
熱帯特有の刺激的な暑さが続いている。
8月は終わりに差し掛かっているけれど、海の水はまだトランクスで泳げるほどに温かい。
ここ数日は、台風が残したウネリを求めて、いつものビーチまで足を伸ばしていた。
ほんの1時間ほどだろうか、仲間と一緒に何本かの波に乗る。
そしてシャワーで潮を洗い流して、アトリエに戻る。
冷蔵庫で冷やしておいたお茶をぐいと飲み、その日の制作を始める。
そのようなリズムだ。
3つのリングのうちのひとつは、シャンパンゴールドで作る花。
おふたりとの指輪づくりの日々を、島の季節がいつもやさしく包んでくれています。
屋久島の森はいつ訪れても神秘的だけど、
海はどちらかといえば、もっと暮らしに近く、親しみのある場所のような気がする。
小さくて丸い島なので、ふいに、どこかから潮騒が聞こえてくる。
水平線を眺める時間は、目にも優しくて助かっている。
庭先には黄色い小花がたくさん咲いた。
ハイビスカスを見上げると、夏の光が眩しい。
どこかカラフルな夢の中にいるような心地で、今日もジュエリーを作っている。

シャンパンゴールドの花にプラチナの粒を添え、紙やすりで丁寧に磨き上げたナノハナの指輪は、ダイヤモンドのセットを待つばかりとなった。
繊細なシルエットの中にも、ゴールドの確かな手触りを感じられる。
太陽の光の下で眺めると、リングから小さな響きが伝わってくる。
それは脈打つ鼓動のようでもあり、刻み始めた時間の音のようでもあった。
そしてわたしはアトリエに戻り、ルーペで細部の作りや強度を念入りに確かめ、ここで一旦、この指輪の制作に区切りをつけることにした。

まだ日は高く、制作には十分な時間が残されていた。
ナノハナの指輪の造形作業が無事にひと段落し、気持ちもすっきりとしていたので、その余韻のまま、次の指輪作りに取り掛かった。

まずはプラチナの板を、表面に凹凸のある金槌で模様を写すように叩き、有機的な質感を与えた。
このプラチナはやがて葉っぱとなり、菜の花の指輪と対になるように作り進めていくわけだけど、
ふたつのリングが手の中でひとつになっていく時間と対峙できることは、作り手冥利に尽きる喜びであるように思う。
まだまだ楽しい指輪づくりは続いていく。
喜びを分かち合いましょう。
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