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シンプルなフォルム 時間との調和 #屋久島でつくる結婚指輪

おふたりとともに紡いできたイメージが、少しずつ確かな形を帯び始めている。

鉄鋼ヤスリで粗く削り落としたシャンパンゴールドの質感は、しっとりと麗しい。

 

リングを作業机に置き、さまざまな角度から眺めてみると、そこには幾つもの異なる表情が浮かび上がっていた。

 

ベーシックなストレートのアウトラインではあるが、側面から伸びる傾斜が重なり合うポイントが移ろい、水面をたゆたう波のようにおおらかなラインを描いている。

それは、大好きな海と月のリズムであり、同時に、島の暮らしの中で出会う季節や天候、そして時間の巡りでもある。

 

限りなくシンプルなフォルムの裏側には、どこまでも複雑で壮大な調和のようなものが息づいていることを、島の自然に学んだのは、自分自身でもとても意外なことだったように思う。

 

この小さなリングの中に、流れゆく水のように滑らかな時を宿すために、精緻な細工を重ねてゆかなくてはならない。

 

雨上がりのひととき。

久しぶりに空に虹を眺めた。

 

ここにあることがあたりまえのように感じられるようなリングになればいいと思う。

 

シンプルを、特別に。

憧れはいつも自然の中にあって、そのような想いをゆるやかに分かち合いながら、おふたりと繋がっているのかもしれない。

 

気がつけば、小さな作業机の前に座り、一日のほとんどを過ごしていた。

目の細かい鉄鋼ヤスリに持ち替え、同じようなタッチを何度も何度も繰り返していく。

シャンパンゴールドの破片が作業台の上に散らばり、デスクライトの光を受けて繊細な煌めきを放っていた。

 

ちょうど作業が一区切りついたところで手を止め、窓を開け放つと、九月も半ばに差し掛かろうとしているというのに、もわっとした暑気が入り込んできた。

山際には大きな入道雲がゆっくりと流れている。

ハイビスカスの生垣のそばでは、強い日差しを避けてネコが昼寝をしていた。

 

しばらく熱帯の湿り気を帯びた空気を吸い込んで、また作業机に向かう。

もう少しだけ、この長い夏が続けばいいのかもしれない。

一度きりの指輪作りを愛おしみながら、その大切な時間を細やかに刻んでいた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

今を永遠に。シャンパンゴールドで紡ぐ結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪