
新しい年を迎え、屋久島サウスは清々しい色彩に満ちている。
冬の、冷たく澄み渡る光だ。
夜明けの時刻も少しずつ早くなってきて、道端には菜の花の黄色も見るようになった。
まだ冬は深まってゆくけれど、南国ならではのカラフルな時間に心を委ねながら、
爽やかな気持ちで、今年最初のジュエリー作りを始めている。

まずは、硬く冷たいプラチナを真っ赤になるまで熱し、叩きながらリング状に整えていく。
アトリエでは、いつもと変わらない手作業を淡々と重ねていくけれど、
ひとつひとつのタッチが、新しく、とても大切なものに感じられる。
おふたりの結婚指輪作りがいよいよ始まったのだなと、祝福のムードに満たされていく。

それぞれのサイズに合わせて、プラチナの両端を糸鋸で切り落とす。
その両端を、薄い紙も通らないほどに、ぴたりと隙間なく合わせておく。
小さな手間の積み重ねが、仕上がりの美しさを大きく左右する。
まるで、料理の下ごしらえをひとつひとつ丁寧に整えていくような時間だ。

おふたりは、屋久島よりもずっと南に位置する島に暮らしていて、
これまで画面越しに言葉を交わしてきたのだけど、
あちらでも、菜の花が咲き始めているのだろうか、
ポンカンの収穫もひと段落した頃だろうかと、
南国の近しい季節感に思いを巡らせながら作業机に向かう時間も、またかけがえなく感じられてくる。
冬から春にかけての変化は、おふたりが暮らす島の方が、少しだけ早く訪れる。
季節のバトンを受け取りながら、つながりながら、この指輪づくりを育んでいければいいと思う。
リングの両端が合わさる部分に、融点の低いプラチナを薄く、小さく切って置いた。
再び酸素トーチの炎に包み、1000度以上まで温度を上昇させていく。
手作業の音が心地よくアトリエに響いている。
正月を過ぎた島は、また静かな日常を取り戻している。
リングが真っ赤に染まるほど熱が入り、つなぎ目へ炎の先端を集中させると、眩しい火花がほとばしる。
その一瞬の臨界点に達したとき、プラチナのかけらが急速に溶けて、隙間へすっと流れ込んでいった。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547













