Blog

夏のしずく、しずくのしずくネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

夏のしずく

プラチナとダイヤモンドでお仕立てした、小さなネックレス。

雨上がりに咲く白百合のそばで、その静かな輝きを眺めました。

 

しずくのしずくネックレス platinum, diamond

 

プラチナでかたどったしずくの大きさは、約7mm。

花びらの上に、そっと収まるほどの繊細さです。

 

ダイヤモンドは、ちょうど雨粒と同じくらいでしょうか。

2.8mmと大粒のものをセットしてありますので、

その繊細さの中に、どこまでも透明で力強い輝きを感じられました。

 

雨のしずくや、植物たちもそうですが、

小さなものって、本当に愛らしくって、

気がつけば、ついつい魅入ってしまいます。

 

プラチナとダイヤモンドの組み合わせなので、

毎日つけっぱなしできるのも、嬉しいところですよね。

 

昔ながらの手作業で、じっくり丁寧にお仕立ていたしました。

長くご愛用いただけますように。

 

アトリエを包み、激しい雨を降らせたスコールが過ぎ去ると、山々には青空が広がりました。

差し込み始めた夏の陽光を受けて、キラキラと輝きだすしずくの煌めきは、まるでダイヤモンドのようで、

お二人を祝福する、島の贈り物のように感じられました。

 

ネックレスは、大切にケースにお納めして、いよいよこれから海の向こうにお届けいたします。

 

大切なプレゼントにお選びいただき、

心よりありがとうございました!

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

想いあふれる、三つのリングが出会うとき #屋久島でつくる結婚指輪

今年の春先、屋久島サウスのアトリエでお二人と出会い、

そこからゆっくりと結婚指輪作りを進めてきました。

 

あの日、一緒に思い描いたイメージが、いま、少しずつかたちを帯びてきています。

 

ツワブキの花咲くエンゲージリング。

シダの葉をかたどるマリッジリング。

そして、シダの葉模様を彫り込んだ、もうひとつのマリッジリング。

 

わたしたちが愛してやまない植物をモチーフに、

それぞれに響き合うつながりを持たせながら、

3つのジュエリーを仕立ててまいりました。

 

「メンズリングは、アウトドアでの活動にもフィットするように」

「彼女のリングとモチーフを分かち合おう」

 

新しい始まりを迎え、喜びに包まれるお二人とご一緒するオーダーメイドのひとときは、いつも楽しく、心あたたまるものです。

 

お二人が大切にする想いや暮らしから、ひとつだけのデザインが生まれます。

 

 

出来上がりつつあるリングたちは、どこかお二人の面影を映しているようでもあり、

寄り添いながら、これからの長い日々をともに歩んでいくことでしょう。

 

その歩みの中にある幸せな時間こそが、

ジュエリーとして表現したいものではないだろうか。

 

かたちのない大切な想いから、かたちあるものを作り出してみよう。

そう思って創作に向かい合ってきたのが、この結婚指輪なのです。

 

 

もう少しすると、いよいよこのリングが完成し、

それを合図にするように、お二人の新しい暮らしが始まりを迎えます。

 

少し先の未来を思い描きながら、わたしもその時を心待ちにしています。

 

花が散り、小さな実を結び、やがて果実を育んでいくように。

私たちもまた、新しい始まりを何度も迎えていくのかもしれません。

 

そんなふうにして、自然の一部として軽やかに時を歩んでいけたらいいなと思う、今日この頃です。

 

2025年、夏

 

 

 

制作編

丸くやわらかなスクエアシェイプ #屋久島でつくる結婚指輪

出会い編

大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

丸くやわらかなスクエアシェイプ #屋久島でつくる結婚指輪

イエローゴールドのリングの造形作業を始めてから、はや2日ほどが過ぎ去り、

その内側を精密ヤスリで削り始めた朝、リングの表情にやわらかな変化が現れた。

 

彼のリングは、すっきりとしたスクエアシェイプのデザインで作り進めていた。

 

「あ、ゴールドの温度を感じることができる。」

 

わたしは作業を少し止め、リングを手の中でそっと握りしめてみた。

 

「ずいぶん、表面を削り出せてきたな」

 

作業の進捗を確かめると、またヤスリを握り、手を動かし始めた。

 

◻︎

 

スクエアシェイプというと、エッジの立つシャープな印象があるかもしれないけれど、

その中に、どこかやわらかで親しみのある手触りを生み出したいと思っている。

 

実のところ、フラットな形状の表面には、わかるかわからないくらいの緩やかなカーブを施して仕立ててある。

それに対して、側面は完全なフラットだ。

そして、指に触れるリングの内側は、大きくラウンドさせて仕上げていく。

 

このシャープネスとやわらかさのバランスが、イエローゴールドの手触りをより一層際立たせてくれる。

相反する要素が交わることで、仕上がりに深みが生まれるのは、あるいは、フランボワーズとチョコレートの出会いに似ているかもしれない。

 

それは、シャープなスクエアシェイプであり、同時に丸く、やさしい存在でもある。

 

◻︎

 

内側をなめらかに整えたリングは、ここでもう一度火にかけて、金属の緊張を解いておいた。

イエローゴールドをやわらかく焼き鈍しておき、これから更なる造形を与えていくことになる。

 

朴炭の上に置いたリングが熱を帯びて、真っ赤な光を放っている。

常温であれだけの強度を持つゴールドは、1000度を超えると溶けてしまう。

その境界に在り、より際立つ儚さと強さが、とても美しく感じられた。

 

◻︎

 

夏の早起きは楽しい。

朝焼けの美しい日が続いている。

窓の向こうにオレンジ色の大きな雲を眺め、散歩に出かけると、

昨日よりもたくさんの花を咲かせたハマユウが、気持ち良さげに朝露を纏っている。

やがて、太陽の光が差し込み、一気に汗ばむほどの暑さを感じ始める。

それを合図にするように急いでアトリエに戻り、カフェオレを作り、それを持って作業机に向かう。

気がつけば、蝉の声が響き渡っている。

 

このようにして、夏のジュエリー作りは続くのであった。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

ぬくもりと色彩。イエローゴールドとプラチナが紡ぐ時間 #屋久島でつくる結婚指輪

ぬくもりと色彩。イエローゴールドとプラチナが紡ぐ時間 #屋久島でつくる結婚指輪

夜と朝が交差する時間。

海と空が出会う場所。

自然が織りなす色彩のグラデーションのなかに佇むひとときが好きだ。

 

 

シダの葉とツワブキの花。

屋久島の暮らしで親しみ深い植物をモチーフにして、彼女のエンゲージリングとマリッジリングを作っている。

屋久島-サンフランシスコ 透き通る夏の結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

 

深い森を歩き、波に乗り、あるいは小さな植物たちを眺めているとき。

そこに、完全なる調和があることを知り、心が癒される。

その世界に憧れ、愛おしく思う気持ちで、お二人とは繋がっているのかもしれない。

 

さて、

エンゲージリングとマリッジリング、そして彼のリングとが奏でるハーモニーとは。

お花のリングの造形作業がひと段落したところで、初めて二本のリングを重ね合わせてみる。

アトリエの庭先には、今日も夏の強い日差しが降り注いでいる。

深い緑も、ハイビスカスの赤も、これからリングにセットするイエローサファイアも、すべてが響き合っているように感じられて、心が静かな喜びに包まれた。

 

花と葉っぱをかたどるプラチナと、リングの役割を担う、細いイエローゴールド。

重なり合うリングが一つのように見えるのは、シンプルな素材が出会い、生み出す整合性によるものだろう。

 

不思議なことだけど、

硬くて冷たい金属の中に、植物たちが持つぬくもり、そして色彩までもが蘇ってくる。

 

考えてみると、ゴールドやプラチナも、この大地から生まれたものだ。

実のところ、植物たちと同じ響きを秘めているというのも、なるほど。

 

ハイビスカスは、赤くてシンプルな品種が一番好きだというのは、彼女と意見が合った。

 

さて、ここで一旦、彼女のリング作りをひと段落させ、

次は彼のリング作りに取り掛かることにした。

その余韻の中で、同じリズムを保ちながら、ペアのリングを形作っていく。

 

彼のリングには、k18イエローゴールドの細い板を用意した。

細いとはいえ、しっかりとした重みのある金属の手触りが伝わってくる。

その細いゴールドの板を木槌を使い、丸く、リズムよくリングの形状に整えた。コンコン。

その後、糸鋸を使ってイエローゴールドの両端をサイズに合わせてカットする。

切断面同士を隙間なくぴたりと合わせ、ここでようやく下準備の完了、というところだ。

 

そして、時間を置かずに、その両端をつなぎ合わせる作業に移る。

ガスバーナーを使う作業の温度は950度ほどになる。

これまでに何度も行ってきた溶接作業であるけれど、いつも背筋が伸びるような緊張感がある。

心を深く沈め、炎の量とリングの温度に細心の注意を払いながら、タッチを重ねていく。

リングが一定の温度に達したところで、繋ぎ目に融点が少し低いゴールドを流し込む。

作業中は、細部の造形をどこまでも鮮明に見ることができ、一つ一つの工程がゆっくりと長く感じられる。

時を忘れ夢中になっていたけれど、きっと30秒ほどの短い時間だったかもしれない。

 

リングを火から外し、グラスに注いだ水の中に素早く入れる。

すると、まるで作業の区切り目を告げる合図のように、ジュッと歯切れの良い音がアトリエに響いた。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

屋久島-サンフランシスコ 透き通る夏の結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

いつもより少し涼しく感じる朝だった。

山際にかかる雲がオレンジ色に染まっている。

 

島の朝特有の、重たい湿度を感じながら朝食を済ませ、すぐに作業机に向かう。

まだ一日が本格的に動き出す前に、制作の続きを始めることができると、一日が充実したものになる。

 

おふたりの結婚指輪も、気がつけばもう中盤に差し掛かろうとしている。

アトリエでお会いした日のことや、これまでの色々を懐かしく思い返しながら、この日の造形作業のイメージを頭の中に描き出していた。

 

 

季節は梅雨を越えて、真夏へ。

サンフランシスコと屋久島を紡ぐようにして、

おふたりにお届けする結婚指輪を作っている。

大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

 

相談会では、ツワブキの花をモチーフにしたリングを、彼女がとても気に入ってくれたのだけど、

わたしも大好きな花を、同じように好きになってくれた仲間ができたようで、とても嬉しかった。

 

秋が過ぎて、少しずつ寒さを感じるようになる頃、

手のひらを開くように、ぱっと元気に咲く黄色い花に出会うと、あたたかな気持ちに包まれる。

 

ツワブキの花は、庭先に集まるように咲くことが多いけれど、

一輪で佇む姿も、なんとも愛らしい。

 

花のフォルムはもちろんだけど、その愛おしさや心響くときめきのようなものを、分かち合うための表現とは。

 

その放射状の花びらは、プラチナを使って、8mmほどの大きさに仕立てた。

組み合わせるイエローゴールドのリングは、幅1.2mmで作っておいた。

 

リングは、茎のように細く仕上げておくと、咲いた花の姿が、指の上に浮き上がるように感じられるからだ。

 

その細いリングに、0.8mmの穴をドリルで慎重に開けておく。

花の裏側には、中心から伸びる0.8mmの金線を接続する。

 

強度や安定感を生み出すために、表には見えない部分の仕事をしっかりと頑張る。

 

ここで初めて、リングと花が一つとなり、ほっと一息。

微妙な調整を重ねてきたおかげで、角度も自然で、安定感もある。

 

お二人と一緒にタネをまき、これまで育んできた苗が、いよいよ花を開かせようとしている。

 

嬉しくなって、つい急ぎたくなってしまうけれど、ここはじっくりと時間をかけて進めていこう。

 

植物たちのペースに習って、ですね。

 

作業を終えて、日没の空に、ちょうど半分ほど欠けた月を眺めた。

明るくて、どこか青みを帯びた夜の始まりだった。

2025年の夏が、静かに、そして力強く、その鼓動を繰り返している。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547