがえのない時間が流れています。

デザイン作りの途中には、なんと、嬉しいご出産のご報告もいただきました!

 

おめでとうございます!

幸せなジュエリー作りを、本当にありがとう。

 

おふたりには、いつの日かお会いできるかもしれない。

なんだかそんな予感もしています。

屋久島で紡がれたこの素敵なご縁に、感謝の気持ちに満たされながら。

 

 

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

ありがとう。オーダーメイドの結婚指輪が育まれるとき #屋久島でつくる結婚指輪

祝福の海と結婚指輪。シャンパンゴールドが響き合うとき。#屋久島でつくる結婚指輪

夕暮れ時、満ちゆく光のなかで眺めたおふたりの結婚指輪。

シャンパンゴールドが響き合うとき。

 

いつものビーチで、

静かなる波のリズムに包まれて。

 

 

シャンパンゴールド、海と花。

大きな虹にも出会いました。

夏の余韻と、新しい季節が運んできた、深く鮮やかな色彩に包まれた結婚指輪づくりでした。

リングをつくり終えた夕暮れ時に #屋久島でつくる結婚指輪

 

窓の向こうに水平線を眺めたり、裸足で波打ち際を歩いたり、

この島では、海とともにある時間が、何気なく流れていて、

海風や潮の香り、波の音のようなものは、いつしか暮らしの一部分になり、

自然とジュエリーのモチーフになったように思います。

 

遠く離れた場所ではあるけれど、海のそばで暮らすおふたりとは、どこか近い気持ちで繋がっているのかもしれません。

 

シャンパンゴールドでお仕立てした、シンプルなリングです。

その中に、海で出会った大切なフィーリングを、象徴的に込めました。

 

ビーチに腰を下ろし、夕陽を眺めていると、

ふと、流れ着いた小さなサンゴに目が留まりました。

 

沈みゆく太陽の光を斜めに受け止めて、波打ち際は、やわらかなオレンジ色の光に包まれています。

そのサンゴの上で、リングをそっと重ね合わせてみる。

シャンパンゴールドの輝きが、とても穏やかで、気品に満ちています。

 

緩やかなカーブを描くように削り出したフォルムが、強い西陽を受けて、互いにそっくりの陰影をつくり出していました。

 

その静謐な佇まいは、あまりにも海の情景に溶け込んでいて、

まるでずっとここで、わたしたちを待っていてくれたようにも見えました。

 

波打ち際を歩いていると、水はまだずいぶんとあたたかい。

けれど、風にはほんの少しだけ、冷たさが混じるようになりました。

 

1.8mmと2.3mm幅。

繊細で軽やかなフォルムなのに、手の中には確かな重みが伝わってきます。

それは、はるか昔から広く愛され続けてきた、ゴールドならではの魅力なのだと思います。

 

これから長い時間をかけて、どのような物語が紡がれてゆくのだろう。

おふたりの未来を想うと、胸が高鳴りました。

 

思えば、初めてお便りをいただいたのが、7月の初めだったから、この夏をいっぱいかけて、ご一緒した指輪作りでしたね。

 

あるいは、もっと前にジュエリーを見ていただいていた時から、この旅はすでに始まっていたのかもしれません。

 

これまでずっと、ありがとう。

島のリズムで進む、ゆっくりとしたジュエリー作りを、いつも温かく見守ってくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

屋久島から、ご結婚おめでとうございます。

新しい季節が運んでくれた、芳醇な色彩に包まれながら。

その喜びと祝福を、おふたりに。

 

 

ナノハナの指輪、ナノハナ模様の指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

material: 18k pink gold, platinum, diamond, silver
size: square 2.5mm, 5.0mmflowers, 1.5mm diamonds

Delivery time is within 2 months.
Make by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせてオーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約2ヶ月。

屋久島でつくる結婚指輪

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tel: 0997-47-3547

満ちゆく癒し。ピンクゴールドとシルバーで紡いだ、菜の花の結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

やわらかなひかり。屋久島からお届けする、ナノハナのネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

ナノハナのネックレス 18k yellwo gold, diamond

黄色いひかり。春風にゆられ、夢のように煌めく菜の花。

そのひとひらをすくい取るように、小さなネックレスをお仕立てしました。

 

目の前に広がる、いきいきとした響きに包まれると、心がやわらかな希望で満たされるのを感じます。

 

イエローゴールドでかたどったペンダントトップは約7mm。

とても繊細なスタイルです。

その中央に、一粒のダイヤモンドをセットしました。

 

透明感のある菜の花の印象には、イエローゴールドとダイヤモンドが本当によく似合います。

メンテナンスフリーの素材ですので、お守りのように、ずっと身につけていただけるのも嬉しいところです。

 

涼しくなり、過ごしやすくなってきたこの頃。

秋のシックな装いに。

大切な想いを、そっと胸に寄せるように。

何気ない、いつもの一日にも。

このネックレスをたくさんご愛用いただけましたら、とても嬉しく思います。

 

秋の風がそよぎはじめ、

シロツメクサがたくさん顔を出してきたアトリエより。

 

幸せなジュエリー作りをご一緒いただき、ありがとうございました。

屋久島でつくる結婚指輪

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braided ring in platinum and 18k yellow gold, with emerald and sapphire 屋久島でつくる結婚指輪

material: 18k yellow gold, platinum, emerald, sapphire
size: about 4.5mm

Delivery time is within 3 months.
Made by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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tel: 0997-47-3547

A Journey of Rings, Water and Greenery, The Braided Ring #YakushimaWeddingRingsStories

1.8mm-2.8mm and 1.5mm-2.4mm Wave Ring in 18K champagne gold #屋久島でつくる結婚指輪

material: 18k champagne gold
size: 1.8mm-2.8mm and 1.5mm-2.4mm

Delivery time is within 3 months.
Made by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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tel: 0997-47-3547

おふたりと紡ぐきらめき、屋久島から届けるシャンパンゴールドの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島からフランスへ、結婚指輪のサンプルをお送りする日 #屋久島でつくる結婚指輪 

フランスのストラスブールは、ドイツとの国境付近にある。

屋久島からはるか海を越えて、おふたりにサンプルリングをお送りする日。

 

たしかに、お互いの暮らしは遠く離れているけれど、その距離感が、かえってそのつながりを強く感じさせてくれているのかもしれない。

素敵な出会いを紡いでくれた屋久島に、ありがとう!

 

ご用意したのは、ゴールド3種類とプラチナの素材サンプル、オリジナル彫刻のベースとなるシンプルなデザインのシルバーリング、そしてサイズゲージ。

これからどんなリングが育まれていくのだろう。

わたしたちは今、小さな一歩を踏み出したのだ。

 

空はどこまでも澄み渡り、海も山々もキラキラ輝いてみえる。

新しい季節の訪れを感じる、爽やかな日だった。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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A Journey of Rings, Water and Greenery, The Braided Ring #YakushimaWeddingRingsStories

Water and Greenery.

The image we share is the vibration of new life.

When he and she met, a brand-new moment was created.

It is as if the trees in the forest were intertwining, nurturing a single life together.

 

I can feel the same kind of vibration of life here on Yakushima Island.

It felt only natural to come up with this design.

The time on this Island always tells us important things.

 

 

We have been walking this long journey together.

I’m endlessly grateful for your consistent kindness.

Grateful in the Morning Breeze #YakushimaWeddingRingsStories

 

 

It has been about four years since I made their engagement ring.

And finally, we arrived at the place we had imagined.

With the completion of his wedding ring, we have created five pieces of jewelry together.

Those were inspirational days for me, filled with the happiness I received from them— a happiness that began a new life full of hope.

 

Thank you for always being there for me with such warmth.

 

So, this is the final place we had dreamed of.

Let’s share in the joy together.

 

In the gentle morning sunlight after the night rain.

I pick up the ring.

The emerald, the sapphire, and the morning dewdrops glisten as though echoing each other.

Beside them, a little blue flower blooms.

Here was the timeless scene of water and greenery.

The lines of yellow gold and platinum are pressed slightly flat, intertwining in a firm braid.

I can feel the solid weight of the two metals in my hands.

Each time I change the angle in my hand, the ring sparkles in a new way.

It was so delightful that I couldn’t help doing it again and again.

 

I just remembered the day we met in Kyoto in April.

It was a beautiful day with cherry blossoms all around the city.

 

California and Yakushima.

We live so far apart.

But I can feel a kind of bond that runs deep, a feeling of cherishing the natural mystic browing through the air.

 

Maybe our journey has just begun.

I am so happy these rings will gently stay with your life.

 

Congratulations on your wedding.

I hope we can meet again somewhere in the world, someday, and talk about this creation we shared together.

 

 

 

I made her wedding ring to match and flow with her engagement ring.

 

A Story of His Ring and the Seasons

 

We met in Kyoto when the cherry blossoms were in full bloom.

おふたりと紡ぐきらめき、屋久島から届けるシャンパンゴールドの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

おふたりの結婚指輪が出来上がったのは、夏の余韻がまだ島を包み、海へと誘われるような暑い日のことでした。

 

シャンパンゴールドのまばゆい煌めきを、青い海の彼方に暮らすおふたりへ。

屋久島から、ご結婚おめでとうございます。

 

 

この夏を丸ごとかけた、おふたりとの結婚指輪作り。

2025年、夏。おふたりとともに紡ぐ、結婚指輪づくりの日々 #屋久島でつくる結婚指輪

 

わたしたちの暮らしの中で、

静かに心を澄ませ、自然の声に耳を澄ませると、

そこに巡りゆく大きなリズムのようなものの存在を感じることができます。

 

浜辺に打ち寄せる波。移ろいゆく季節。一日の始まりを告げる太陽。

それらが幾重にも重なり合い、織りなされる色鮮やかなグラデーションは、まるで奇跡のような美しさを宿しています。

 

私たちもまた、そのような大きな“巡り”の中のひとつなのだと感じられると、心がふっと自由になるような気がします。

 

そのような何気ない気づきや喜びを、分かち合える誰かがそばにいてくれると、日々は癒しに包まれるのかもしれません。

 

リングは、お揃いのシャンパンゴールドでお仕立てしました。

同じデザインではあるけれど、

繰り返し浜辺に打ち寄せる波のように、ほんの少しずつ形に変化を持たせて造形をすると、そこに温度を宿した、ひとつの息吹のようなものが生まれました。

その息吹は、まだとても小さく、ささやかなものかもしれません、

けれども確かに、そこには今始まったばかりの時間が携える熱量が感じられます。

 

思えば、冷たい北風が吹き付ける真冬にお便りをいただいたことから、指輪作りは始まりました。

やがて島には新緑の季節が訪れ、この夏を丸ごとかけて一緒に歩んできた道のりです。

新しい暮らしを始めるおふたりの喜びを、少し分けていただいていたような、

インスピレーションに満ちた日々だったように思います。

 

島の時間の中で進められた、ゆっくりとした指輪作りだったけど、

いつもあたたかく見守っていてくれて、本当にありがとう。

 

半年という時間をかけ、大切に育んできたおふたりの結婚指輪です。

その完成の喜びを、ともに分かち合いましょう。

 

そしてこれが、おふたりにとって同時に、始まりを告げる合図でもあります。

その眩い希望に満ちた時間を想い、幸せな気持ちに包まれながら。

 

ビーチの片隅に腰を下ろし、そっとリングを重ね合わせてみました。

 

光沢仕上げを施した彼女のリングは、降り注ぐ夏の光を抱きとめるように強く輝いています。

マット仕上げを施した彼のリングは、海の時間に溶け込み、静かな呼吸をしているようでした。

 

アウトラインは緩やかなカーブを描き、全体にゆったりとした雰囲気。

軽やかで、リズミカルな仕上がりでありながら、しっかりとしたシャンパンゴールドの重みが伝わってきます。

 

その佇まいが、ずっとここにあったかのように自然に感じられるのは、

太い部分と細い部分のバランスや、表面に巡らせた切り込み模様、

細部に至るまで細心の注意を払った精巧な技巧の賜物なのかもしれません。

 

Zoomでお話をしたり、サンプルリングをテストしたり、

おふたりと長い時間をかけてテストを重ねてきたので、

こうして出来上がった指輪を前にしていると、感慨深く、胸がいっぱいになりました。

 

これほどまでに意思疎通を重ねてきたのに、まだ実際にお会いしたことがないなんて、なんだか不思議な気持ちになりますね。

ぜひまたいつか、屋久島にもいらしてください。

 

おふたりの大切な想いと、この島の季節、そしてわたしが出会えたことは、本当に奇跡のように感じています。

 

リングの内側には、太陽が重なり合い、ひとつになるように彫刻模様を施しました。

その両脇には、互いに贈り合う言葉を刻んでいます。

 

彼女のリングにはオレンジ色のサファイアをセットし、温かな彩りが加わりました。
そこにもまた、ひとつの物語が秘められているようで、心惹かれます。

 

指輪は形あるものですが、

目には見えない部分や、心で感じるものを大切にされるおふたりとは、

深い部分で揺るぎないつながりを感じながら、指輪作りを進めてくることができたように思います。

 

庭先にはまだハイビスカスがいっぱいで、まだ少し夏のムードが漂っています。

ひとつの季節が過ぎ去り、指輪作りもひと段落して、なんだか少し名残惜しくも感じますが、

お互いに新しい一歩を踏み出していきましょう。

 

屋久島から、

おめでとう。ありがとう。

 

この熱帯の、胸に甘く響くムードも一緒にお届けできますように。

 

 

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ありがとう。オーダーメイドの結婚指輪が育まれるとき #屋久島でつくる結婚指輪

島の北側にたどり着くと、ほんのりと秋の気配が漂っていた。

雨が降っていたせいもあり、朝の空気は少し冷たく、薄暗さを帯びている。

道のあちらこちらに、大きなピンク色の花がぽつりぽつりと咲いている。

一年ぶりにサキシマフヨウに出会い、今年もあと二ヶ月ほどなのだと感慨に耽りながら、屋久島ノースの海を眺めていた。

 

小さく丸い島では、北と南で風向きも気候もまったく異なる。

その暮らしは、いつまで経ってもエキサイティングだ。

 

秋と冬はひと足早くノースに訪れ、サウスに暮らしていると、春と夏にいち早く出会うことができる。

そして海や森はいつも、その移ろいを、目に見える変化として鮮やかに映し出してくれる。

 

海のそばに暮らすおふたりも、きっと新しい季節の到来を、あちこちで感じているに違いない。

距離を超えたオーダーメイドではあるけれど、夏から秋へと移ろいゆく芳醇な時間を分かち合えることは、何よりの喜びだ。

 

イエローゴールドで小さな葉をかたどり、それに組み合わせるリングを削り出してから、数日が経った。

アトリエでは、宝飾ならではの細やかな作業が、静かに長く続いている。

 

彼女に届ける大切な記念のリングなので、特別なデザインに仕立てたい。

そんな彼の理想を伺い、リングには大粒のダイヤモンドをセットすることにした。

 

直径3.0mmのダイヤモンドを包み込む石枠を作り上げるのには、ひときわ深い集中を要した。

作品に表情を与える大切な部分だ。

ほんの0.1mmの誤差に気を配りながら、ピンセットとルーペを片手に、いくつものタッチを重ねていった。

 

葉とリング、そして石枠。あとは、装飾のために作ったいくつかのゴールドの粒をそろえて、いよいよそれらを一つに組み合わせていく作業に取り掛かる。

ここでは、いわば構図、絶妙なバランス感覚が求められるのだけど、その手本となるものは、すでに自分の中にたくさん刻まれているように思う。

目を閉じれば、自然と島の情景が広がってくる。

庭先や散歩道で出会う植物たちの美しいシルエットを思い浮かべながら、静かな心で、その小さなリングのバランスを構築することができた。

 

ゴールド同士の接地面をヤスリで軽く削り出し、綺麗に整えておく。

そこにガスバーナーの炎を当て、融点の低いゴールドを流し込む。

1箇所の接続作業が終わると、コップの水に入れて急冷し、ルーペで仕上がりを細かくチェックした。

もし接続が甘いところがあれば、溶接作業をやり直し、うまくいったところで、次の接続作業へと進めていく。

そんな単純な作業を、何十回と繰り返していった。

 

ここで初めてリングがひとつとなり、これから最後の仕上げへと進めていくところだ。

おふたりとインスピレーションを分かち合いながら作り進めてきた指輪なので、本当に「生まれてくる」という感覚がある。すごいことだと思う。

これまでずっとありがとう。

 

長い時間をかけて育んできた指輪づくりだ。

残された作業を味わうように、大切に紡いでいきたい。

 

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制作編

夏の余韻、屋久島で小さなリングが紡がれるとき #屋久島でつくる結婚指輪

夏の余韻、屋久島で小さなリングが紡がれるとき #屋久島でつくる結婚指輪

もうすぐ十月になるというのに、屋久島サウスはまだ夏のムードに包まれています。

朝にはやわらかな雨が降り、昼間は強い日差しが降り注ぐ、熱帯のリズムです。

 

島のはるか南を通過する台風からのうねりが届いているようで、久しぶりに海に入ったのですが、水があまりにも温かくて驚きました。

空には大きな虹が掛かり、水遊びをしている子供たちとわたしの他には誰もいない、とても素敵な昼下がりでした。

 

 

 

さて、アトリエでは、ゴールドのプレートを糸鋸で切り出す作業がひと段落したところです。

ここがリングの顔となる大切な部分だったので、うまく仕上げることができて、ひと安心。

庭先に持ち出し、太陽の光の下で細部をじっくりと眺めていました。

 

手作業でじっくり仕立てたゴールドの葉。

大きさは15mmほどで、指先にちょうど収まります。

 

その柔らかなシルエットが島の緑と響き合い、

ここに初めて小さな息吹が宿ったように感じられました。

 

海の癒しもそうですが、自然の中で、数えきれないほどのインスピレーションに出会いながらジュエリーを作れることが、島暮らしの素晴らしいところだと思います。

 

デザインに確かに刻まれているのは、庭先で植物と触れ合う、日々の何げない時間なのかもしれません。

 

今回の指輪作りは、細やかなパーツをいくつも組み合わせて造形する、宝飾品ならではの技法で進めていくのですが、クラシックで根気のいるその工程は、時を超えて受け継がれてきたもので、とても特別に感じられます。

 

リング部分の素材も同じくイエローゴールドです。

全体のシルエットを、細いところから徐々に太くなるように仕立て、安定感のある付け心地を目指しています。

 

表面は葉とのつながりを考慮し、しっかりと面を持たせ、指にあたる内側部分は丸く削り出していきます。

 

ゆっくりと正確に。

手を動かし続けていると、うねりを帯びた水面が陸風に整えられていくように、静かに力がみなぎっていくのがわかりました。

 

作業はいよいよ中盤に差し掛かったところです。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

儚さと、永遠と。イエローゴールドでつくる葉の指輪 #屋久島でつくる結婚指輪