お久しぶりです、深い雨の屋久島。
きっと植物たちはたくさん水を得て喜んでいると思う。
霧に包まれた山々が美しかった。
夏の花? アトリエの庭に咲きはじめたのは白いハイビスカス。
山々を海を越え屋久島と東京を紡ぐように、お二人の結婚指輪を作っています。
彼のリングには鉄鋼ヤスリでタッチを加えて柔らかに造形したところまでを書きました。
たくさん雨が降る日は植物たちも喜ぶし、アトリエでの作業も気持ち良く運ぶ。
ざあざあ雨音に包まれていると心が平たくなってゆく。
さて、
今日から彼女のリング作りにバトンをタッチをして。
ヤスリを片手に、数時間ほどだろうか。ここまで休まず一気にやってきた。
一つの繋がったラインを作り出したいので、その間はコーヒーも飲まないし、もちろんスマホだって手に取ることはない。ドアの呼び鈴も聞こえない。
それにしても、相変わらずプラチナの輝きに魅せられてしまう。
明暗のコントラストが高いのはプラチナの特徴だ。
身につけていると嬉しくなる。安心する。
大地から生まれたものを手にする喜びがあるのだろうか。
金属っていつまでも不思議。
造形作業がひと段落したところでリングを炎に包んだ。これが最後の火入である。
酸素トーチの炎の中でプラチナリングは真っ赤に温度を上げる。
作業温度が1000度以上なのもプラチナの強さの秘訣!
そしてプラチナの手触りは実はとても柔らかい。
硬質であるというよりかは、プラチナの場合はそのしなやかさや粘り強さが耐久性を高くしている。
力を跳ね返すというか吸収するような柔軟性。
それは包容力のようなものなのかもしれない、身につけていると家族に守られているような安らかな気持ちに包まれる。
強さって色々あるなと思う。
これは感覚的で職人的なのだと思うけれど、炎から取り出すとプラチナの緊張がふわりと和らいでゆくのが伝わってきた。
ここからリングに動きを与えていく大切なところだ。
ドキドキと高鳴る鼓動を落ち着かせつつ、今日はここまで。