夏の太陽が水平線に沈むころ、わたしは島の西側にあるビーチにいた。
日中は外に出るのも憚られるほど強い日差しが降り注いでいたが、この時刻になると、むしろひんやりと感じるほどだった。
空が芳醇な色彩に包まれている。
秋が近づいてきているせいだろう。
この季節は、空気中の水蒸気やちりが少なく、透明度が高いため、赤やオレンジ色の光がより鮮やかに見えるのだ。
わたしは波打ち際を歩いていたので、光が水面に反射してきらめきが眩しく、思わず目を細めてしまうほどだった。
最初は波の音も騒がしく感じられたが、やがて慣れて、むしろ当たり前のことになっていた。
手の中にあるシャンパンゴールドは、夕暮れの光を鏡のように反射させた。
角度を変えると、打ち寄せる波のリズムに呼応するように、ゆらゆらとその輝きをオレンジ色の空気の中に漂わせていた。
海のリズムと響き合うシャンパンゴールドの色彩が、その情景に溶けて見える瞬間もあった。
海で過ごしたひとときのおかげで、とても自然な心持ちで新しい作業に向かうことができた。
シャンパンゴールドは手の中ではとても硬かったが、炎に包んで焼きなますと、わずかに柔らかくなった。
最初の一歩は、リングの幅となる部分に大きな抑揚をつけていくことだったが、
金槌を片手に、力を込めて角張った棒の両端を叩いていくと、その部分が少しずつ薄く、平らになっていった。
たぶん、その一歩をうまく踏み出すことができたのだと思う。
おふたりと一緒にデザインを育んで、もう半年ほどが経った。
思い描いてきたのは、海や波、そして太陽。大好きなリズムを感じるリングだ。
屋久島から海を越えて、おふたりは遠くに暮らしているけれど、
ビデオを介して話をしたり、サンプルリングを作ってお送りしたり、そのような調整を繰り返していると、その半年の時間はとても充実したもので、それほど長くは感じられなかった。
これまで大切に分かち合ってきたイメージが、今、目の前で、少しずつ形になりつつある。
細やかなタッチを加えるたびに、シャンパンゴールドが新しい表情を見せてくれる。
その変化を静かに眺めているだけで、なんとも言えない満ち足りた気持ちになれた。
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