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南国の光あふれる日々の中で、お二人の結婚指輪を作っています #屋久島で作る結婚指輪

島に訪れる初夏の気配をすぐそこに感じながら、作業机に向かっている。

梅雨の真っ只中のはずなのに、今年は驚くほど晴れの日が多い。

作業の合間に庭先へ出てみると、木陰に入らないと暑すぎるほどで、木々の隙間から通り抜ける日差しが眩しかった。

 

 

眩い輝きに包まれた、プラチナリングの印象。

キラキラと輝くこの南国めいた日々は、お二人の結婚指輪作りに、ちょうど良いタイミングだったかもしれない。

プラチナと煌めき。夏の予感と、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

 

ジェリーに使用する金属の中でも、プラチナは独特の色調と、コントラストの強い輝きを持っている。

影になる部分はどこまでも深く、光は眩しいほどに、銀白色に抜けてゆく。

光沢仕上げで磨き上げると、鏡のように、まわりの世界を映し出すのも、好きなところだ。

 

その輝きは、潤いをたたえた水のようでもあり、同時に、夜空に散りばめられた星屑のようでもある。

光そのものを手にするような感覚は、あるいは、時間を纏う体験なのかもしれない。

 

大切な想い。時の流れ。希望の響き。

おふたりとともにあるプラチナリング作りは、いかに。

酸素トーチに火を灯し、プラチナリングの両端を接続する作業に取り掛かる。

1500度を超える炎の中で、オレンジ色になるまで温度を上昇させ、つなぎめに融点の低いプラチナを流し込む。

この時、プラチナからは相当眩しい光が放たれるので、室内を暗くし、遮光のサングラスをかけて作業を進めなくてはならない。

高温での工程を終えると、プラチナリングは初めてひとつのものとなり、強さを手に入れる。

とてもシンプルな作業ではあるけれど、結婚指輪作りにおいて、強度を決定する大切なところだ。

これから始まる新しい日々の中で、長く安心してお使いいただけたら、嬉しい。

 

プラチナの接続作業がひと段落し、ほっと一息。

太陽の光の下で、そのシルエットを眺めておく。

 

まだまだ金属の塊ではあるけれど、いよいよ造形作業のスタート地点に立った、というところだ。

これから鉄鋼ヤスリを片手に、ガリガリと造形作業を進めていくことになる。

硬くて冷たいプラチナに、昼間の木漏れ日のようなあたたかさを宿せたらと思う。

 

ふと、足元に目をやると、ネコが木陰で佇んでいる。

どうやら昼寝をしているようだ。

遠くからは、風に乗って海の音が聞こえてくる。

そういえば、土曜だ。

少しずつ、少しずつ、

島の何気ない日々が、今日も織りなされてゆくのだった。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

プラチナと煌めき。夏の予感と、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

青く輝く蝶を見たのは、久しぶりだった。

屋久島サウスでは、ここのところ晴れの日が続いていて、日差しも強くなってきている。

生垣のブーゲンビリアは色鮮やかで、光と影のコントラストが気持ちが良い。

 

 

庭先に出てみると、南国独特の重たい暑さが感じられる。

涼やかな木陰に佇み、これから始まる制作に向けて、心を整えていた。

手の中にあるプラチナが、緑の中、静かで、涼やかな煌めきを放っていた。

 

足元のシダの葉を眺める。そして木々を見上げ、緑の隙間からこぼれ落ちる光を体いっぱいに受け取って、アトリエに戻り、さっそく作業に取り掛かることにした。

 

 

プラチナをハンマーで叩きながら、くるりとリング状に整えていく。

コンコンと、金属と木がぶつかり合う音が、アトリエの中に響く。

はるか昔からずっと変わることのない、手作業の音だ。

 

 

東京に暮らすお二人から初めてご連絡をいただいたのは、島で桜が咲き始めた春先のことだった。

あれから、海をこえて何通ものメールを交わし、ビデオ通話でお会いすることもできた。

お二人が描いてくれた指輪のイメージからは、あたたかな想いが溢れていて、胸に響いた。

 

気がつけば、もう2ヶ月ほどをご一緒していることになるのか。

7月のご入籍に向けて、指輪を完成できるように、ともにオーダーメイドの日々を歩んでいる。

 

 

くるりと巻かれたプラチナを、作業台の上に置いて眺めてみると、

ほんのわずかだが、お二人のリングの姿を、たしかにイメージすることができた。

 

工程に要する時間は、数日といったところかもしれない。

けれど、これまで積み重ねてきたデザイン作りたったり、お二人が長く理想を育んできた日々を思うと、一つひとつのタッチが、とても大切なものに思えてくる。

 

お二人と、わたしと、屋久島の季節が出会い、ここに生まれた、一度だけの結婚指輪作りだ。

じっくりと丁寧に、そして思い切りよく、造形を重ねていきたい。

 

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梅雨の晴れ間とハイビスカス。屋久島で出会い、始まる結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

大阪から車を走らせて、お二人がアトリエまで会いに来てくれました。

待ちに待った結婚指輪の相談会。

眩しいくらいの光に包まれた、爽やかな午後のひとときでした。

 

 

アトリエでは、サンプルリングを囲みながら、たくさんお話を交わしました。

デザインや素材のことはもちろん、

「実は、私も最初は、車で大阪から屋久島に通っていたのですよ」と、懐かしい思い出話でも盛り上がりました。

 

案外、こういった何気ない会話から、大切な入り口のようなものに出会えたりするものなのです。

 

「なかなか迷いますね」と言っていた彼女が、不意にぽつりと呟いた言葉がきっかけになって、デザインの輪郭が浮かび上がってきた瞬間を、とても鮮明に覚えています。

 

そのデザインはまるで、ずっと前からここにあって、お二人がやってくるのを待っていたみたいに、不思議なくらい腑に落ちるものでした。

 

新しい暮らしを始めるお二人とご一緒できる指輪作りは、いつも発見と喜びに満ちています。

 

アトリエの庭先にはハイビスカスがいっぱいで、

チョウチョたちも楽しげに飛び交っている。

梅雨の晴れ間が、本当に夢のようでした。

 

屋久島の心地よい空気と、お二人の響き合う呼吸に導かれるようにして始まった結婚指輪作りです。

 

広い海を越え、細い糸のようなつながりに紡がれて、今という時間を分かち合っているのだと思うと、この出会いを、指輪をつくることを、強く信じることができるような気がしました。

 

お二人と、この島で出会えたことに感謝します。

 

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雨とエンゲージリングづくり。やわらかな日々の記憶。#屋久島でつくる結婚指輪

小さな花が集まって、包み込むように。少しずつ、リングが形になっていく。

菜の花は、集まり咲く感じが、とても好きだ。

作業机に向かい、イエローゴールドの小さな花を手にしていると、こころが癒されていくのがわかる。

 

寒さがまだ少し残る頃。

海風にゆらめく黄色い光。

雨上がりのしずくを大切そうに抱いて、きらめいている。

小さなミツバチが集まってきて、賑やかな羽の音が聞こえてくる。

 

島が新しい季節を迎える、祝福のような響きが、胸のずっと奥の方から広がってきた。

 

細いゴールドリングの上には、3つの花を、気持ちの良いバランスで並べた。

ここはとても感覚的なところである。

 

花と花の隙間には、小さなゴールドの粒を散りばめてゆく。

集まる花々。雨のしずく。

 

リングに何度も火をあて、温度を上昇させながらの作業だったので、金属が溶けてしまわないよう、細心の注意を払わなくてはならなかった。

 

無事にすべての接続作業を終え、一息をついたあと、初めてそのフォルムと対峙することになる。

有機的なバランスを宿した、やわらかな佇まいに仕上げることができたように思う。

 

そして、これまで重ねてきた足跡を、きれいにならしていくように、ゴールドの表面にヤスリをかけていくところだ。

 

窓の向こうでは、しとしとと雨が降り注いでいる。

庭先では、ピンク色のハイビスカスが咲き始め、南国の夏が、いよいよ訪れることを告げている。

そういえば、ときおり暑さを感じる日も、少しずつ多くなってきた。

このリングが完成して、海の向こうにお届けする頃には、きっと、この長い雨も、終わりに近づいているのだろう。

 

お二人との出会いと屋久島が紡いでくれた、一度だけの指輪作りだったと思う。

素敵なご縁に、ありがとう。

 

まるで水の中で過ごしているように感じられる、潤いの日々を、なんだか少し名残惜しく感じながら。

深まる緑に包まれて、お二人の婚約指輪を作っていた日々を、愛おしく思いながら。

 

 

 

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制作編

やさしさで紡ぐ婚約指輪。島で生まれる花のかたち #屋久島でつくる結婚指輪

やさしさで紡ぐ婚約指輪。島で生まれる花のかたち #屋久島でつくる結婚指輪

雨の多い日々の中に、ときどき晴れ間がやってくる。

そのタイミングを見つけては、少しだけ遠出をしてリフレッシュできるのが、最近の楽しみになっている。

朝の5時前には空が明るくなり始め、夕暮れ時には、19:00を過ぎても海に入っていることもできる。

そしてまた、深い雨が降り続く日々が戻ってくる。

 

優しくて、そして力強く繰り返される島のリズムに、息を合わせるようにして、お二人の婚約指輪作りを進めていた。

 

お花をモチーフにしたジュエリーを作るときは、実物に近い繊細な仕上がりを意識することが多いのだけど、今回のお花は、ツユクサよりも二回りほど小さいくらい。

リングも、その小さなお花に合わせ、細いものを組み合わせてゆく。

島の暮らしの中に出会う植物たちのやわらかさや、しなやかな佇まいを、形にすることができれば、何よりも嬉しい。

 

婚約指輪は、どちらかといえば、フォーマルな印象が強く、上質な仕上がりを目指してお作りしているのだけれど、植物からインスピレーションを受けたジュエリーには、日々の暮らしに馴染む、親密さのようなものがある。

ちょっとしたお出かけの日にも、そしてもちろん、何気ないいつもの日にも。たくさんの場面で寄り添ってくれると思う。

植物や金属に感じる、包み込むようなやさしさが、とても好きだなと思う。

 

いくつものパーツを組み合わせながらリングをかたち作っていく。

静かで、デリケートな作業が続いている。

 

ガスバーナーの炎に包み、イエローゴールドをつなぎ合わせ、丁寧に磨きをかけ、また火を入れる。

アトリエでは、とてもスローに、単調なリズムが繰り返されていく。

 

窓の向こうから、また雨の音が聞こえてきた。

朝の海の余韻が、まだ体の奥に残っている。

 

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2.3mm and 2.6mm round in platimnum with diamond and alexandrite #屋久島でつくる結婚指輪

material: platinum, diamond
size: 2.6mm and 2.3mm

Delivery time is within 3 months.
Made by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。

 

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屋久島のひとひらをまとう。杉の葉模様のプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島のひとひらをまとう。杉の葉模様のプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

柔らかな若葉をまとった杉の木の下で、お二人の結婚指輪を手に取ると、

光沢仕上げのプラチナが、緑に包まれた情景を映していて、

屋久島からこぼれ落ちたひとしずくのように見えました。

 

 

赤ちゃんと一緒に、ご家族でアトリエにお越しいただいてから、もう半年ほどが経ちました。

島リズムの、ゆっくりとしたオーダーメイドにお付き合いをいただき、ありがとうございます!

ご家族と過ごす幸せな日。2025年最初の相談会でした! #屋久島でつくる結婚指輪

 

あれから冷たい冬の季節を超えて、お二人の結婚指輪作りが始まったのは、ぽつぽつとあかりが灯るように、島じゅうに新緑が芽吹き始めた頃でした。

雨の日に眺めるプラチナリングのきらめき #屋久島でつくる結婚指輪

 

この島に暮らしていると、ときおり、どこか強い磁力のようなものを感じることがあります。

もちろん、すべての源は森の美しさにあるのだと思いますが、

訪れる人たちを、ときに、とても強く魅了してしまう。

 

そのような人たちとの出会いにもまた、まるで仲間と出会えたような、特別なつながりを感じてしまうのです。

 

空気に満ちる、潤いを帯びた響きに癒されながらお作りした、お二人の結婚指輪です。

身にまとうのは、お二人が大好きな、屋久島のひとひらなのかもしれません。

 

つけ心地柔らかなラウンドシェイプのプラチナリング。

シンプルだからこそ、内側のデザインには特にこだわりました。

 

リングの内側には、杉の葉がアレキサンドライトを大切に抱くように彫刻されています。

リングを重ね合わせてみると、その二本の葉が、ぴたりと繋がりました。

 

そして、その両脇にはお二人のお名前と日付を。

永遠に変わることのない、大切な想いが印として刻まれています。

 

小さな森の、木々の隙間からこぼれるやわらかな光がリングに届き、

手の中で角度を変えると、アレキサンドライトの透き通った青緑色がきらりと輝きます。

 

小さなリングの中に刻まれた、お二人の物語に思いを巡らせ、

どこまでも大きな、幸せな気持ちに包まれました。

 

生まれたての緑色が、とても眩しかった!

 

いつもの散歩道では紫陽花が咲き始めています。

ぽこぽこと、道沿いに散りばめられた色彩に心躍る季節です。

 

六月の雨のしずくのような、朝の木漏れ日のような。

彼女のリングの表面には、一粒のダイヤモンドをセットして。

いよいよお二人のもとにお届けする時がやってきました。

 

まるで、島から届けられたような出会いでしたが、

わたしにとっても、大切な指輪作りだったように感じています。

 

ご結婚おめでとうございます!!

ご家族の未来が喜びに包まれますように。

 

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ナノハナの指輪 屋久島からお届けする約束の指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

お二人と祝福を分かち合うように、オーダーメイドいたしました。

イエローゴールドとダイヤモンドで仕立てたナノハナの指輪。

日々が、喜びに満ちていますように。

 

雨上がりの庭先にて。

白詰草のそばで、リングをそっと手に取ってみる。

 

光沢仕上げのイエローゴールドが、島の緑を鏡のように映しています。

花の中央にセットした三粒のダイヤモンドは、雨の滴と響き合っているように見えました。

 

印象としては、とても繊細で軽やかなのですが、

それでも、そこに確かな重みと、どこか安心感のようなものを感じるのは、ゴールドの持つ魅力なのだと思います。

 

それにしても、花が指を囲むようなデザインには、思わず笑みがこぼれてしまいますね。

 

新しい暮らしを迎えようとするお二人と、短い間ではありましたが、こうしてオーダーメイドの日々をご一緒することができて、わたし自身も元気をもらえたような気がします。

 

素材のことやサイズのこと、大切なお届け日のことも。

遠く海を挟んで交わしてきた、ひとつひとつの真摯な言葉に、たくさんインスパイアされていました。

 

これからずっと長くご愛用いただけるように。

昔ながらの手作業で、じっくり丁寧に仕立てました。

 

いつの日か、ずっと先の未来に、ふとこのリングを眺めながら、今のことを思い出したりするのも素敵ですね。

 

 

いつの間にか、雨は上がり、久しぶりの陽光が庭先に差し込み始めました。

咲き始めたピンク色のハイビスカスが、たくさんの雫を抱いて、きらきらと輝いています。

さあ、新しい一日の始まりです。

 

おめでとう、ありがとう。

 

屋久島の祝福のような、眩しいほどの光の中で、

これからお二人にお届けする小さなリングを眺めながら。

アトリエに届き始めた、ほのかな夏の香りに、静かに心を弾ませながら。

 

 

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制作編

屋久島で生まれる、ひとつの指輪。季節の中で、静かに育まれゆくもの #屋久島でつくる結婚指輪

雨と光の記憶、プラチナリングに宿る輝きについて #屋久島でつくる結婚指輪

プラチナリングの削り出し作業を一通り終えると、酸素トーチの炎で金属を包み、緊張を解いてあげるのだけど、この工程に差し掛かると、「いよいよお二人の指輪作りも後半に入ったのだな」と、いつも感慨深く思う。

 

リングには、ここからさらに圧力を加え、アウトラインにやわらかなカーブを施していく。

硬い金属に優しい手触りを与えていく。

 

雨が降ったり晴れたりを繰り返していた指輪作りの日々を、すでに愛おしく思い出しながら。

 

 

3月のアトリエでお二人とお会いしてから、ここまで長くご一緒してきた指輪作りだ。

一つひとつのタッチを大切に重ねていこう。

植物のリズム、日々の手仕事 #屋久島でつくる結婚指輪

 

夜の間にまとまって降った雨は、朝には霧雨に変わり、雲の隙間から太陽がのぞいたり隠れたりを繰り返していた。

 

たくさんの雫をまとった世界は、光であり、同時に影でもある。

そのような、多様な世界観のようなものを表現したくて、このデザインのリングを作り始めたように思う。

 

やわらかなカーブを描いたリングは、全体のラインをなめらかに繋ぐように、磨きをかけた。

その表情を、朝の陽光の下で眺める。

 

雲を通り抜けて届いたやわらかな光ではあったけれど、白く抜けるように輝く部分と、深く沈む影になる部分がある。

そのコントラストの強さが、プラチナの美しいところだと思う。

 

手の中で角度を変えてみると、リングの中を光が巡っていく。

そのきらめきが楽しくて、思わず、くるくると回してしまった。

 

ここからさらに、特別な磨き仕上げを施して、リングはいよいよ完成となるわけだけど、

それはまた別のお話で。

 

お二人がデザインした刻印も、とても素敵に仕上がると思うので、どうぞお楽しみに!

 

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出会い編

春のひかり。屋久島で育む結婚指輪作り。#屋久島でつくる結婚指輪

 

 

植物のリズム、日々の手仕事 #屋久島でつくる結婚指輪

アトリエ近隣のエリアに、わたしたちの暮らしを静かに見守る山がある。

その少し尖ったフォルムを、わたしはいつも、アトリエの窓から、何気なく眺めているのだけれど、

その山は見る場所や角度によって、雰囲気や表情が大きく変わるのが面白い。

 

「ここからの眺めも、なかなかですな」とか、「やっぱり、うちから見える山が、一番綺麗だわ」と言い合ったりするのも、屋久島流の楽しみなのかもしれない。

 

 

お二人は、アトリエのすぐご近所に暮らしているのです。

雨の季節を迎えた屋久島の日々を、分かち合うようにして、結婚指輪を作っています。

プラチナリングを育む、島の日々 #屋久島でつくる結婚指輪

 

想像もしていなかった喜びに出会えることが稀にあるけれど、

同じ屋久島に暮らすお二人に結婚指輪をお作りできることは、まさに島から授かった贈り物のように思える。

島を大好きになって、ここに暮らすことを選んだという、親しみ深さがある。

そこに、やわらかで心地の良い繋がりを感じながら。

 

さて、今日も作っている。

彼が残したフォルムの形跡を辿るように、彼女のリングにヤスリをかけていく。

 

側面から表面へ。そして一周がなめらかに繋がるように、ゆっくりと削り出していく。

 

二つのリングは同じデザインではあるけれど、サイズはもちろん、厚みにもほんのわずかな違いを設けてある。

お揃いとはいえ、それぞれの時間やお仕事を持つお二人だ。日々の暮らしに寄り添うように、ふたつのリングを仕上げていきたい。

 

そして、大まかな削り出しを終えると、ヤスリを目の細かいものに持ち替え、また同じタッチを、同じ順番で、静かになぞっていく。

 

そこには、取り立てて目立つような動きはないかもしれない、

けれど、手の中のリングには、確かにダイナミックな変化が起きている。

ゆっくりと、シンプルに。まるで植物のように進んでいく制作のリズムが、とても好きだ。

 

夕暮れが近くなってきたので、作業の手を少し止めて、アトリエから坂道を登り、短い散歩に出かけた。

ツユクサをチェックしにいく予定だったけど、シダの葉がふわふわと佇んでいるのが目に入り、ここで立ち止まる。

 

この間まで、くるくると巻いた小さな若葉だったのに!

こんなにも生き生きと躍動しているのだから、植物たちの歩みはすごい。

 

そのしなやかさの奥にある力強さに励まされながら、指輪作りの次の工程のことを思いめぐらせていた。

 

プラチナリングを育む、島の日々 #屋久島でつくる結婚指輪

朝から晴れ間が広がりました。

こうして日々に変化があるからこそ、その時々を大切に、愛おしく感じられるのかもしれません。

もちろん、願い通りにいかないこともあるけれど、道の途中には、いつも何かしら示唆のようなものが散りばめられているように思います。

 

ジュエリー作りにも似たような感覚があって、

プラチナやゴールドと向き合う制作の時間は、まるで生きものと対話しているかのような、実に変化に富んだ瞬間の連続だったりもします。

 

作業机に向かい、手の中で小さなリングを育んでいく。

実はそこでは、密やかにドラマチックな出来事が起こり続けている、という感じなのです。

 

とくにオーダーメイドの作業では、あまりきっちりと過程を定め過ぎないようにすることが大切なのだ、ということを知りました。

金属の響きに合わせるように、軸足を移しながら、ときには回り道をしながら、ベストな仕上がりへと近づいていく。

そしてその先に、一つだけの息吹のようなものと出会えたときが、何よりも嬉しい。

 

わたしたちの心をどうしようもなく惹きつけるものには、いつも“揺らぎ”が備わっているように思います。

 

季節や、お二人との出会いも。

この島でジュエリーを作っていると、有機的で変化に富んだ日々が、手作業を豊かにし、心に響く揺らぎを作り出してくれていることがよくわかります。

 

 

さて、アトリエです。

 

くるりとリング状になったふたつのプラチナですが、まずは彼のリングから造形作業に取り掛かることにしました。

鉄鋼ヤスリを二本。目の荒いものと細かいものを用意して、それを片手に、ガリガリと削り出していきます。

 

大胆に、力強いタッチで。金属の声に耳を澄ませながら、慎重に。

 

お二人のリングでは、流れるようなラインを一番大切にしたいので、

ここは手を止めることなく、一気に進めていきたいところであります。

 

リングの表面から側面にかけて、三日月型の切り込みを二箇所、思い切りよく削り出しました。

二つの三日月の間に生まれた空間をつなぐように、その周辺をなめらかに整えていきます。

まだまだ荒削りではありますが、リングの中に、流れや巡りのようなものが、少しずつ感じられるようになってきました。

 

それにしても、プラチナの輝きは、心にぐっと響くものがありますよね。

削り出されたばかりのなまめかしい質感や、散りばめられた金属片のキラキラを作業台の上に眺めながら、ただただうっとりでした。

 

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制作編

屋久島の恵み、お二人ととともに紡ぐ結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島の恵み、お二人ととともに紡ぐ結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

例年よりもずっと早い梅雨入りを迎え、屋久島サウスでは、雨降りの日が多くなってきている。

冷たくて、重たい雨だ。

 

ザアザアと、ときおり激しく降り、不意に、つかの間の静寂が訪れる。

窓の向こうを眺めると、緑はどこまでも色濃く、まるで水の中にいるような感覚に包まれて、癒される。

大好きな屋久島のリズムに身委ねるようにして、作業机に向かっていた。

 

アトリエの照明を仄暗く調整し、酸素トーチに炎を灯す。

作業のために用意してあったプラチナを、炎で包み、素早く焼き鈍していく。

静かな島の時間の中で、これから生まれるリングの姿を鮮明に思い描きながら。

 

すぐご近所に暮らしているお二人がアトリエを訪れてくれたのは、島にうららかな光が降り注ぎ始めた、春の始まりの頃だった。

「近くに住んでいるのに、初めてお会いできましたね」と、お互いに笑い合った。

サンプルリングを囲んだ和やかな相談会のひと時を、今でもよく覚えている。

 

暮らしてきた場所や年齢も異なるお二人と、大好きな屋久島で繋がることができて、とても嬉しかった。

この島が紡いでくれた、小さな恵みのような結婚指輪作りだと思う。

 

 

雨足が弱くなったタイミングを見計らい、庭先に出てみる。

湿度を含んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。

 

ほんの少し海の香りを感じて耳を澄ませてみると、

ずっと遠くのほうからは、潮騒が聞こえてきた。

 

足元を眺めると、ポコポコと紫陽花が風に揺らめいている。

花々の嬉しそうな佇まいを見つめ、幸せな気持ちに包まる。

 

いよいよ、これからお二人の結婚指輪づくりが、本格的に始まることになる。

 

 

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