Blog

森の記憶とともに育むプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

12月にしては、驚くほどにあたたかな日が続いていたので、

これは素敵なギフトだと思い、森を歩いてきた。

 

ここは古くから、森の泉と呼ばれる場所で、なるほど。

歩き始めるとすぐに、水の音に包まれていることに気づかされる。

 

漂う緑の香り。

冷たい水の味わいと、手触り。

どこまでも広がっていく、無限の緑。

 

いくつも並ぶドアを強くノックしていくように、眠っていた感覚がひとつずつ呼び覚まされていく、
そんな時間だったように思う。

 

その森の余韻に包まれて、おふたりのプラチナリングの仕上げ作業を進めることができた。

森の中に流れる時間を色濃く感じながら、そのフィーリングをリングに投影するようにして、夢中になってタッチを重ねた。

 

リングの表面をきれいに磨き上げたあと、そのシルエットを太陽の光の下で眺めてみようと思った。

 

そっと指に通してみたリングの心地は、とても馴染みが良い。

 

空気の中には、自然の神秘みたいなものが漂っている。

その形のない響きのようなものを、小さなリングにできたらと思っている。

 

ふたつのプラチナリングは、重なり合い、ひとつでもあって。

木漏れ日の中で静かに煌めきながら、島の時間に溶け込んでいるように見えた。

 

指輪づくりは、いよいよゴールまであと少しとなり、

おふたりにとっては、それを合図とするように、新しい暮らしが始まることになる。

 

なんだかその大切なひとときを、ご一緒しているような気がして、嬉しくなる。

未来に向かって、力強く歩み始めているように思えて、背中を押してもらえる。

 

あと少し。

大切に育んでいこうと思う。

 

胸の中には、まだ森の印象が鮮明に漂っている。

巨木を通り抜けて届く光が、霧雨のようにやわらかく降り注いでいる。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

あたたかな冬の島で。プラチナリングに巡るリズム。お二人と歩む日々。#屋久島でつくる結婚指輪

いとおしい月のネックレス 屋久島から、メリークリスマス #屋久島でつくる結婚指輪

いとおしい月のネックレス

自然の中に響くやわらかな温度

 

山茶花色に包まれたアトリエより。

素敵なクリスマスを!

 

海の月ネックレス 18k yellow gold, island shell

 

三日月のペンダントトップは、屋久島の海からいただいた夜光貝と、イエローゴールドを合わせてお仕立ていたしました。

 

花と月と。

アトリエの山茶花の下で眺めると、

まるで季節のひとひらを手に取るように感じられて、

思わず、うっとりとしてしまいます。

 

12月のあたたかな陽光を受けて、きらきらと煌めいています。

光が移ろうたびに、新しい色彩が浮かび上がります。

 

ネックレスをお送りした、その夜、

空には、美しい三日月を見ることができました。

 

月を眺めていると、どこか穏やかな気持ちに包まれるのは、なぜでしょう。

この静かで雅やかなひとときが、海の向こうまで、届きますように。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

あたたかな冬の島で。プラチナリングに巡るリズム。お二人と歩む日々。#屋久島でつくる結婚指輪

小さなプラチナリングの中に澄んだ水が流れるように、一本のラインを描いている。

ヤスリで削りだされたプラチナが放つ光は、明るくてやわらかい。

 

大地の響き。

この生々しくもある質感を手の中にできるのは、作り手冥利に尽きる喜びかもしれない。

 

 

雨が降るとあたたかくなり、寒さが訪れると空が晴れ渡る。

冬の島リズムの中で。

雨の日のアトリエより #屋久島でつくる結婚指輪

 

あと少しで、クリスマス。

観光シーズンを終えた島は、一年ぶりに静けさを取り戻し、なんとものどかな空気に包まれている。

お隣さんからいただいたレモンやポンカンを食べながら、静かに作業に没頭する日々は、冬休みの自由研究みたいで、とても楽しい。

 

雨が上がり、山際からは、まとっていた服を脱ぐようにして、雲が遠ざかっていった。

屋久島サウスは、驚くほどにあたたかな陽気に包まれて、わたしもTシャツ一枚になる。

 

不思議なんだけど、この山をもう15年ほど眺めてきたけれども、全然飽きることはない。

島に暮らすと、海をずっと眺めているかな、と思っていたので、少し意外だった。

 

切削作業をひと段落した。

そして再び、プラチナを酸素トーチの炎に包み、真っ赤になるまで温度を上げていく。

これまでの長い作業でリングが帯びた緊張を解き、いよいよここから、最後となる大掛かりなタッチを加えていく。

 

表面に削り出した緩やかなカーブと呼応するように、リング全体にもカーブを与えていく。

鉄の枠にあてて、コンコン。

芯金に通して、コンコン。

少しずつ、少しずつ、リングに力を加えていく。

一度足を踏み出すと、もう戻ることのできない工程なので、慎重に進めていかなくてはならない。

 

大きなカーブ、小さなカーブ。

リングの中に、ささやかな“巡り”のようなものが生まれてくる。

サイズに微調整を加えながら、ビデオ越しに会話を交わした、おふたりのことを思い浮かべる。

わたしたちが一緒に抱いてきたイメージが、とうとうリアルな姿を現した。

海を越えて遠く離れてはいるけれど、手をつなぐようにして、ずっとジュエリー作りの日々を歩んでいる。

 

ありがとう。

 

2本のリングのリズムを整えて、無事に一通りの作業を終えることができた。

重たい芯金からそっと外すと、プラチナリングからは、ほのかな温度を帯びた手触りが伝わってきた。

 

高鳴る思いで、その細部をルーペ越しに眺めてみる。

これだけたくさんのタッチを加えたからだろう、リングの表面には、細やかなたわみが、シワみたいになって集まっている。

 

これから紙やすりで整えていけば、さらに美しいラインが現れるだろう。

とても硬くて、やわらかな指輪だ。

 

はやる気持ちを抑えながら、今日はここまで。

朝から長く続いた作業の手を、ようやく止めることにした。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

雨の日のアトリエより #屋久島でつくる結婚指輪

朝になると、アトリエは重たい湿度に包まれていました。

久しぶりの、力強い雨です。

 

ザアザアと部屋に響く音は、分厚い幕みたいで、

こうなると、なかなか外に出にくくなるのも、屋久島の暮らしならではかもしれません。

 

それでも、窓越しに眺める山茶花が美しくて、

雨足が弱くなるタイミングを待って、ついつい庭先に出てしまう。

 

無数の雫をまとった花々に心を癒されながら、熱いコーヒーを淹れて作業机に向かう。

 

年末で、少しずつ忙しくなってくる頃ではあったけど、この雨のおかげで、ふっと力が抜けたような気がしました。

 

 

咲き始めたツワブキの花。煌めく海。酸っぱくてキュッとなるポンカン。

屋久島サウスのあたたかなひかりに包まれながら、おふたりの結婚指輪をつくっています。

12月のひかり。おふたりの結婚指輪をつくり始める日 #屋久島でつくる結婚指輪

 

雨の日は、制作日。

というのが、いつの間にか身についていた暮らしのリズムで、

雨が降ると、今日はアトリエにこもって作業に深く集中できる日だな、と

なんだか嬉しくなるようになりました。

 

雨の多い屋久島だから、そんな日ばかりということになるのですが、

やさしく刻まれる島のリズムに励まされるようにして、今日も作業机に向かっています。

 

おふたりが暮らす長野では、きっと雪が降っているのだろうけど、それもまた素敵です。

 

雪と雨と。

空から降り注ぐものを心待ちに過ごす時間は、もしかすると、とてもよく似ているのかもしれません。

ふと、わたしたちの間のある、やわらかなつながりのようなものに気がついて、嬉しくなりました。

 

丸くリング状に整えたプラチナリング。

その表面を、鉄工ヤスリで大きく削り出していきました。

 

雨の音を聞きながら、静かにタッチを積み重ねていくと、夕暮れ時には、リングをぐるりと巡るラインが現れました。

 

窓際でそのシルエットを眺めると、ほんのりとした光が、小さなリングの中に、明るい部分と影になる部分をつくり出していました。

 

嬉しくなって、くるくるとリングを回してみる。

 

そのたびに、表情が新しくなっていく。

 

プラチナリングは、お気に入りの服を着るように、深い緑色を映した光をまとっている。

 

まだまだ、始まったばかりではあるけれど、おふたりと一緒に抱いてきたイメージが、リアルな形になりつつある。

その瞬間を前にして、静かな手応えのようなものが、胸のずっと奥の方に響いてきました。

今日の道具たち。

下の段に、鉄工ヤスリが二本と、上の段の精密ヤスリ。主にこの三本で、指輪作りを進めていきます。

 

案外、定規を使い、けがき線を描きながら、きっちりと寸法を取っていくのですが、

道具はとてもシンプルで、はるか昔から変わらない、精緻なものがいい。

 

手とリングとの距離が近くなればなるほど、わたしたちの中に巡る響きのようなものが、より確かに、リングに伝わるような気がするのです。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

12月のひかり。おふたりの結婚指輪をつくり始める日 #屋久島でつくる結婚指輪

12月になると、景色のトーンが、いくぶん穏やかになった。

島に暮らすようになってからは、海面に伸びるひかりの道を眺めるのが、とても好きになった。

眩しいほどの輝きと、冷たい冬の影が生み出すコントラストが、気持ち良い。

 

小さなリングの中にも、いくつもの表情が同時に存在すれば素敵だろうな、と思うようになったのは、とても自然なことだったように思う。

それは、永遠に紡がれゆくリズムであり、儚い夢のような時間なのかもしれない。

 

屋久島サウスでは、年末とは思えないほどに、あたたかな日が続いている。

海は煌めき、大好きなツワブキの花も、あちらこちらで咲き始めている。

 

おふたりの結婚指輪を作り始めるのに、これ以上ないタイミングだったように思う。

 

おふたりが結婚指輪の素材に選んでくれたのは、プラチナだった。

プラチナの作業温度は、とても高い。

酸素トーチの炎に包み、1000度以上まで上昇させながら、溶接作業を進めていく。

部屋を暗くし、真っ赤になるまで温度を上げたリングが放つ強い光を、直接目にしないように、濃いサングラスをかけておく。

 

サイズと幅の異なる2本のプラチナリングを手の中にすると、

これまで長く、おふたりとデザイン作りをご一緒してきた日々のことが思い出され、胸が高鳴った。

いよいよ、始まったのだな、と。

 

そしてここは、表には見えなくなるけれど、

無事に溶接作業を終えたのち、リングの表面と側面を金槌で、均一に打ち付けておいた。

凸凹模様がつくまで、何度も強く叩き、プラチナに安定した強度を持たせておく。

これから長くお使いいただく結婚指輪だ。

体に響く部分を、しっかりと支えておきたい。

 

夕暮れ時の光の中で眺めたプラチナリングは、みずみずしくて、綺麗だった。

 

足元には、ツワブキの花が、まるで黄色い光のドットを集めたように、可愛く咲いている。

そのまっすぐな佇まいを眺めているだけで、なんだか、とても元気になった。

 

今年は、なかなか良い場所に咲いてくれたなあ、なんて思っていると、

今この瞬間が、いっそう大切なものに感じられてきた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547