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手仕事のリズム、大地の響き #屋久島でつくる結婚指輪

指輪作りでは、金槌や木槌を手にする時間が多い。

大小さまざまな種類を使い分けながら、ゴールドを叩き、かたちを整えていく。

 

こんこんと、はるか昔から変わらない手仕事のリズムが、アトリエに響く。

 

少しずつではあるが、おふたりとともに思い描いたリングの姿が、手の中で確かなかたちを帯びていく。

 

鉄の芯金にあてて丸く仕立てたリングを、再びバーナーの炎に包み、両端をぴたりと繋ぎ合わせた。

ゴールドは、輪になることで、驚くほどに強度を高くする。

 

繋ぎ目を残さないよう、細心の注意を払いながら進める工程だが、うまく仕上げることができたように思う。

作業を終えると、手の力ではほとんど変化を与えられない硬さが、小さなリングに宿っていた。

 

 

屋久島と仙台。

シャンパンゴールドとイエローゴールドで紡ぐ結婚指輪。

おふたりとの素敵な出会いに、ありがとう。

出会うこと。ふたつのゴールドで結婚指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

 

まだ冬の寒い時期にお便りをいただき、始まったオーダーメイドだったけど、

島は新緑の季節を迎え、庭先や散歩道には、色とりどりの花がひらき始めている。

 

ゆっくりとした歩みではあるけれど、

こうして島の時間の中で育まれてゆくおふたりの指輪もまた、美しい一輪の花のように思いながら。

 

萌える新緑というのも、なるほど。

今にも動き出しそうな山々が、複雑で繊細な風を運んできてくれる。

 

花はどれだけ小さくても、目に優しいのはなぜだろう。

作業の合間に、その精緻な造形を眺め、癒されておく。

 

2本のリングを重ねてみると、その色彩の違いがとても心地よく感じられた。

細やかな配合がなされ、精製された金属ではあるが、それらが大地から生まれたもの、あるいは大地そのものなのだと思うと、勇気づけられる。

わたしたちもまた、その美しい自然の一部なのかもしれない、と。

 

この大地の響きのようなものを、いつも近くに感じられるように、これからリングの造形を進めていきたいと思う。

 

 

 

出会うこと。ふたつのゴールドで結婚指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

夜明けの空が、鮮やかに色づきはじめている。

陸から海へと流れる風はゆるやかで、まだ少し冷たい。

一日の始まりに波に乗ろうと、5時過ぎに浜辺に立つと、水平線はすでに淡く光を帯びていた。

 

 

海からアトリエに戻り、カフェオレを作り、作業机に向かう。

時計の針は、8時過ぎを指している。

波がある日のリズムだ。

 

自然はいつも、創作に澄んだインスピレーションを与えてくれる。

そのような喜びを、誰かと分かち合うことができると、日々は静かに満ちていく。

 

屋久島よりもはるか北、自然に近く暮らすおふたりを思いながら、

新しいジュエリー作りに取り掛かることにした。

 

奥に見えるのが、彼のイエローゴールド。

手前にあるのが、彼女のシャンパンゴールド。

同じK18ゴールドでありながら、色の印象は大きく異なっている。

 

イエローゴールドには太陽のような温かみがあり、彩度が高い。

一方、シャンパンゴールドは、どこか植物的な気配を含んだ、落ち着きのある上品な色合いを見せてくれる。

ゴールドは24分率を基準に配合される。

18の純金部分は共通で、残りの6の組み合わせを変えることで、この違いが生まれてくる。

そして、その配合には、装飾品としての強度や安定性も同時に求められる。

 

お揃いでありながらも、お互いが個性を宿している。

ときに引き立て合い、ときに補い合いながら、ひとつのかたちへと結ばれていく。

ふたつのゴールドで作る結婚指輪には、わたしたちの時間がふれあった瞬間に生まれる、あの反応に似たものがあるように思う。

 

さて、いよいよお二人の結婚指輪作りが始まる。

ゴールドの色合いと、リング幅に微妙な変化を持たせながら、同じラウンドシェイプのフォルムを作り上げていく。

春の可憐な花をモチーフにした彫刻模様が、そのつながりをより確かなものにする。

 

はじめに、ガスバーナーの炎でゴールドを包み、600度ほどまで温度を上げた。

均一に火を巡らせておくことで、金属はやわらかくなり、このあとの手仕事が進めやすくなる。

 

やがて、ゴールドが赤みを帯び始める。

溶けてしまわないように、ゆっくりと、慎重に手を進めていく。

 

夕暮れが訪れ、アトリエは深い緑に包まれている。

雨降りの前兆なのだろうか、不思議なくらい静かだった。

 

そして、タイミングを見定めて、火から離す。

すぐにゴールドをグラスの水へと落とすと、ジュっと歯切れの良い音を立てた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

満ち欠ける月、シャンパンゴールドとプラチナの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

春の香りの中で眺めた、コンビネーションリング。

淡い光をまとった色彩が満ちていて、

シャンパンゴールドもプラチナも、島の時間に溶けていきそうに感じられました。

まるで月を眺めているような、澄んだ安らぎが込み上げてきました。

 

 

おふたりの結婚指輪を作り進めていたのは、ちょうど島で皆既月食を眺めた頃でした。

春の訪れとともに湿度が満ち、植物たちが生き生きとした表情を取り戻していく、熱帯の日々でした。

満ち欠ける月と、シャンパンゴールド、プラチナの結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

 

月にまつわるおふたりの結婚指輪作りだったこともあり、

制作のあいだは、よく空に浮かぶ月を眺めていたような気がします。

 

完成したときに、アトリエの周りに月見草が咲いていたのも、なんだか素敵なタイミングでした。

 

島リズムのゆっくりとしたペースとなりましたが、長いあいだお付き合いをいただき、本当にありがとう。

 

満ち欠けを繰り返し、時とともに表情を移ろわせ、ときには驚くほどに大きく見えたり。

月が奏でる神秘的リズムに魅せられてデザインした、おふたりの結婚指輪です。

 

彼の2.0mm幅と、彼女の1.8mm幅

お揃いのラウンド-スクエアシェイプでお仕立てした、コンビネーションリングです。

 

重ね合わせた佇まいは、とても繊細でやさしい。

 

内側から側面へ、そしてわずかに表面へと、シャンパンゴールドのやわらかな黄金色が広がっています。

表面から側面にかけては、プラチナの静かな輝きが満ちています。

 

リングの中では、それぞれの金属がちょうど半分ずつになるようにお仕立てしています。

 

プラチナを基調としつつも、

ときおり、さりげなくシャンパンゴールドの色彩が感じられる。

 

その表情のやわらかな移ろいは、まるで月のような豊かさをたたえ、心にそっと満ちてきます。

 

おふたりと指輪作りで分かち合ってきたものは、あるいは、空気の中に漂う、響きのようなものだったのかもしれません。

 

 

リング内側のデザインも、大切にしたところです。

お名前と日付を彫刻し、その間にムーンストーンを添えて仕上げました。

 

その細やかで力強い細工を眺めていると、どこか祈りにも似た、澄んだ気持ちに包まれていきました。

 

新しい始まりを迎えるおふたりとご一緒できた、希望に満ちたひとときだったように思います。

雨上がりの屋久島サウスより、

おめでとう。ありがとう。

 

そして、私たちの物語は、まだもう少し続いていくのでした。

 

このリングは、もうしばらく大切にお預かりをし、

アトリエでお会いできる日を、今はとても楽しみにしています。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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重なり合う時間。潤いと緑の中で眺めるプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

考えてみると、指輪作りのあいだは、雨がよく降った。

プラチナリングが少しずつかたちになっていくのと響き合うように、島の緑もまた、日に日にその濃さを深めていったように思う。

 

おふたりの結婚指輪の造形作業がひと段落したのも、そのような雨降りのタイミングだった。

 

リングの表面に目の細かい紙やすりをざっとかけると、ふたつの丸いフォルムが現れた。

それらはまるで、ずっと昔からここで寄り添っていたような、対のシルエットを持つリングだった。

 

まだ雨は降っていたけれど、庭先でふたつのプラチナリングを眺めることにした。

 

自然の光の下で、細部の造形を確かめたかったのもあるし、

おふたりのリングには、これから緑色の石をセットすることになっているからでもあった。

 

エメラルドは、その深い色調も、どきりとするような透明感も、水に包まれた屋久島の緑にとてもよく似ていると思う。

 

 

大きさの違う2本のリングは、それぞれの質量を確かに携えながら、

ぽつりぽつりと降り続く雨の中で、ふたつでひとつにも見えた。

 

形を成したプラチナリングは、おふたりと数えきれないシーンを分かち合いながら、これから長い時を寄り添っていく。

 

リングの内側には、繋がる模様を彫刻することになっている。

 

アトリエに戻り、2本のリングを重ね合わせ、

日付と名前、繋がる模様、そしてエメラルドのレイアウトを慎重に整えていく。

 

そうしているうちに、小さい方のリングがすっと大きい方の中に収まり、なんだか嬉しくなる。

出会うことって、とても素敵なことだなあと思う。

 

長く続く雨音に耳を澄ましながら、

最後の仕上げに向けて、静かに、ほのかな希望のなかで手を進めていた。

 

 

 

雨が降り始める前に #屋久島でつくる結婚指輪

次の雨が降り始める前に。

削り出し作業のひと段落したプラチナリングのシルエットを、春の陽光の中で眺めました。

 

ふと、足元に目をやると、

タイミングを合わせたかのように、猫も日向ぼっこです。

 

若葉をつけ始めた木の下でリングを手に取ると、プラチナは鏡のように島の緑を映んでいて、思わずうっとり。

洗練された、心地の良いフォルムになってきています。

 

実は、直に肌に触れる部分はリングの内側が大きく占めていて、

ここは見えないところではあるけれど、日々のつけ心地に大きく響く部分を大切にしていきたいと思うのです。

 

表面の造形がうまくできていることを確かめてからアトリエに戻り、さっそく内側の削り出し作業へと取り掛かかりました。

内側も表面と同じように鉄工ヤスリを入れ、丸く滑らかなカーブに仕立ててまいります。

 

削り進めるごとに、作業台にはプラチナの粉がたくさん散らばり、その集積を眺めていると、もうこんなところまでやってきたのだなあと、なんだか少し、この指輪作りが名残惜しく感じられたりもしました。

 

手を動かすうちに、アトリエが急に静かになってような気がして、窓を開けて海の方を眺めると、厚い雲が水平線の方角にかかり、また雨の気配が漂い始めていました。

波音とともに、あたたかく湿った風が部屋の中に流れ込んできました。

 

雨に潤されて、緑はいよいよ深まり、山を歩く時間も、これからまた心地よくなっていくのでしょうか。

 

アウトドアでの活動が多いおふたりなので、

シンプルでプレーンなかたちは、扱いやすさという点でも心強いものだと思います。

 

小さな傷や曇りも、ときどき手をかけながら整えていく。
そうして過ごす時間の中で、この指輪は少しずつ、おふたりのものになっていくのだと思います。

 

島のアトリエで作っているふたつのリングが、未来へと繋がっていく。

そう思うと、いまこの瞬間が、かけがえのないものに感じられました。

 

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

やわらかな力強さ。島のリズムに育まれるプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪