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育むプラチナリング、お二人との素敵な出会いにありがとう #屋久島でつくる結婚指輪

「海のある暮らしがしたい」

そう思うようになったのは、オーストラリアで過ごした日々があまりにも楽しかったからで、

あれから30年が過ぎ、こうして屋久島で、思いこがれていた海を眺めているのだから不思議なものです。

 

 

そういえば、お二人はお互いオーストラリアに暮らしている時に出会ったとのことでした。

人や場所、身の回りのものも、そうかもしれません。

間違いない!と、信じられる出会いって、あるように思います。

秋の雨音に耳を傾けながら、作業机に向かっています #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島に暮らし、お二人と出会い、こうして作業机に向かっていると、

今、この瞬間が奇跡のように感じられることがあります。

少しでも何かが違っていたら、また別の“今”を過ごしていることもあるのかもしれない、と。

 

そう考えると、手の中にあるプラチナリングもまた、その奇跡のかけらのように思えてきます。

お二人との素敵な出会いに、ありがとう。

与えられた時を大切に育むように、今日も作っています。

 

お二人のリングはピッタリお揃いのデザインでお作りするので、彼のリングを傍に眺めながら、彼女のリングの造形作業を進めていきました。

彼女のリングは、ほんの少し幅を細くし、厚みも抑えて、すっきりとした付け心地となるように、0.1mm単位でアレンジを加えていきます。

 

目指しているのは、二つで一つのような雰囲気でしょうか。

リングをつけてお二人が一緒になった時の、素敵なバランスです。

 

そう考えていると、目の前にある2本のリングから、お二人の印象が自然と感じられてくるのだから不思議です。

 

雨上がりの朝に。

 

アトリエの庭先で、造形がひと段落したプラチナリングを眺めていました。

降り注ぐ陽光を浴びて、力強い輝きを放つプラチナリングが、とても眩しかった。

屋久島の祝福のような、この眩い光も一緒にお届けできますように。

 

お二人の結婚指輪は、これから内側に刻印を施し、磨き仕上げをして完成となる予定ですが、それはまた別のお話で。

屋久島のひと雫のような、光を纏うような、プラチナリングになると思います。

海の向こうに暮らすお二人にお送りするのは、もう少し先のお楽しみです。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

秋の雨音に耳を傾けながら、作業机に向かっています #屋久島でつくる結婚指輪

秋の雨音に耳を傾けながら、作業机に向かっている。

激しい雨がザアザアと一日中降り続き、窓の向こうに見える緑は、とても深い。

その屋久島らしい時間に包まれていると、不思議と心が静まっていく。鉄鋼ヤスリを手に取り、プラチナリングの表面を削り出していた。

 

 

たしかに、お二人にアトリエでお会いした日のことは、わたしも鮮明に覚えています。

指輪が完成するのが待ち遠しいような、でももう少し夢の続きを楽しみたいような気もしますね。

シンプルだけど、お二人だけの特別な結婚指輪。 ラウンドシェイプのプラチナリングを作っています #屋久島でつくる結婚指輪

 

あの時は、あんなにも暑かったのに!

気がつけば、長袖のシャツを着ることも多くなってきた。

わたしたちのジュエリー作りもまた、巡りゆく島の季節のように、力強く推し進めていかなくては。

 

雨が弱くなるタイミングで、思い切って庭先に出てみる。

 

雨の音と香り、深まる緑。そして柔らかな手触りと。

 

風の中に漂う神秘的な気配のようなものがある。

お二人とは、日々の暮らしの中に出会う“響き”のようなものを、大切に思う気持ちで繋がっているように感じる。

 

1日の終わりに、プラチナリングに滑らかな曲面が生まれた。

窓ガラス越しに差し込む夕暮れ時の微かな光が、その表面を高速に巡る。

繊細に見えるけれど、プラチナは手の中でしっかりと重たい。

柔らかな手触りの中に確かな硬さが伝わってくるのは、大地から生まれた金属ならではの魅力なのだろう。

 

ここまでやってきたのだ、としみじみ思う。

まだまだ荒削りではあるけれど、リングに宿る小さな息吹のようなものを、たしかに感じ取ることができた。

 

お二人の結婚指輪作りも、いよいよ折り返し地点を過ぎた、といったところだ。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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シンプルだけど、お二人だけの特別な結婚指輪。 ラウンドシェイプのプラチナリングを作っています #屋久島でつくる結婚指輪

そういえば、お二人には、“月”にまつわる素敵な出会いのエピソードを聞かせてもらった。

短い時間ではあるけれど、お二人の物語に寄り添いながら結婚指輪を作ることができるのは、わたしにとってかけがえのない宝物のように思う。

秋雨の合間、空に浮かぶ昼間の月を眺めながら。

 

 

案外、アトリエで交わす何気ない会話が、デザイン作りの大切なエッセンスになったりもする。

長い旅の途中に。屋久島でオーダーメイドするお二人の結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

 

シンプルだけど、お二人だけの特別な結婚指輪。

ラウンドシェイプのプラチナリングを作っている。

山際にかかる虹。お二人の結婚指輪作りが始まる日。#屋久島でつくる結婚指輪

 

たしかに、結婚指輪をデザインする際、お二人の大切な想いを形にしようとすると、その色彩豊かなストーリーは小さなリングには収まりきらないことがある。

お二人が出会った日の記憶をそっとしまっておけるようなデザインを目指し、わたしたちは結婚指輪の理想を共に抱き続けてきた。

いつも思うのだけれど、多彩な印象を感じられるようなフォルムを探し求めていくと、最終的には限りなくシンプルなスタイルに辿り着くのかもしれない。

あるいはそれを、“洗練”というのかもしれない。

 

さて、アトリエです。

今日も少しずつ。

彼の大きなリングと彼女の小さなリング。

まだまだ荒削りな状態だけど、プラチナの内側に、これから形作るべき輪郭をしっかりと見ることができる。

 

そのフォルムを鉄鋼ヤスリを使い、木の中に仏像を彫刻するように削り出していくのだけど、その前に、ひと仕事。

 

リングの表面を、そして側面を、金槌でコンコンと叩く。

同じタッチを何度も繰り返す。

 

この段階でリングに圧力をかけておくと、プラチナは硬くなり、強さを増してくれるのだ。

 

表には現れない、シックな作業ではあるけれど、ここはとても大切なところ。

これまでデザイン作りの道のりを長く歩んできたのだ。一度だけの制作を、じっくりと進めていきたい。

 

作業がひと段落をして、近所のパン屋さんまで車を走らせていると、海辺にコスモス畑ができているのに気がついた。

ふわふわと風に揺られているのに、太陽に向かってすくすくと伸びている。植物って本当によくできているなと思う。

しなやかで力強い。ジュエリー作りで目指すところは、いつも島の暮らしの中にあるような気がする。

屋久島でつくる結婚指輪

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山際にかかる虹。お二人の結婚指輪作りが始まる日。#屋久島でつくる結婚指輪

激しい雨の降る日が続いている。この季節は、数時間ごとに晴れと雨とが交互に訪れる。

アトリエの窓の向こうには、山際の低い位置に架かる虹を見ることもできた。

この場所に虹が架かるようになると、少しずつ冬の訪れが近づいてきている合図でもある。

「今年もあと2ヶ月と少しなのか!」と、時の儚さに驚きつつも、とても濃密だった2024年の出来事を思い返していた。

 

お二人がアトリエを訪ねてくれたのは、蝉の鳴き声が響く夏の始まりの頃だった。

同じ九州から、ゆっくりと旅をしながら、ここ屋久島までやってきた。

 

道中にメッセージをやりとりしていたのだけど、その旅の貴重さがダイレクトに伝わってきて、スマホを眺めながら幸せな気持ちに包まれていたのを、今でもよく覚えている。

なんだか、ずいぶん昔に自分自身が持っていた時間の流れが、そこにあるような気がして、とても懐かしかった。

 

あの日から、ハイビスカスいっぱいの夏を越え、サキシマフヨウが咲き、最近ではコスモスも見かけるようになってきた。

そしていよいよ、お二人の結婚指輪を作り始める日がやってきたのだ。

 

お二人のために配合したプラチナを使い、シンプルなラウンドシェイプのリングを作っていく。

長い人生に寄り添う結婚指輪を作ること。それは、お二人のこれまでと、これからを紡ぐような、時間に関わる作業であるのかもしれない。

お二人はこれから、どんな未来を歩んでゆくのだろう。

 

大切な想いを形にするように、温度感のある、洗練されたフォルムを作り上げたい。

 

プラチナをコンコンと木槌で叩き、丸くつなぎ合わせる

酸素トーチの炎に包み、その両端をしっかりとつなぎ合わせていく。

 

アトリエには手作業の心地よい音が響いていた。

 

一度だけの結婚指輪作りに、ありがとう! #シャンパンゴールド #屋久島でつくる結婚指輪

こちら屋久島サウスは、朝夕の涼しさを感じることが多くなってきました。

アトリエの庭先では、山茶花の蕾も大きく育っています。

気がつけば、今年もあと2ヶ月余りとなりました。

 

たしかに、「夏が長い」、という印象のある屋久島での暮らしではありますが、市場でカボチャや、サツマイモを見かけると、「秋がやってきた!」と心が躍るものです。

 

お二人から初めてメッセージをいただいたのは、真夏の暑い頃だったから、ちょうど季節の変わり目をご一緒したことに。

作業だけではなく、こうして出来上がるまでの日々を分かち合うことができるのも、かけがえのない宝物のように思えます。

 

さて、コツコツと進めてきた指輪作りでしたが、気がつけば、その工程も佳境を迎えています。

辿り着いてしまうと、あっという間に感じるものですね。それはまるで、巡りゆく季節のようにも感じられます。

 

柔らかなラウンドシェイプに造形したシャンパンゴールドのリングは、ここからさらに力を加え(実にたくさんの工具を使いました。)、そのアウトラインに滑らかなカーブを与えました。

 

島の暮らしで眺める波のイメージ、あるいは月の満ち欠けのように、もっと大きなリズムのようなものかもしれません。

大きなものと繋がっていると感じられると、日々は静かな喜びに包まれます。

 

そして最後の仕上げに、リングの表面を丁寧に磨き上げると(ここでもいくつかの種類の研磨道具を使いました)、シャンパンゴールドの穏やかな色彩が浮かび上がりました。

 

さてさて。

ここからリングの内側に刻印を施し、お二人の結婚指輪はいよいよ完成となりますが、この続きはまた別のお話で。

 

一度だけの指輪作りに、お付き合いをいただき、ありがとうございました。

完成はもう少し先のお楽しみに。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

クワズイモ、ハイビスカス、シャンパンゴールドに巡る光 #屋久島でつくる結婚指輪